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by nicoxz

イスラエルがイラン安保トップのラリジャニ氏殺害

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はじめに

2026年3月17日、イスラエル国防相はイラン最高安全保障委員会(SNSC)のアリ・ラリジャニ事務局長を殺害したと発表しました。ラリジャニ氏は、2月28日に殺害された最高指導者ハメネイ師の側近であり、イランの国防・外交政策を実質的に統括していた人物です。

ハメネイ師に続く政権幹部の殺害は、イラン指導部にとって深刻な打撃です。本記事では、ラリジャニ氏の経歴と役割、殺害の経緯、そしてイラン体制と中東情勢への影響について解説します。

ラリジャニ氏殺害の経緯

イスラエル軍の発表

イスラエル軍は3月17日、前日夜から未明にかけて実施したイランへの空爆で、SNSC事務局長のアリ・ラリジャニ氏を殺害したと発表しました。同時に、イラン革命防衛隊(IRGC)傘下の民兵組織「バシジ」のゴラムレザ・ソレイマニ司令官も排除したとしています。

攻撃はテヘランを含むイラン国内の複数の拠点に対して行われました。イスラエル側は、ラリジャニ氏がイランの体制運営を実質的に担っていたとの認識を示し、この殺害をイラン指導部への大きな打撃と位置づけています。

イラン側の確認

イランの国営メディアは、その後ラリジャニ氏の死亡を確認しました。SNSCは声明で、事務局長であるラリジャニ氏の死を公式に認めています。報道によると、ラリジャニ氏の息子であるモルテザ氏や複数の護衛も同時に犠牲になったとされています。

アリ・ラリジャニ氏とは何者か

名門聖職者一族の出身

アリ・ラリジャニ氏は、イランの有力な聖職者一族の出身です。父親と母方の祖父はいずれも大アヤトラ(最高位の宗教指導者)であり、兄弟のサーデク・ラリジャニ氏はイランの護憲評議会と専門家会議のメンバーを務めています。ラリジャニ家はイラン政治における影響力の大きい一族として知られています。

1979年のイラン革命後、ラリジャニ氏はIRGCに参加し、イラン・イラク戦争では前線での経験を積みました。その後、政府機関へと活動の場を移し、ラフサンジャニ大統領の下で1994年から1997年まで文化相を務めました。続いて、国営放送局(IRIB)の局長として2004年まで在任しています。

核交渉の立役者

ラリジャニ氏の国際的な知名度を高めたのは、イランの核交渉における役割です。2005年8月から2007年10月まで、SNSC事務局長として核交渉のトップ交渉官を務めました。当時のアフマディネジャド大統領との間で交渉方針をめぐる意見の相違がありながらも、ラリジャニ氏はより現実的なアプローチを支持していたとされます。

また、2015年に締結されたイラン核合意(JCPOA)においても、国会議長として重要な役割を果たしました。交渉の最終段階で合意を取りまとめる上で、ラリジャニ氏の政治力が不可欠だったと評価されています。

国会議長としての長期在任

2008年にイラン国会(マジュレス)の議員に当選したラリジャニ氏は、同年に国会議長に選出されました。この地位を2020年まで12年間にわたって維持し、イランの立法府を長期にわたって率いました。イラン政治における「真のインサイダー」として、体制内で幅広い人脈と影響力を築いてきた人物です。

SNSC事務局長への再任と「事実上の最高指導者」

2025年8月、ペゼシュキアン大統領によりSNSC事務局長に再任されました。そして2025年12月末以降、複数のメディアがラリジャニ氏を「イランで最も権力を持つ人物」あるいは「事実上の指導者」と報じるようになりました。

特に2026年2月28日にハメネイ師が米国・イスラエルの攻撃で殺害された後は、イランの国防対応を実質的に取り仕切る立場にありました。国防・外交政策全般を統括するSNSC事務局長として、体制の存続に関わる最重要の意思決定を担っていたのです。

イラン体制と中東情勢への影響

指導部の連続的な喪失

わずか3週間足らずの間に、イランは最高指導者のハメネイ師に続いて、事実上の体制運営者であったラリジャニ氏を失いました。この連続的な指導部の喪失は、イランの統治機構に深刻な空白をもたらす可能性があります。

ハメネイ師の後任として次男のモジタバ・ハメネイ師が最高指導者に選出されたとされますが、新指導者の下での体制がどこまで安定するかは不透明です。ラリジャニ氏のような実務経験豊富な人物の喪失は、政策の継続性にも大きな影響を与えるでしょう。

戦争の長期化リスク

CNNの分析によれば、ラリジャニ氏は体制の「公の顔」でもあり、彼の殺害は戦争を長期化させる可能性があります。ラリジャニ氏は過去に核合意をまとめた実績が示すように、交渉による問題解決を得意とする人物でした。こうした交渉力を持つ人物を失うことで、停戦や和平に向けた対話の窓口がさらに狭まる恐れがあります。

バシジのソレイマニ司令官の同時殺害も、イランの国内治安維持能力に影響を与える可能性があります。バシジはIRGC傘下の民兵組織であり、国内の秩序維持において重要な役割を担ってきました。

国際社会の反応

イスラエルと米国によるイラン攻撃の開始以来、国際社会では懸念の声が高まっています。英国のスターマー首相、フランスのマクロン大統領、ドイツのメルツ首相は共同で、米国とイランに協議の再開を求め、交渉による解決を支持する声明を発表しています。

中東地域では、ホルムズ海峡の事実上の封鎖により原油価格が高騰し、世界経済への影響も深刻化しています。

注意点・展望

今後の焦点は、イランの新たな指導体制がどのように対応するかです。ラリジャニ氏のような外交・安全保障の実務家を失ったイランが、強硬路線に傾くのか、それとも交渉の道を模索するのか。その判断が中東情勢の行方を大きく左右します。

また、イスラエルによる「標的殺害」戦略の有効性と限界についても議論が必要です。指導者の排除が相手国の行動を変えるのか、あるいはかえって報復の連鎖を招くのかは、歴史的にも見解が分かれるところです。

日本にとっても、中東情勢の不安定化はエネルギー安全保障に直結する問題です。ホルムズ海峡を通過する原油に依存する日本経済への影響を注視する必要があります。

まとめ

イスラエルによるラリジャニ氏の殺害は、ハメネイ師に続くイラン指導部への重大な打撃です。核交渉の立役者であり、事実上の体制運営者であった人物の喪失は、イランの統治と外交に大きな空白を生む可能性があります。

中東情勢は一層の不透明感を増しており、戦争の長期化や地域全体への波及が懸念されます。国際社会が協調して停戦と対話の道を模索できるかが、今後の重要な課題です。

参考資料:

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