中国春節で延べ95億人移動へ、日本離れ鮮明に
はじめに
中国政府は2026年1月29日、春節(旧正月)前後の大型移動期間「春運」において、延べ95億人が移動するとの予測を発表しました。前年同期比5%増で、過去最高を更新する見通しです。
世界最大規模の人の移動として知られる春運ですが、今年注目すべきは海外旅行先の変化です。中国の旅行サイトの集計では、人気渡航先トップ10に日本の都市が入っていません。昨年まで1位だった日本が圏外になった背景には、日中関係の緊張があります。この記事では、2026年春節の移動予測と海外旅行トレンドの変化、そして日本のインバウンドへの影響を解説します。
過去最多95億人の大移動
春運の規模と期間
2026年の春節連休は2月15日から23日までの9日間です。春運の対象期間はそれよりも長く、2月2日(一部報道では2月3日)から3月13日までの計40日間に設定されています。この期間に鉄道、航空、道路、水路などあらゆる交通手段で延べ95億人が移動すると予測されています。
鉄道だけでも延べ約5億3,900万人の旅客輸送が見込まれ、前年同期比5.0%増となっています。帰省ラッシュのピークは2月13日、Uターンラッシュのピークは連休最終日の2月23日と予測されています。
航空・都市部の動向
中国民用航空局(CAAC)によると、春運期間中の航空旅客数は9,500万人、1日平均238万人と過去最高を更新する見込みです。平均運航便数は1日あたり約1万9,400便で前年比5%増となっています。
上海市だけを見ても、春運期間の対外旅客輸送量は延べ4,915万人と予測されており、前年同期比5%増加する見通しです。中国経済の回復に伴い、国内旅行需要は引き続き堅調に推移しています。
海外旅行先で韓国が急浮上、日本は圏外に
人気渡航先ランキングの激変
中国の旅行アプリ「去哪児(チューナール)」や「携程網(シートリップ)」の集計によると、2026年の春節における人気海外旅行先は大きく変動しています。近距離では韓国(ソウル)が1位、タイ(バンコク)が2位、ベトナムが続く構図です。長距離ではオーストラリア、ニュージーランド、スペインなどが人気を集めています。
注目すべきは、どの旅行サイトのランキングを見ても日本の都市名が上がっていない点です。年始連休(1月1〜3日)の実績でも韓国が前年同期比3.8倍と急増しており、この傾向は春節でも続くと見られています。
日本が人気を失った背景
2025年の春節では、海外旅行予定者のうち日本が24.3%で堂々の1位でした。韓国は17.2%で3位にとどまっていました。わずか1年で状況が大きく逆転した形です。
この背景には、日中関係の悪化があります。2025年11月の高市早苗首相の国会答弁をきっかけに中国側が反発し、中国政府が日本への渡航自粛を呼びかけました。中国メディアの報道では、春運期間中の中国から日本への航空便数は前年比4割以上減少する見通しです。
韓国人気の理由
韓国が急浮上した理由としては、地理的な近さに加え、K-POPや韓国ドラマの影響、円安と比較した際のウォン安メリット、さらに日本渡航の代替先としての位置づけがあります。ただし、韓国社会では「嫌中」ムードが高まっているという皮肉な状況も報じられています。
日本のインバウンドへの影響と今後の展望
短期的な影響
日本の観光業界にとって、中国人観光客の減少は無視できないインパクトです。中国はコロナ前まで訪日外国人の最大のシェアを占めており、2025年にはコロナ前の水準を超える回復を見せていました。春節は特に中国人観光客が多い時期であり、今年の落ち込みは地域経済や小売業に影響を与える可能性があります。
長期的な視点
ただし、日本の2025年の訪日外国人数は全体として過去最高を記録しており、韓国、台湾、東南アジアからの旅行者が増加しています。中国一国への依存度は以前より低下しており、多角的なインバウンド戦略が奏功しているとの見方もあります。
日中関係の行方次第では、中国人観光客が再び日本に戻る可能性もあります。しかし、政治的要因による旅行先の変動リスクは、今後のインバウンド戦略において重要な考慮事項です。
まとめ
2026年の中国春節は、延べ95億人という過去最多の移動が見込まれています。中国国内の旅行需要は堅調ですが、海外旅行先では韓国やタイが人気を集め、日本はトップ10圏外という異例の状況です。日中関係の緊張が観光にも波及した形であり、日本のインバウンド戦略は中国依存からの分散がますます重要になっています。
参考資料:
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