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by nicoxz

マスク氏敗訴、ツイッター買収で投資家を欺いたと認定

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はじめに

2026年3月20日、米カリフォルニア州連邦地裁の陪審団は、イーロン・マスク氏が2022年の旧ツイッター(現X)買収をめぐり、株主を誤解させたとする評決を下しました。この集団訴訟では、マスク氏の一連の発言がツイッター株価を大幅に下落させ、投資家に多大な損失を与えたかが争われていました。

損害賠償額は最大26億ドル(約3,900億円)に達する可能性があり、マスク氏にとって大きな打撃となります。本記事では、訴訟の経緯と評決の内容、そして今後の展望について詳しく解説します。

440億ドル買収劇の裏側で何が起きたのか

マスク氏のツイッター株取得と開示の遅れ

事の発端は2022年初頭にさかのぼります。マスク氏は2022年1月31日からツイッター株の買い集めを開始しました。米国の証券法では、企業の株式を5%以上取得した投資家は10日以内に保有を公開する義務があります。

マスク氏が5%の閾値を超えたのは2022年3月14日でしたが、実際に9.2%の保有を公表したのは4月4日で、法定期限から21日も遅れていました。この間にマスク氏はさらに5億ドル以上のツイッター株を安値で買い増したとされています。公表後、ツイッター株は27%急騰しており、遅延により少なくとも1億5,000万ドルの利益を得たと米証券取引委員会(SEC)は主張しています。

買収合意から「保留」発言へ

2022年4月、マスク氏はツイッターを1株54.20ドル、総額440億ドル(当時約6兆4,000億円)で買収することで合意しました。しかし、その後テスラの株価下落などで買収資金の調達が困難になると、マスク氏は買収からの撤退を模索するようになります。

2022年5月、マスク氏は自身のツイッターアカウントで「買収は一時保留」と投稿。さらにツイッター上のボット(偽アカウント)の割合が5%未満とする公式発表に疑義を呈し、実際にはもっと多いと主張しました。原告側はこれらの発言が意図的に株価を押し下げ、買収価格の引き下げや取引の撤回を狙ったものだと訴えました。

陪審団の判断と損害賠償の規模

「部分的」な勝訴と評決の内容

約3週間にわたる審理の末、9人の陪審員は約4日間の評議を経て評決に至りました。陪審団はマスク氏の2件のツイートが虚偽または誤解を招く内容であり、株主に損害を与えたと認定しました。

一方で、マスク氏がポッドキャストで行った発言については責任を否定。また、株主を欺く「広範な計画」に参加したという主張についても免責としました。つまり、マスク氏は組織的な詐欺を企てたとまでは認められなかったものの、特定のツイートによる証券法違反の責任は認められたという、いわば「部分的」な判決です。

最大26億ドルの損害賠償

陪審団は、株主に対して1株あたり1日約3ドルから8ドルの損害を認定しました。原告側の弁護士によると、これは株式での損害が約21億ドル、オプションでの損害が約5億ドル、合計で最大26億ドル(約3,900億円)に相当します。

マスク氏の発言期間中、ツイッター株は当初の買収価格から約40%下落して33ドル以下まで落ち込みました。この下落局面で株式を売却せざるを得なかった投資家たちが、今回の集団訴訟の対象となっています。

訴訟の背景にあるSECとの別件問題

SECによる開示違反訴訟

今回の集団訴訟とは別に、SECもマスク氏に対して法的措置を講じています。2025年1月、SECはマスク氏がツイッター株の保有を期限内に開示しなかったとして訴訟を提起しました。

SECの主張によると、開示の遅れによりマスク氏は少なくとも1億5,000万ドルの不当な利益を得ました。情報が公開されていれば、他の投資家は本来の価値を反映した価格で取引できたはずだということです。2026年3月時点で、マスク氏とSECは和解に向けた協議を進めていると報じられています。

DOGE長官としての立場との矛盾

マスク氏は現在、トランプ政権下で「政府効率化省(DOGE)」の長官として政府の無駄遣い削減を推進しています。政府の透明性と効率性を訴える立場にありながら、自身が証券法違反で有罪と認定されたことは、皮肉な状況といえます。

注意点・展望

控訴の行方

マスク氏の弁護団であるクイン・エマニュエル法律事務所は、評決直後に控訴の方針を表明しました。弁護団はこの評決を「一時的な挫折」と位置づけ、「控訴審での逆転を確信している」と述べています。

控訴審では、陪審の損害額算定の妥当性や、ツイートが証券法上の「重要な虚偽表示」に該当するかどうかが改めて争われる見込みです。控訴が認められれば、判決が覆る可能性もゼロではありません。

損害賠償の実際の支払い

原告側の弁護士によると、賠償請求の受付体制が整うまでに約90日、その後の処理にさらに数カ月を要する見通しです。控訴が行われた場合、実際の支払いはさらに長期化する可能性があります。

テック業界への影響

この判決は、企業の経営者やその買収者がSNS上で行う発言に対し、証券法上の責任がより厳しく問われる先例となる可能性があります。特にSNSを通じた情報発信が市場に与える影響力が増す中、経営者の発言と投資家保護のバランスが改めて問われることになります。

まとめ

今回の陪審評決は、マスク氏が2022年のツイッター買収過程で行った2件のツイートが投資家を誤解させたと認定するものでした。最大26億ドルの賠償責任が生じる可能性があり、マスク氏にとって大きな法的リスクとなっています。

ただし、組織的な詐欺の意図は否定されており、マスク氏側は控訴を表明しています。今後は控訴審の結果とSECとの和解協議の行方が注目されます。投資家にとっては、この判決がSNS時代における経営者の発言責任を明確にする重要な判例となるか、その動向を見守る必要があります。

参考資料:

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