アクスタで広がる推し活文化、世代を超える応援の形
はじめに
女優の室井滋氏が、漫才師の「追っかけ」ファンとの交流を通じて感じた「推し活」の魅力について語り、話題を集めています。富山でのイベントで出会った東京からはるばる駆けつけたファンの姿に、年齢を超えて「推し」を応援する情熱の深さを感じたといいます。
近年、「推し活」は若者だけのものではなくなりました。アクリルスタンド(アクスタ)をはじめとする推し活グッズの充実とともに、シニア世代にまで広がる推し活文化は、約3.5兆円の巨大市場を形成しています。本記事では、アクスタを中心とした推し活グッズの人気の理由と、世代を超えて広がる推し活文化の現在を解説します。
アクスタが推し活グッズの王様になった理由
欲しいグッズNo.1はアクリルスタンド
推し活グッズの中で、アクリルスタンド(アクスタ)は圧倒的な人気を誇っています。プラスワンインターナショナルの調査によると、「欲しい推しグッズ」のトップはアクリルスタンドで43.8%を占め、キーホルダー(40.2%)やぬいぐるみ(39.6%)を上回っています。
アクスタとは、キャラクターやアイドルのイラスト・写真をアクリル素材にプリントし、台座に立てて飾れるグッズです。手軽に持ち運べるサイズ感と、デスクや棚に飾れるインテリア性を兼ね備えていることが人気の理由です。
「推しと一緒にお出かけ」する文化
アクスタの魅力は自宅に飾るだけにとどまりません。カフェや旅行先にアクスタを持参し、風景や料理と一緒に写真を撮ってSNSに投稿する「アクスタ旅」が大きなトレンドとなっています。推しのアクスタと一緒に出かけることで、まるで推しと行動を共にしているかのような体験ができるのです。
こうした楽しみ方はSNSとの相性が抜群です。InstagramやX(旧Twitter)では「#アクスタ旅」「#推しとお出かけ」といったハッシュタグが数多く投稿されており、ファン同士の交流を促進する役割も果たしています。
3.5兆円に成長した推し活市場
市場規模と推し活人口の拡大
日本の推し活市場は急速に拡大を続けています。2025年時点で推し活市場の規模は約3.5兆円に達し、推し活を実践している人口は約1,384万人(前年比250万人増)に上ります。1人あたりの年間平均支出額は約25万円と、相当な金額が推し活に費やされています。
推し活の対象はアイドルや声優、アニメキャラクターだけでなく、スポーツ選手、お笑い芸人、YouTuberなど多岐にわたります。室井滋氏が紹介した漫才師のファンのように、どんなジャンルであっても「この人を応援したい」という気持ちが推し活の原動力です。
公式グッズからカスタムグッズへ
推し活グッズ市場では、公式グッズに加えてカスタマイズ可能なグッズの人気が急上昇しています。「人と被らない」ことを重視するファンが増えており、100円ショップでも推し活向けのカスタムアイテムが急増しています。
自分だけのオリジナルアクスタを作れるサービスも登場しており、推し活の楽しみ方はますます多様化しています。2025年の推し活のトレンドは「低価格×豊富なアイテム×カスタマイズ自由」という3原則に集約されます。
世代を超えて広がるファン文化
シニア世代にも浸透する推し活
推し活は若者だけの文化ではありません。ハルメク・エイジマーケティングの調査によると、「推し」がいるシニア女性は35.2%に達しており、これはZ世代とほぼ同じ割合です。さらに、シニア女性の中での「推し」という言葉自体の認知度は83.3%に上り、推し活文化がシニア層にも深く浸透していることがわかります。
室井滋氏が富山のイベントで出会ったファンも、「年相応に落ち着いてみえたが、口を開いた途端に女学生くらいの乙女に思えた」と描写されています。推しの前では年齢を忘れ、純粋な応援の気持ちで心が満たされる——それが推し活の持つ力です。
江戸時代から続く日本の「推し」文化
実は、日本の推し活文化には長い歴史があります。江戸時代には、町人たちが人気の歌舞伎役者や遊女を描いた浮世絵を競って購入していました。お気に入りの役者の絵姿を手に入れ、部屋に飾って楽しむ——これはまさに現代のアクスタと同じ感覚です。
明治以降も、宝塚歌劇団のファンによる「出待ち」文化や、プロ野球選手の追っかけなど、日本には推しを応援する豊かな文化が脈々と受け継がれてきました。現代の推し活は、デジタル技術とSNSによってその形を進化させながら、日本人のDNAに根づいた応援文化を発展させているといえます。
注意点・展望
推し活にはポジティブな面が多い一方で、のめり込みすぎによる経済的な負担には注意が必要です。年間支出額がジャンルによっては数十万円に達するケースもあり、無理のない範囲で楽しむ心がけが大切です。
今後の推し活市場は、テクノロジーの進化とともにさらなる拡大が見込まれます。AR(拡張現実)技術を活用した推し活グッズや、AIを使ったパーソナライズされたファン体験など、新しい形の推し活が次々と登場するでしょう。また、推し活を通じた地域振興や観光への波及効果にも注目が集まっており、推し活は個人の趣味を超えた経済・社会的な現象となっています。
まとめ
アクリルスタンドを筆頭に、推し活グッズは多様化と進化を続けています。約3.5兆円の市場規模に成長した推し活は、もはや一部のファンだけのものではなく、10代からシニア世代まで幅広い層が楽しむ国民的な文化となりました。
室井滋氏が描いた「はるばる東京から駆けつけるファン」の姿は、推し活の本質を象徴しています。誰かを心から応援する気持ちは、年齢も距離も超えて人を動かす力を持っています。アクスタを片手に、あなたも推し活を始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料:
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