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by nicoxz

イラン強硬派「3人組」の実権と米15項目和平案の行方

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はじめに

2026年2月末、米国とイスラエルによるイラン攻撃で最高指導者アリー・ハメネイ師が死亡し、イランの権力構造は大きく揺れ動いています。こうした混乱のなか、革命防衛隊(IRGC)出身の強硬派3人が事実上の実権を握っているとの見方が浮上しました。

トランプ米大統領は3月24日、イランに「新たなグループ」が現れたと主張し、和平交渉の相手として期待感を示しました。同時に、米政権は15項目からなる和平案をパキスタン経由でイランに提示しています。この記事では、イランの権力中枢で何が起きているのか、そして米国の和平案にはどのような内容が盛り込まれているのかを詳しく解説します。

イラン強硬派「3人組」とは誰か

ガリバフ国会議長が「陰の指導者」に

「3人組」の中心人物とされるのが、モハンマド・バーゲル・ガリバフ国会議長です。ガリバフ氏は1980年にわずか20歳で革命防衛隊に入隊し、22歳で戦闘師団の指揮官を務めた経歴を持ちます。その後、革命防衛隊の空軍司令官、警察長官、テヘラン市長など要職を歴任してきました。

ハメネイ師の死後、ガリバフ氏は生き残った最高級の文民指導者の一人として急速に存在感を高めています。ロイター通信によると、同氏は現在イランの権力中枢で戦略的な意思決定を担っており、米国との交渉においても中心的役割を果たすと見られています。トランプ大統領が「最も尊敬されているとみられる男」と評したのも、ガリバフ氏を指していたとの分析が多数出ています。

アフマド・ヴァヒディとモハンマド・アリー・ジャファリ

3人組のもう2人は、革命防衛隊司令官のアフマド・ヴァヒディ准将と、元革命防衛隊司令官のモハンマド・アリー・ジャファリ少将です。

ヴァヒディ氏は革命防衛隊内でも最も強硬な人物の一人として知られ、体制の最も機密性の高い安全保障ポストを歴任してきました。現在は戦術面での戦争遂行を指揮しているとされます。ジャファリ氏は元革命防衛隊の最高司令官で、戦略立案の中心人物と見なされています。

この3人は、軍事・政治・国内治安の各機関にまたがる要職を占めており、ハメネイ師の息子であるモジュタバ・ハメネイ師を最高指導者に推す工作でも中心的な役割を果たしました。

実質的な「委員会統治」の実態

2026年3月8日、専門家会議はモジュタバ・ハメネイ氏を新たな最高指導者に選出しました。88票中59票を獲得したとされますが、革命防衛隊の幹部が専門家会議のメンバーに「繰り返しの接触と心理的・政治的圧力」をかけたとの報道もあります。

しかし、複数の分析が指摘するように、モジュタバ氏には父親のような権威がなく、実際の国家運営は「委員会方式」で行われています。ガリバフ氏が戦略的判断を、ヴァヒディ司令官が軍事作戦を、ペゼシュキヤーン大統領が日常的な国政運営を担うという分業体制です。ユーロニュースのインタビューでは、イラン内部の関係者が「モジュタバは父の後を継ぐことはできない。革命防衛隊がすべてのカードを握っている」と証言しています。

米国の15項目和平案の全容

提案の主要項目

トランプ政権がパキスタン経由でイランに送付した15項目の和平案は、戦争終結に向けた包括的な枠組みです。報道で明らかになっている主な内容は以下の通りです。

まず軍事・核分野では、30日間の停戦実施、ナタンズ・イスファハン・フォルドウの核施設の解体、核兵器を開発しないという恒久的な約束、濃縮ウランの備蓄をすべて国際原子力機関(IAEA)に引き渡すことが含まれています。さらに、弾道ミサイル計画を自衛目的に限定することも求めています。

経済・通商分野では、ホルムズ海峡の航行の自由を確保し、開放状態を維持することが柱となっています。見返りとして、米国側からは制裁の緩和や民生用核協力の提供が盛り込まれているとされます。

地域安全保障の面では、ヒズボラやイラク国内の親イラン民兵組織など、イランが支援する武装勢力への支援制限も含まれていると、仲介に関わるエジプト政府関係者が明らかにしています。

イラン側の反応と対案

イランの反応は厳しいものでした。国営メディアのプレスTVは15項目の提案を「却下した」と報じ、イラン外務省は「イランと米国の間には会談も交渉もない」と公式に否定しています。ガリバフ氏自身も、自らが交渉窓口であるとの報道を「偽情報」として否定しました。

一方で、イラン側は独自の5つの停戦条件を提示しています。第一に米国とイスラエルによる攻撃と暗殺の完全停止、第二に戦争が再開されない仕組みの構築、第三に戦争による損害の賠償、第四にレバノンのヒズボラやイラクの親イラン勢力への攻撃の停止、そして第五にホルムズ海峡に対するイランの主権の国際的承認です。

両者の要求には大きな隔たりがあり、特にホルムズ海峡の扱いは最大の争点となっています。

ホルムズ海峡封鎖の深刻な影響

世界経済への波及

2月末の攻撃開始以来、ホルムズ海峡は事実上の封鎖状態が続いています。世界の石油輸送量の約2割が通過するこの海峡の封鎖は、石油・ガス価格の急騰を引き起こし、世界的なインフレの波をもたらす恐れがあります。

CNNの報道によると、最悪のシナリオでは封鎖が6カ月に及ぶ可能性もあるとされ、日本や韓国をはじめとするアジア諸国は、米国からの圧力とイランへの対応の間で難しい立場に置かれています。トランプ大統領は3月22日にホルムズ海峡の48時間以内の開放を要求しましたが、イランは完全封鎖を警告する姿勢を崩していません。

エネルギー安全保障の課題

湾岸諸国からのエネルギー輸出が長期にわたり混乱すれば、各国のエネルギー安全保障に深刻な影響を及ぼします。すでに原油価格は大幅に上昇しており、産油国の輸出ルートの多様化や備蓄の放出など、各国は緊急対応を迫られている状況です。

注意点・展望

交渉の行方を左右する要因

今後の停戦交渉には複数の不確定要素があります。まず、イランの権力構造が流動的であるため、誰が最終的な意思決定者なのかが明確ではありません。形式上の最高指導者であるモジュタバ氏、実質的な権限を持つ3人組、そして大統領のペゼシュキヤーン氏の間で方針が一致しない可能性もあります。

また、パキスタンが仲介役を務めていますが、イラン側が交渉そのものの存在を否定している現状では、対話の糸口をつかむこと自体が困難です。一方で、イスラエルはイランの体制転換を戦争目的として掲げており、停戦に応じるかどうかも不透明です。

よくある誤解

「3人組」が一枚岩であるとは限らない点にも注意が必要です。ガリバフ氏は政治家としての側面が強く、交渉による解決も選択肢に含めているとされますが、ヴァヒディ氏やジャファリ氏はより軍事的な対応を志向しているとの見方もあります。強硬派内部の路線対立が表面化する可能性は十分にあります。

まとめ

イランでは、ハメネイ師亡き後の権力の空白を革命防衛隊出身の強硬派「3人組」が埋めつつあり、特にガリバフ国会議長が戦略的な意思決定の中心に立っています。一方、トランプ政権は15項目の和平案を提示しましたが、核施設の解体やホルムズ海峡の開放など、イランにとって受け入れがたい内容も多く、交渉成立への道は険しい状況です。

ホルムズ海峡の封鎖が世界経済に与える影響は日を追うごとに深刻化しており、早期の停戦実現が国際社会の喫緊の課題となっています。今後はイラン内部の権力闘争の行方と、仲介国を通じた交渉の進展が注目されます。

参考資料:

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