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by nicoxz

トランプ訪中延期示唆、ホルムズ海峡で中国と欧州に圧力

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はじめに

トランプ米大統領は2026年3月15日、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューに応じ、3月31日から4月2日に予定していた中国訪問を「延期するかもしれない」と発言しました。ホルムズ海峡を航行する船舶の安全確保に中国が協力しないことへの不満が背景にあります。

同時にトランプ氏は、欧州のNATO同盟国に対しても協力を要求し、応じなければ「非常に厳しい未来」が待っていると警告しました。イラン紛争開始から約2週間が経過し、原油価格は1バレル100ドルを超える水準で推移しています。世界のエネルギー供給の要衝であるホルムズ海峡の安全確保をめぐり、国際社会の緊張が高まっています。

この記事では、トランプ氏の発言の背景、中国と欧州が置かれた立場、そして今後の国際情勢への影響を解説します。

トランプ大統領のFTインタビュー発言

訪中延期の可能性に言及

トランプ大統領は、FTのインタビューにおいて、習近平国家主席との北京での首脳会談について「我々は延期するかもしれない(We may delay)」と述べました。延期の具体的な期間については明言を避けています。

もともとこの訪中は3月31日から4月2日の日程で計画されていました。2025年10月の韓国・釜山でのAPEC首脳会議で合意した「米中貿易休戦」の延長が最大の議題とされており、台湾問題や安全保障も協議される予定でした。トランプ氏は、中国がホルムズ海峡の安全確保に前向きな姿勢を示すことを訪中の条件として提示した形です。

中国への具体的な要求

トランプ氏は、中国が輸入する原油の大半がホルムズ海峡を経由している事実を強調し、「中国も安全確保を支援すべきだ」と主張しました。具体的には、日本、中国、韓国、フランス、英国に対して、ホルムズ海峡に軍艦を派遣するよう呼びかけています。

中国は世界最大の原油輸入国であり、輸入原油の約半分がホルムズ海峡を通過します。また、中国が輸入する石油の約10%はイラン産です。トランプ氏はこうした中国のエネルギー依存構造を外交カードとして活用し、協力を迫っています。

NATO同盟国への厳しい警告

トランプ氏はNATO同盟国に対しても厳しい言葉を投げかけました。「我々はウクライナで彼らを助けた。今度は彼らが我々を助けるかどうかだ」と述べ、ホルムズ海峡の安全確保に「何でもやるべきだ(whatever it takes)」と要求しました。

さらに、「もし反応がないか否定的な反応であれば、NATOの未来にとって非常に悪いことになると思う」と警告しています。特に英国に対しては、スターマー首相がイラン攻撃に際して英国の軍事基地の使用を拒否したことを名指しで批判し、「英国は最も長い歴史を持つ同盟国とされるが、我々が求めた時に来なかった」と不満を示しました。

ホルムズ海峡封鎖の経緯と現状

イラン紛争とホルムズ海峡の閉鎖

2026年2月28日、米国とイスラエルがイランに対する軍事攻撃を開始しました。これを受けて3月2日、イラン革命防衛隊(IRGC)がホルムズ海峡の「閉鎖」を宣言しました。世界の海上原油輸送の約4分の1、日量約2,000万バレル相当がこの海峡を通過しており、封鎖は世界のエネルギー市場に甚大な影響を与えています。

3月9日に最高指導者に就任したモジタバ・ハメネイ師は3月12日、「ホルムズ海峡の封鎖は敵に対する圧力の手段として継続しなければならない」と表明しました。この声明を受けて原油価格はさらに上昇し、ブレント原油は1バレル100ドルの節目を突破しました。

原油価格の高騰と経済への影響

ホルムズ海峡の事実上の封鎖により、WTI原油先物価格は攻撃前の1バレル67ドル程度から一時120ドル近くまで急騰しました。その後もブレント原油は100ドル前後で推移しており、世界経済に深刻な影響を及ぼしています。

日本への影響も甚大です。日本は原油輸入の約94%を中東地域に依存しており、その約8割のタンカーがホルムズ海峡を通過します。封鎖が長期化すれば、電気・ガス料金の上昇やインフレの加速が避けられない状況です。日本は消費254日分の石油備蓄を保有しているものの、価格面での影響は既に顕在化しています。

中国の苦しい立場

イランとの友好関係と経済的依存

中国はイラン産原油の最大の買い手であり、イランにとって経済的な生命線を提供してきました。一方で中国自身も、世界最大のエネルギー輸入国としてペルシャ湾岸諸国からの原油・天然ガスに大きく依存しています。ホルムズ海峡の封鎖は、イランとの友好関係を維持しつつ自国のエネルギー安全保障も確保しなければならないという、中国にとって極めて難しい外交課題を突きつけています。

中国の独自外交

中国はこれまで、米国とイスラエルの軍事攻撃を国際法違反として批判する一方、イランに対してもホルムズ海峡の航行安全を求める独自の外交を展開してきました。中国外務省の毛寧報道官は「全ての当事者に対し、直ちに軍事行動を停止し、緊張の激化を回避するとともに、ホルムズ海峡の航行の安全を守るよう強く求める」と表明しています。

また、中国当局はイランと直接協議を行い、安全な石油輸送の再開を働きかけています。しかし、米国が求める軍艦派遣に応じれば、イランとの関係悪化は避けられません。中国にとって、トランプ氏からの圧力はまさに「踏み絵」を迫られた格好です。

石油備蓄による自衛策

CNBCの報道によれば、中国は原油備蓄の拡充を進めており、ホルムズ海峡封鎖の影響を一定程度緩和する体制を整えつつあります。しかし、封鎖が長期化すれば備蓄だけでは対応しきれず、中国経済にも深刻な打撃が及ぶことは避けられません。

注意点・展望

各国の対応が焦点

今後の焦点は、中国と欧州がトランプ氏の要求にどこまで応じるかです。中国がイランとの関係を損なわずに米国の要求に応えることは容易ではありません。一方、欧州各国もウクライナ支援で軍事リソースが逼迫する中、ホルムズ海峡への艦船派遣に踏み切れるかは不透明です。

米中首脳会談の行方

トランプ氏の訪中延期発言が実際の延期につながるかどうかは、今後数日間の外交交渉次第です。貿易休戦の延長や台湾問題など、米中間には協議すべき重要課題が山積しており、両国とも首脳会談の完全な中止は望んでいないとみられます。延期発言は交渉カードとしての側面が強いという見方もあります。

原油価格の先行き

ホルムズ海峡の封鎖が解除される見通しは立っておらず、原油価格の高止まりが続く可能性があります。封鎖の長期化は世界的なインフレ圧力を高め、各国の金融政策にも影響を及ぼすことが予想されます。

まとめ

トランプ大統領による訪中延期の示唆とNATOへの警告は、ホルムズ海峡の安全確保を最優先課題に位置づける姿勢を鮮明にしたものです。中国はイランとの関係維持と自国のエネルギー安全保障の間で難しい判断を迫られています。欧州もNATOの将来を左右する対応を求められています。

今後の展開として、中国の外交的対応、欧州各国の軍事的関与の可否、そして原油市場の動向が注目されます。ホルムズ海峡をめぐる各国の動きが、国際秩序の再編につながる可能性もあり、引き続き注視が必要です。

参考資料:

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