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by nicoxz

イラン新最高指導者モジタバ師が初声明で米軍基地攻撃を宣言

by nicoxz
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はじめに

2026年3月12日、イランの新最高指導者モジタバ・ハメネイ師が、就任後初となる声明を発表しました。声明では近隣諸国の米軍基地への攻撃継続やホルムズ海峡封鎖の維持を宣言し、米国との全面対決姿勢を鮮明にしています。

モジタバ師は、2月28日の米国・イスラエルによる軍事攻撃で殺害された父・アリー・ハメネイ前最高指導者の後継者として、3月9日に専門家会議から選出されたばかりです。声明には、イラン南部ミナブの小学校への誤爆で168人以上の児童が犠牲となった事件への報復の決意も含まれており、中東の緊張がさらに高まる局面を迎えています。

モジタバ師の初声明の全容

米軍基地への攻撃宣言

モジタバ師は国営テレビを通じて読み上げられた書面の声明で、「近隣諸国にある全ての米軍基地は即座に閉鎖されるべきだ」と述べ、「それらの基地は攻撃される」と明言しました。声明は映像や音声ではなく、長文の書面として発表され、国営メディアが代読する形式をとりました。

モジタバ師本人が実際に声明を書いたかどうかは確認されておらず、選出後も公の場に姿を見せていない点は、専門家の間で注目されています。CNNの分析では、声明の形式自体が父の時代とは異なるスタイルであり、新指導体制の不確実性を示す可能性があるとされています。

ホルムズ海峡封鎖の継続

声明の中でモジタバ師は、ホルムズ海峡の封鎖について「戦争での圧力手段として継続すべきだ」と明確に述べました。イラン革命防衛隊は2月28日の攻撃直後から海峡を通過する船舶への警告を発し、タンカー3隻への攻撃を実施して、3月初旬から事実上の封鎖状態に入っていました。

さらに「敵がこれまで経験したことのない新たな戦線を開くことを検討している」とも述べ、軍事行動の拡大を示唆しました。

小学校攻撃への報復宣言

声明の中で最も強い感情がにじんだのが、イラン南部ミナブにある女子小学校「シャジャレ・タイイバ」への攻撃に対する言及です。モジタバ師は「必ず報復する」と訴え、攻撃による損害には「賠償を求める」と強調しました。

この攻撃は2月28日に発生し、CNN、BBC、ニューヨーク・タイムズなどの複数の独立調査が米軍のトマホークミサイルによる誤爆である可能性を指摘しています。米軍の暫定調査では、国防情報局から提供された古い情報に基づく座標設定が誤爆の原因とされ、隣接するイスラム革命防衛隊の施設を標的とした攻撃中に小学校を誤って攻撃した可能性があるとされています。168人以上の児童と教員が犠牲となり、今回の紛争で最大の民間人被害となりました。

中東の地政学と原油市場への影響

原油価格の急騰

ホルムズ海峡の事実上の封鎖は、世界のエネルギー市場に深刻な影響を及ぼしています。北海ブレント原油は、イラン攻撃前日の2月27日に1バレル73ドルだった価格が、3月初旬には78ドルに急騰し、その後も上昇を続けて100ドル台が視野に入っています。

世界の原油輸送の約20%がホルムズ海峡を通過しており、封鎖の長期化は世界経済に重大なリスクをもたらします。ブルームバーグによれば、湾岸地域での減産拡大と合わせ、原油市場の混乱は深刻化の一途をたどっています。

日本への影響

日本は原油の中東依存度が約94%に達し、そのうちの約9割がホルムズ海峡を経由しています。ニッセイ基礎研究所の試算では、封鎖が2〜3カ月続いて原油価格が1バレル110ドルに達した場合、ガソリン価格は1リットル204円前後まで急上昇する可能性があります。

ブルームバーグは、日本のインフレ加速の恐れを指摘しており、エネルギー価格上昇が消費者物価全体を押し上げるリスクが高まっています。

地域同盟と新たな戦線

モジタバ師の声明では、イエメンのフーシ派、レバノンのヒズボラ、イラクの武装勢力がイランと共に戦っていることに言及し、地域的な抵抗軸の結束を強調しました。「障害にもかかわらず、彼らはイランと共に立ち上がった」と述べ、今後の軍事行動がイラン単独ではなく地域全体に広がる可能性を示しています。

注意点・展望

モジタバ師の実像と権力の不確実性

モジタバ師(56歳)はイスラム聖職者ですが、父ほどの政治的経験や国際的な知名度を持ち合わせていません。選出後に公の場に姿を見せず、声明も書面のみという異例の対応が続いており、実際の権力構造がどうなっているのかは不透明です。

ブライトバートの報道では、複数の専門家が「モジタバ師は父より危険」と評価しており、革命防衛隊との関係が深く、穏健派への配慮が期待できないとの見方が出ています。一方で、声明が本人の意思なのか、革命防衛隊や保守強硬派の意向を代弁しているのかは判断が難しい状況です。

今後の焦点

中東情勢の最大の焦点は、ホルムズ海峡の封鎖がいつまで続くかです。トランプ政権がイランとの停戦交渉に転じるか、G7や国際エネルギー機関(IEA)による戦略備蓄の放出がどの程度効果を発揮するか、そして中国による仲介外交が機能するかが今後の展開を左右します。

また、小学校誤爆に対する国際的な非難が米国の外交方針にどう影響するかも重要です。ヒューマン・ライツ・ウォッチは「戦争犯罪として調査すべき」との声明を出しており、ユネスコも「人道法の重大な違反」と非難しています。

まとめ

モジタバ・ハメネイ師の初声明は、米国との全面対決姿勢を鮮明にする内容でした。米軍基地への攻撃継続、ホルムズ海峡封鎖の維持、小学校誤爆への報復宣言という3つの柱で構成されており、中東情勢のさらなる緊迫化は避けられない状況です。

世界のエネルギー市場や日本経済への影響も深刻化しており、原油価格の動向や外交交渉の行方を注視する必要があります。新指導者の実際の権力基盤や意思決定プロセスが見えない中で、今後の展開には大きな不確実性が伴います。

参考資料:

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