安藤忠雄が膵臓がんで再手術、5臓器摘出後も挑戦し続ける建築家
はじめに
世界的建築家の安藤忠雄氏(84歳)が、膵臓がんで再び手術を受けたことが明らかになりました。安藤氏は2009年に胆のう・胆管・十二指腸を、2014年に膵臓・脾臓を全摘し、計5つの臓器を失いながらも建築の第一線で活躍を続けてきた人物です。
「5臓ないなら、ないなりに」という言葉に象徴される不屈の精神で、がんと向き合い続ける安藤氏の歩みと、現在も精力的に進める建築プロジェクトについて解説します。
2度のがん手術と5臓器の全摘
2009年、68歳での最初の手術
安藤忠雄氏のがんとの闘いは2009年に始まりました。68歳の時に十二指腸乳頭部に腫瘍が見つかり、胆のうと胆管から十二指腸までを全摘する大手術を受けています。
手術後の回復に全力を注いだ結果、約3週間で退院にこぎつけました。復職直後は仕事量を半分に抑えざるを得ませんでしたが、その時間を「これまで忙しさに追われて読めなかった本をじっくり読む機会」に変えました。読書と思索の時間が、その後の建築活動に新たな深みをもたらしたといいます。
2014年、膵臓がん発覚と11時間の手術
徐々に体調を回復させていた2014年6月、今度は膵臓の中央にがんが発見されます。医師からは膵臓と脾臓の全摘を告げられました。
この時、医師は安藤氏に「膵臓を全摘して生きている人はいますが、元気になった人はいません」と伝えたといいます。しかし安藤氏は「それなら、元気になる最初の人間になってやる」と闘志を燃やしました。
手術は7月11日に行われ、約11時間に及ぶ大手術でした。注目すべきは、その前日の7月10日にノーベル賞受賞者の山中伸弥氏との対談イベントに予定通り出席していたことです。翌朝の大手術を前にしても、約束を守り通す姿勢に安藤氏の生き方が凝縮されています。
5つの臓器を失ってなお
2度の手術で摘出された臓器は、胆のう、胆管、十二指腸、膵臓、脾臓の計5つです。特に膵臓の全摘は、インスリンの自己分泌ができなくなることを意味し、生涯にわたるインスリン注射が必要になります。
それでも安藤氏は「臓器を5つ摘出しても、落ちこまない。人生はこれからだ」と語り、1日1万歩の散歩を日課にするなど、健康管理に努めながら仕事に復帰しました。
84歳の現在も続く建築への情熱
直島新美術館の開館
安藤氏の最新プロジェクトとして注目されるのが、2025年5月31日に開館した直島新美術館です。瀬戸内海の直島で安藤氏が手がけた建築はこれで10棟目となりました。
ベネッセアートサイト直島のプロジェクトは、1992年の「ベネッセハウス ミュージアム」に始まり、「地中美術館」「李禹煥美術館」など、島の風景と一体化した建築群を生み出してきました。30年以上にわたるこの壮大なプロジェクトは、安藤建築の集大成ともいえます。
グラングリーン大阪での大規模個展
2025年には、大阪・うめきたのグラングリーン大阪に設けられた文化装置「VS.(ヴイエス)」で、大規模個展「安藤忠雄展|青春」が開催されました。2017年の東京・国立新美術館での展覧会以来となる大型展示で、安藤氏自身が設計した会場空間で作品群が紹介されています。
展覧会のタイトル「青春」には、84歳にしてなお「生涯、青いリンゴのように生きたい」という安藤氏の信念が込められています。ギャラリートークやサイン会にも自ら登壇し、来場者と直接交流する姿が話題になりました。
社会貢献活動への取り組み
建築の仕事と並行して、社会貢献活動にも力を入れ続けています。大阪市の桜之宮公園から中之島公園を結ぶルートに桜を植樹する運動「桜の会・平成の通り抜け」の実行委員長を務めるなど、故郷・大阪への貢献も続けています。
また「次の時代を担うのは子どもたち。彼らが誇りを持って生きられる社会でありたい」と語り、子どもたちの教育支援にも取り組んでいます。
注意点・展望
安藤氏のがん克服の物語は多くの人に勇気を与えますが、膵臓がんは5年生存率が極めて低いがんとして知られています。安藤氏の回復は、本人の強い意志とともに、早期発見と適切な医療処置があってこそ実現したものです。
今回の再手術の詳細はまだ明らかになっていませんが、過去2度の大手術を乗り越えてきた安藤氏の回復力に期待が寄せられます。
安藤氏は「何も怖がらない人生を生きたい。止まったらいかん」という言葉を残しています。建築家としてのキャリアは独学で始まり、プロボクサーを目指した時期もありました。常に逆境を力に変えてきた安藤氏の姿勢は、がんとの闘いにおいても変わりません。
今後も進行中のプロジェクトが複数あるとされ、建築界のレジェンドの挑戦はまだ終わっていません。
まとめ
建築家・安藤忠雄氏が膵臓がんで再び手術を受けたことが報じられました。2009年と2014年の2度のがん手術で計5つの臓器を摘出しながらも、直島新美術館やグラングリーン大阪の展覧会など、精力的な活動を続けてきた安藤氏。「5臓ないなら、ないなりに」という前向きな姿勢は、多くの人に勇気を与えています。
84歳にして「生涯、青春していたい」と語る安藤氏の不屈の精神と建築への情熱は、がんサバイバーのみならず、すべての人に「挑戦し続けること」の大切さを示しています。一日も早い回復を願い、今後の活躍を見守りたいところです。
参考資料:
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