米国防長官がモジタバ師負傷を主張、指導部混乱を強調
はじめに
2026年3月13日、ヘグセス米国防長官は記者会見で、イランの新最高指導者モジタバ・ハメネイ師について「負傷し、容姿も損なわれている可能性が高い」と発言しました。同日、トランプ大統領もFOXニュースのインタビューで「傷を負ったと思うが、何らかの形で生きているだろう」と述べています。
2月28日に始まった米国・イスラエルによる対イラン軍事作戦は、約2週間が経過しました。父であるアリー・ハメネイ前最高指導者の殺害後に就任したモジタバ師は、就任以来一度も公の場に姿を見せておらず、イラン指導部の指揮系統に深刻な混乱が生じている可能性があります。本記事では、ヘグセス長官の発言の背景と、イラン情勢の最新動向を解説します。
ヘグセス長官が語ったモジタバ師の現状
「負傷し、容姿が損なわれた」との主張
ヘグセス国防長官は3月13日の記者会見で、モジタバ・ハメネイ師について「我々は新たないわゆる”最高指導者”が負傷し、容姿が損なわれている可能性が高いことを把握している」と述べました。さらに「モジタバ師はおびえ、逃亡中であり、正当性も欠如している」と指摘し、イラン側ですら誰が指揮を執っているのか分からない状況にあると主張しています。
ヘグセス長官はこの日、イランに対する過去最大規模の空爆を実施したことも発表しました。攻撃した標的は累計1万5000か所を超え、「まもなくイランの全ての防衛関連企業は破壊される」と作戦の進展を強調しています。
トランプ大統領の発言
トランプ大統領も同日、FOXニュースのブライアン・キルミード氏のラジオ番組に出演し、モジタバ師について「傷を負ったと思うが、何らかの形で生きているだろう」と語りました。イラン側の威嚇に対しては「多くのことを口にしている」と述べ、「行動で示さなければならなくなるだろう」と警告しています。
モジタバ師の負傷と就任の経緯
2月28日の攻撃で負傷
複数の報道によると、モジタバ・ハメネイ師は2月28日に開始された米国・イスラエルの対イラン軍事作戦の初日に負傷しました。CNNは情報筋の話として、モジタバ師が脚を骨折し、左目周辺の打撲や顔面の表面的な切り傷を負ったと報じています。この攻撃で父のアリー・ハメネイ前最高指導者が殺害されました。
3月8日、専門家会議がモジタバ師を新たな最高指導者に選出しました。しかし選出以降、本人が直接国民に姿を見せることは一度もありません。イラン当局者は「いかなる通信手段でも所在が特定される危険があるため」と説明しており、暗殺への強い警戒がうかがえます。
初声明は代読で発表
3月12日、モジタバ師は就任後初の声明を発表しました。ただし本人が映像に登場することはなく、国営テレビのアナウンサーが声明を代読する形式でした。声明では米国とイスラエルに対する徹底抗戦を訴え、反米強硬路線を鮮明にしています。
イラン外務省はモジタバ師の負傷を公式に認めつつも、「容態は安定しており、職務を遂行し続けている」と説明しました。しかし、公の場に姿を現さないことが指導力への疑問を生んでいます。
ホルムズ海峡と機雷問題の最新状況
機雷敷設と米軍の対応
イラン情勢を複雑にしているのが、ホルムズ海峡の機雷問題です。CNNやCBSの報道によると、イランはホルムズ海峡に十数個の機雷を敷設しました。これに対し米軍は、イランの機雷敷設艦16隻を撃沈したと発表しています。
トランプ大統領は「機雷が敷設され、直ちに撤去されない場合、軍事的報復は前例のない規模になる」と強く警告しました。ヘグセス長官は13日の会見で、機雷による被害は出ていないと強調しています。
世界経済への影響
ホルムズ海峡は世界の石油輸送の約3割を担う要衝です。2025年時点で日量約1300万バレルの原油がこの海峡を通過していました。機雷敷設の報道を受けてタンカーの通行量は約70%減少し、150隻以上の船舶が海峡外で停泊する事態となっています。原油価格は依然として不安定な状況が続いており、世界経済への影響が懸念されています。
注意点・展望
情報の不確実性
ヘグセス長官やトランプ大統領の発言は、モジタバ師の負傷を裏付ける具体的な証拠を伴っていません。戦時下における情報戦の側面も考慮する必要があります。米側にはイラン指導部の動揺を誘う意図があり、イラン側には指導者の健在を強調して国内の結束を維持する狙いがあります。
今後の見通し
モジタバ師が公の場に姿を現すかどうかが、今後の情勢を左右する重要な指標となります。声明の代読という形式が続く限り、指導力への疑問は払拭されません。一方、ホルムズ海峡の機雷問題は原油市場を通じて世界経済に直接影響を与えるため、掃海作業の進捗と通行の正常化が注目されます。
軍事作戦の長期化は双方に消耗をもたらします。米国内では軍事費の増大に対する議論が始まっており、国際社会からは停戦を求める声も上がっています。今後の展開は、イラン指導部の意思決定能力と、米国の軍事目標の達成度合いにかかっています。
まとめ
ヘグセス米国防長官はモジタバ・ハメネイ師の負傷と容姿損傷を主張し、イラン指導部の混乱を強調しました。モジタバ師は就任以来公の場に姿を見せておらず、初声明も代読という異例の形式でした。ホルムズ海峡の機雷問題と合わせて、中東情勢は極めて不安定な状況にあります。
今後はモジタバ師の動向、軍事作戦の推移、そしてホルムズ海峡の通行正常化に注目が集まります。原油価格や世界経済への波及効果も含め、引き続き最新情報の確認が重要です。
参考資料:
- イランの新最高指導者は負傷、外見が損なわれた可能性-米国防長官
- US’s Hegseth claims new Iran Supreme Leader Mojtaba Khamenei injured - Al Jazeera
- Trump says Mojtaba Khamenei is ‘damaged, but probably alive in some form’ - The Times of Israel
- イラン最高指導者モジタバ師、攻撃初日に脚や顔にけが - CNN
- モジタバ師脚など負傷か 新最高指導者、暗殺警戒 - 時事通信
- イラン新最高指導者モジタバ師が初声明 徹底抗戦を訴え - AFPBB News
- Hegseth claims Iran’s supreme leader is “wounded and likely disfigured” - Axios
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