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by nicoxz

王毅外相「日本に干渉資格なし」、台湾問題で対日批判

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はじめに

2026年3月8日、北京で開催中の全国人民代表大会(全人代)の記者会見において、中国の王毅外相が日本を名指しで批判しました。高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁を念頭に、「台湾問題は中国の内政であり、日本に干渉する資格があるのか」と強い口調で問いかけました。

約90分間にわたる記者会見で、王毅外相は21の質問に回答し、米中関係、ロシア、欧州、中東など幅広いテーマに言及しました。しかし、日本に対する発言は異例の厳しさで、日中関係の緊張が依然として深刻であることを改めて浮き彫りにしました。

王毅外相の対日批判の内容

「四つの問い」で日本を追及

王毅外相は高市首相を「日本の現職指導者」と呼んだ上で、台湾問題に関して4つの問いを投げかけました。第一に「台湾問題は中国の内政であるのに、日本に干渉する資格があるのか」。第二に「中国の台湾地域で何かが起きた場合、日本が自衛権を行使する国際法上の根拠は何か」。第三に「いわゆる集団的自衛権の拡大は、平和憲法の核心規定の実質的な空洞化を意味するのではないか」。第四に「日本は最終的にどこへ向かおうとしているのか」。

正式な記者会見の場でこれほど直接的に日本を批判するのは異例のことで、中国側の強い不満を示しています。

歴史問題にも言及

王毅外相は「14億の中国人民は、いかなる者にも植民地支配を正当化させ、侵略を覆すことを絶対に許さない」とも発言しました。台湾が中国に復帰したのは中国人民の抗日戦争の勝利の結果であり、第二次世界大戦の戦果でもあると強調し、歴史認識の問題にまで議論を広げました。

発端となった高市首相の台湾有事発言

2025年11月の国会答弁

事態の発端は、2025年11月7日の衆議院予算委員会における高市首相の答弁です。台湾有事について問われた高市首相は、官僚が作成した答弁案を退け、自らの判断で「存立危機事態になり得る」と明言しました。

「存立危機事態」とは、日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされる事態を指します。これが認定されると、日本は集団的自衛権を行使できるようになります。台湾有事がこれに該当し得ると首相が明言したのは初めてのことでした。

中国の強硬な報復措置

中国はこの発言に対し、即座に強硬な姿勢を示しました。発言の撤回を繰り返し要求するとともに、日本への旅行を控えるよう国民に呼びかけ、日本向けの航空便を減便するなどの事実上の報復措置を講じています。日中関係は冷戦期以来とも言われるほどの冷え込みを見せています。

国内からも懸念の声

日本国内でもこの発言を巡っては議論が分かれています。元外務省条約局長の東郷和彦氏は「対話への努力を放棄してはいけない」と警鐘を鳴らしました。また、元防衛庁長官の山崎拓氏は「中国の主席に石を投げたようなものだ」と評し、外交的な配慮の欠如を指摘しています。

一方で、安全保障の観点から高市首相の発言を支持する声もあり、「戦略的曖昧さ」を維持すべきだったとする意見と「毅然とした姿勢が必要」とする意見が対立しています。

G2論への慎重姿勢

米中二大国論を否定

同じ記者会見で、王毅外相は米中の二大国で世界を仕切る「G2」論に対して慎重な姿勢を示しました。2026年は米中関係にとって「大きな年」であり、ハイレベルの交流の議題はすでに準備されていると前向きなシグナルを発しつつも、中国が世界を二分する構図を目指しているわけではないことを強調しました。

トランプ大統領と習近平国家主席の首脳会談が3月末にも実現する可能性が示唆されましたが、中国としては多極化を支持する姿勢を崩さず、「G2」のレッテルを受け入れることで他国からの警戒を招くことを避ける狙いがあるとみられます。

注意点・展望

日中関係の打開は困難

2026年2月には高市首相が「意思疎通を継続し、国益の観点から冷静に適切に対応する」と発言しましたが、中国側は発言の撤回を求める姿勢を崩していません。王毅外相の全人代での発言は、関係改善の糸口がまだ見えていないことを示しています。

経済面でも影響が出始めており、中国人観光客の減少やビジネス交流の停滞が懸念されています。日中両国の経済的な相互依存が深い中、政治的対立の長期化は双方にとってマイナスです。

台湾海峡情勢の不透明さ

米中関係の動向、米国の台湾政策、そして台湾自身の政治状況など、台湾海峡を取り巻く環境は複雑です。日本としては、安全保障上の備えと外交的な対話のバランスをいかに取るかが問われています。

まとめ

王毅外相の全人代での対日批判は、高市首相の台湾有事発言に端を発した日中関係の緊張が、いまだ解消されていないことを明確に示しました。「日本に干渉する資格はない」という厳しい言葉は、台湾問題が中国にとって譲れない「核心的利益」であることの表れです。

一方でG2論には慎重な姿勢を示し、米中関係については前向きなシグナルも発信しました。日本は、台湾海峡の安定という安全保障上の課題と、中国との建設的な関係維持という外交上の課題の両立を模索していく必要があります。

参考資料:

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