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by nicoxz

原油高と米株安が日経平均を直撃する構図を解説

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はじめに

2026年3月に入り、日経平均株価は中東情勢の緊迫化を背景に大きく値を下げています。2月末に始まった米国・イスラエルによるイラン攻撃を受け、ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態に陥り、原油価格が急騰しました。WTI原油先物は一時102ドル台、ブレント原油は106ドル台を記録し、世界経済への影響が広がっています。

米国株式市場も調整色を強めるなか、日本株にも売り圧力が波及しています。この記事では、原油高・米株安が日経平均に与える影響の構図と、今後の展望について解説します。

中東情勢の急変とホルムズ海峡封鎖

米・イスラエルのイラン攻撃と連鎖反応

2026年2月28日、米国とイスラエルがイランに対する大規模な軍事攻撃を開始しました。これに対しイラン革命防衛隊(IRGC)は即座に報復措置を発動し、ホルムズ海峡を通過する船舶への攻撃を警告しました。実際にタンカー3隻が攻撃を受けたことが報じられ、日本郵船や川崎汽船を含む海運各社が相次いで通峡を停止しました。

3月1日から2日にかけて、ホルムズ海峡は事実上の封鎖状態に入りました。3月9日時点での通過船舶はわずか3隻にまで激減し、主要コンテナ船社やタンカー運航者は軒並み通過を凍結しています。

原油価格の急騰

ホルムズ海峡は世界の石油貿易の約20%を担う要衝です。封鎖により湾岸産油国は生産を日量1,000万バレル削減せざるを得なくなり、原油価格は攻撃開始前のわずか2週間で約1.5倍に跳ね上がりました。

北海ブレント原油はイラン攻撃前日の2月27日に1バレル73ドルだったものが、3月11日には終値で100ドルを突破しました。WTI原油先物も3月16日の取引で一時102ドル台を記録しています。国際エネルギー機関(IEA)は加盟32カ国による4億バレルの石油備蓄放出で合意し、米財務省もロシア産原油に関する経済制裁の一時緩和を発表しましたが、価格上昇の歯止めにはなっていません。

日経平均への波及メカニズム

米国株安からの連鎖

原油高は米国経済にとってコスト上昇要因となり、企業収益の圧迫や消費者心理の悪化につながります。米国株式市場ではNYダウが4日続落し、ナスダック総合指数も軟調な展開が続いています。

東京市場は米国市場の動向に強く連動する傾向があり、前営業日の米株安を受けて売りが先行する展開が繰り返されています。3月16日の東京市場でも日経平均は前週末比191円安の5万3,627円で寄り付き、3日続落でのスタートとなりました。

調整局面入りの兆候

日経平均は2月27日に付けた終値ベースの最高値から3月9日までに10%超下落し、テクニカル面で調整局面入りを示唆しました。大和総研は中東情勢の緊迫化が日本経済の下振れリスクになると分析しており、原油高による企業のコスト増加や個人消費への悪影響が懸念されています。

為替市場ではドル円が159円台半ばで推移しており、円安進行も輸入コストの上昇を通じて物価高圧力を強めています。

船舶護衛計画と今後の見通し

各国の護衛構想

事態打開に向けた動きも出ています。トランプ米大統領はホルムズ海峡を通航するタンカーを米海軍が護衛すると表明し、ライト米エネルギー長官は3月末までに護衛を開始する可能性に言及しました。フランスのマクロン大統領も、戦況が落ち着いた後にコンテナ船護衛の共同海上任務を立ち上げたい考えを示しています。

ただし、米国の護衛提供がイランの対艦ミサイル発射を誘発するリスクも指摘されており、事態がさらにエスカレートする可能性は否定できません。

投資家が注視すべきポイント

市場関係者の間では、原油価格の動向が最大の注目材料とされています。原油先物の売買を行う投資家は株式投資家以上に地政学リスクを注視しており、原油価格がバロメーターとなっています。

一方で、「エネルギーセクター以外の銘柄に関しては絶好の買い場になり得る」との見方もあります。足元の市場はほぼ全セクターが下落していますが、各企業の業績悪化ではなく外部の地政学リスクが原因であるため、ファンダメンタルズに着目した選別投資の好機とする声も出ています。

まとめ

日経平均株価の下落は、ホルムズ海峡封鎖による原油高騰と、それに伴う米国株安という2つの要因が重なった結果です。原油価格はWTIで100ドルを超える水準にまで急騰しており、ブレント原油も同様の高値圏で推移しています。

今後の焦点は、米海軍によるタンカー護衛の実現可能性と、中東情勢の沈静化に向けた外交努力の進展です。ホルムズ海峡の正常化が見通せない限り、原油高と株安の連鎖は続く可能性があります。投資家としては、原油先物の動向と中東関連の報道を注視しつつ、過度な悲観に陥らず冷静な判断を心がけることが重要です。

参考資料:

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