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by nicoxz

ChatGPT利用率33%とマイナ保険証65%が示す日本のデジタル化

by nicoxz
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はじめに

日本におけるデジタルサービスの普及が加速しています。最新の世論調査によると、生成AIサービス「ChatGPT」の利用経験者は33%に達し、前回調査の20%から大幅に増加しました。また、マイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」の利用経験も65%に上っています。

これらの数字は、日本社会のデジタル化が着実に進んでいることを示しています。本記事では、生成AIとマイナ保険証の普及状況をデータで読み解き、日本のデジタル化の現在地と今後の展望を解説します。

生成AI「ChatGPT」利用率が急伸

利用率33%の意味するもの

ChatGPTの利用経験率は「頻繁に利用している」「利用したことがある」を合わせて33%となりました。2024年の前回調査では20%でしたので、1年で13ポイントもの上昇です。日本においても生成AIが一部のテクノロジー愛好家のものから、一般的なツールへと変化しつつあることが分かります。

ICT総研が2026年2月に実施した別の調査でも、生成AIサービス全体の利用経験率は54.7%に達しています。サービス別ではChatGPTが36.2%でトップ、Google Geminiが25.0%、Microsoft Copilotが13.3%、Claudeが4.3%と続いています。

Geminiの急成長とAI勢力図の変化

注目すべきはGeminiの急成長です。前回調査でChatGPTが18.3%、Geminiが8.9%だった利用率は、今回それぞれ36.2%、25.0%へと大幅に伸びました。Geminiの増加率は約2.8倍に達しており、Google検索やGoogle Workspaceとの統合が追い風となっています。

生成AIの勢力図は一強状態から多極化へと変わりつつあります。Copilotも5.4%から13.3%へと約2.5倍に増加しており、Microsoft Office製品との連携が利用拡大を後押ししています。

年代別に見る利用格差

生成AIの利用率には年代による明確な差があります。20代の利用経験率は40%を超えており、特に男性20代ではChatGPTだけで約39%の利用率を記録しています。一方、50代以上では利用率が大きく下がる傾向が見られます。

総務省の情報通信白書(令和7年版)によると、20代で44.7%が生成AIを「使っている(過去使ったことがある)」と回答しています。若年層がデジタルネイティブとして新技術を積極的に取り入れる一方、中高年層との間にデジタルデバイドが広がっています。

マイナ保険証の利用が65%に到達

紙の保険証廃止がもたらした変化

マイナ保険証の利用経験が65%に達した背景には、2025年12月1日の従来型保険証の新規発行停止があります。厚生労働省の発表によると、2025年12月時点のマイナ保険証利用率は63.24%に達しました。11月の49.48%からわずか1カ月で約14ポイントも急上昇しています。

この急増は、紙の保険証が「有効期限」を迎えたことによる駆け込み利用が主因です。制度変更が利用を事実上強制する形となり、利用率が一気に跳ね上がりました。

暫定措置と今後のスケジュール

紙やプラスチック製の保険証は2025年12月1日をもって新規発行が終了しましたが、厚生労働省は2026年3月末までを暫定的な利用期限として設定しています。この期限を過ぎると、マイナ保険証を持っていない場合は「資格確認書」で医療機関を受診することになります。

2026年3月以降、マイナ保険証を持たない方には健康保険組合や自治体から資格確認書が交付されます。ただし、資格確認書はあくまで経過措置であり、政府はマイナ保険証への完全移行を目指しています。

スマホ保険証の登場

2025年9月からは、スマートフォンにマイナ保険証機能を搭載できる「スマホ保険証」の運用も開始されています。2026年2月1日時点で、全国の医療機関の約48.7%が汎用カードリーダーの導入によりスマホ保険証に対応済みです。

マイナンバーカードを持ち歩かなくてもスマートフォンだけで受診できるようになるため、利便性の向上が期待されています。ただし、対応医療機関がまだ半数に達していないことは、普及に向けた課題です。

デジタル化の進展と残る課題

利用率の裏にある「受動的な普及」

マイナ保険証の利用率65%という数字は、必ずしも利用者が積極的にデジタル化を受け入れた結果ではありません。紙の保険証廃止という制度変更が利用を促した「受動的な普及」という側面があります。

一方、ChatGPTの利用率33%は、ユーザーが自発的に使い始めた「能動的な普及」です。両者の普及パターンの違いは、日本のデジタル化推進における重要な示唆を含んでいます。制度的な強制力がなければデジタル化が進みにくい一方、実用的な価値が明確なサービスは自然に普及するという構図です。

日本のデジタル化は進んでいるのか

日本の生成AI利用率は主要国と比較するとまだ低い水準にあります。総務省の情報通信白書によると、日本全体の生成AI利用経験率26.7%は、米国や中国と比べて後れを取っています。

ただし、日本国内の生成AIサービス利用者数は2026年末に3,553万人、2029年末には5,160万人に達すると予測されています。成長率という観点では着実に伸びており、今後数年で大きく普及が進む可能性があります。

注意点・展望

よくある誤解

「ChatGPT利用率33%」という数字は「利用したことがある」を含む累計の数値であり、日常的に使っている人の割合ではありません。「頻繁に利用している」だけで見ると、数字はかなり小さくなります。

同様に、マイナ保険証の利用率65%も「利用経験がある」という数字であり、毎回マイナ保険証を使って受診している人の割合とは異なります。医療機関によっては対応が不十分なケースもあり、実際の定着度は数字だけでは測れません。

今後の見通し

生成AI市場は今後も拡大が続く見込みです。ChatGPTだけでなく、Gemini、Copilot、Claudeなど複数のサービスが競争する中で、用途に応じた使い分けが進むと考えられます。

マイナ保険証については、2026年3月末の暫定期限の終了後にさらに利用率が上がる可能性があります。スマホ保険証の普及や医療機関の対応拡大が、利便性の向上につながるかが鍵です。

まとめ

ChatGPTの利用率33%とマイナ保険証の利用経験65%は、日本のデジタル化が確実に進んでいることを示すデータです。生成AIは自発的な普及、マイナ保険証は制度主導の普及と、パターンは異なりますが、いずれも社会のデジタルシフトを象徴しています。

今後は、デジタルサービスの利便性向上と年代間のデジタルデバイド解消が重要な課題となります。技術の進歩と制度設計の両面から、すべての世代がデジタル化の恩恵を受けられる社会の実現が求められています。

参考資料:

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