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by nicoxz

SBG株が最高値から半値割れ、AI巨額投資への懸念

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はじめに

ソフトバンクグループ(SBG、証券コード9984)の株価が、2025年10月に記録した株式分割考慮後の上場来高値から半値割れとなりました。2026年3月23日の取引で一時3,381円を付け、分割調整後の高値約6,924円の半分を下回る水準に沈んでいます。

孫正義会長兼社長が3月20日に米国での巨額AI投資計画を発表したにもかかわらず、市場はこれを好材料として評価していません。むしろ、投資規模の大きさが財務リスクとして意識されている状況です。本記事では、SBG株価急落の背景と、AI投資戦略が抱えるリスクについて詳しく解説します。

SBG株価急落の経緯

上場来高値から半値への道のり

SBGは2025年10月に株価が上場来高値を更新しました。AI関連銘柄への期待が最高潮に達していた時期で、同社が推進するOpenAIとの提携やスターゲート計画への期待が株価を押し上げていました。

しかし、2026年に入ってから状況は一変しています。年初来で株価は約19%下落し、特に3月に入ってからは下落が加速しました。3月9日には一時前営業日比12.5%の急落を記録し、2025年8月以来の安値水準まで沈む場面もありました。

直近の株価動向

3月23日の取引では前営業日比177円(4.97%)安の3,381円を付けています。年初から見ると、SBG株は継続的な売り圧力にさらされており、投資家のセンチメントが大きく悪化していることがうかがえます。

巨額AI投資計画と市場の反応

オハイオ州での80兆円規模データセンター構想

孫正義CEOは3月20日、米中西部オハイオ州でAI向けデータセンターの建設に年内に着手し、単一拠点に5,000億ドル(約80兆円)を投じる構想を発表しました。ガス火力発電所の起工式に出席した孫氏は、消費電力のすべてを自給自足するという壮大な計画を披露しています。

日米の金融機関や電機大手など21社が参画する意向を示しているとされますが、市場はこの発表を好意的に受け止めませんでした。むしろ、実現可能性への疑問や、巨額投資がもたらす財務負担への懸念が先行しています。

スターゲート計画の暗雲

SBGが米OpenAI、オラクルと共同で推進する「スターゲート計画」にも暗雲が漂っています。報道によると、OpenAIとオラクルは米テキサス州での旗艦データセンターの拡張計画を取りやめました。パートナー間でデータセンターの最終的な管理権限について意見が対立し、交渉が長引いた末の決定とされています。

さらに、SBGが検討していたデータセンター企業スイッチ(Switch)の買収交渉も、2026年1月に一時中断されました。規制上の障壁が大きな課題とされ、スターゲート計画のインフラ整備に影響を与えています。

信用リスクの拡大と格付け見通しの悪化

S&Pが格付け見通しを「ネガティブ」に変更

2026年3月3日、S&Pグローバル・レーティングスはSBGの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げました。長期発行体格付けは「BB+」で据え置かれましたが、追加の300億ドル(約4.6兆円)のOpenAI投資が流動性と資産の信用力を損なう可能性があると指摘しています。

S&Pの評価によると、OpenAIはSBGの投資先の中で「最も信用力が弱い」部類に入ります。AI関連のスタートアップや非上場企業への投資が多く、AI技術革新のリスクや激しい競争にさらされているという見方です。

CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の急拡大

SBGの信用リスクを示すCDSも急拡大しています。3月9日午前時点で5年物CDSのミッドスプレッドは約380ベーシスポイント(bp)に達し、前週末の約347bpから大きく上昇しました。これは11カ月ぶりの高水準で、市場がSBGの債務返済能力に対する警戒感を強めていることを示しています。

OpenAIへの投資総額は約10兆円規模に

SBGはすでにOpenAIに300億ドル以上を投じており、さらに追加で300億ドルを投資する計画です。投資総額は646億ドル(約10兆円)に達する見通しで、これによりOpenAIの株式約13%を保有することになります。しかし、この「集中投資」が逆にリスク要因として意識されている状況です。

注意点・展望

「好材料のはずが売り材料」の背景

通常、大型投資計画の発表は企業の成長期待を高める好材料と受け止められます。しかし、SBGの場合は市場の反応が逆になっています。その背景には、以下の要因があります。

まず、投資規模が巨大すぎることです。5,000億ドルという金額はSBGの時価総額をはるかに上回り、実現可能性に疑問が持たれています。次に、スターゲート計画のパートナー間の不協和音が表面化しており、プロジェクトの円滑な推進に不透明感があります。

さらに、AI市場全体のバリュエーションに対する懸念も広がっています。AI関連銘柄は2025年後半から調整局面に入っており、SBGもその影響を大きく受けています。

今後の注目ポイント

今後は、オハイオ州のデータセンター計画の具体的な進捗と資金調達の動向が注目されます。S&Pが実際に格下げに踏み切るかどうかも重要です。SBGは資産売却による財務改善の余地があるとされていますが、AI投資を優先する孫氏の方針との整合性が問われることになるでしょう。

まとめ

SBGの株価が上場来高値から半値割れとなった背景には、単なる相場の調整ではなく、巨額AI投資に対する構造的な懸念があります。スターゲート計画の遅延、S&Pによる格付け見通し引き下げ、CDS拡大など、複数のリスク要因が重なっています。

孫正義氏のAI覇権戦略は壮大なビジョンに基づいていますが、その実現には巨額の資金調達と、パートナー企業との円滑な協力体制が不可欠です。投資家にとっては、計画の具体的な進捗と財務健全性のバランスを注視することが重要です。

参考資料:

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