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by nicoxz

国産半導体の売上高目標2040年に40兆円、政府が行程表策定へ

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はじめに

日本政府が国内半導体産業の復権に向けて、野心的な数値目標を掲げる方針であることが明らかになりました。2040年までに国内半導体の売上高を40兆円に引き上げるという目標です。

2020年時点で約5兆円だった国内半導体の売上高は、2030年に15兆円超を目指す中間目標が既に掲げられていますが、今回はさらにその先の2040年を見据えた長期ビジョンとなります。3月10日にも開催される日本成長戦略会議(議長・高市早苗首相)で、官民連携による「危機管理・成長投資」の行程表の素案が示される見通しです。

AI(人工知能)やデータセンターの需要が爆発的に拡大する中、半導体の安定供給は国家安全保障にも直結する課題です。この記事では、日本の半導体戦略の全体像と、40兆円目標の実現可能性について解説します。

日本の半導体戦略の現在地

「2030年15兆円」から「2040年40兆円」へ

日本政府は2021年6月に「半導体・デジタル産業戦略」を策定し、2023年6月に改定を行いました。この戦略では、国内半導体関連企業の売上高を2030年に15兆円超とする目標が掲げられています。

今回の「2040年40兆円」は、その延長線上にある長期目標です。2020年の約5兆円から2030年に15兆円、そして2040年に40兆円という成長カーブは、年平均で約10%の成長率を意味します。半導体市場全体が拡大基調にある中で、日本のシェアを現在の約10%から15%程度に回復させる狙いがあります。

高市政権の成長戦略における位置づけ

高市早苗首相は2025年10月の所信表明演説で、「責任ある積極財政」と「危機管理投資」を経済政策の柱に据えることを表明しました。その具体策を議論するために設置された日本成長戦略会議では、AI・半導体を含む17の戦略分野が選定されています。

2025年12月に成立した補正予算では、一般会計の総額18.3兆円のうち6.4兆円が危機管理投資・成長投資に充てられました。半導体分野はその中でも最重点項目の一つとして位置づけられており、自民党の半導体戦略推進議員連盟は毎年1兆円規模の予算確保を目指す考えを示しています。

成長を支える3つの柱

ラピダスによる最先端半導体の国産化

日本の半導体戦略の象徴的存在が、ラピダス(Rapidus)です。トヨタ自動車やソニーグループ、NTTなど国内有力8社の出資により2022年に設立されたラピダスは、回路線幅2ナノメートルという世界最先端のロジック半導体の量産を目指しています。

2027年度後半に北海道千歳市の工場で量産を開始する計画で、現在はIBMとの技術連携を通じて試作ラインの歩留まり改善を進めています。政府の累計支援額は1兆7,225億円に達しており、2031年度の上場も見据えた事業基盤の構築が進行中です。

さらに2025年12月には、既存の設計支援ツール(EDA)と併用することで設計期間を50%、設計コストを30%削減できる独自ツールの開発も発表されました。2026年から順次提供される予定です。

AI・データセンター需要への対応

40兆円目標の背景にあるのは、AIとデータセンターの爆発的な需要拡大です。生成AIの普及に伴い、AIチップの需要は年率30%以上で成長しているとされます。世界の半導体市場全体も2030年に100兆円規模に達するとの予測があり、この巨大市場での存在感を高めることが日本の成長に不可欠です。

政府は最先端半導体の研究・開発拠点を国内に整備し、AIやデータセンター向けのチップ供給体制を強化する方針です。これにより、日本が単なる半導体の消費国ではなく、供給側としての地位を確立することを目指しています。

既存半導体メーカーの競争力強化

最先端チップだけでなく、パワー半導体やアナログ半導体など、既存の強みを持つ分野の競争力強化も重要な柱です。ルネサスエレクトロニクス、ロームなどの国内メーカーは、自動車やIoT向けの半導体で世界的な競争力を持っています。

EV(電気自動車)の普及に伴うパワー半導体の需要増や、産業用IoTの拡大は、日本の既存メーカーにとって大きなビジネスチャンスです。政府の支援と民間投資の両輪で、これらの分野でもシェア拡大を図ります。

注意点・課題と今後の展望

人材確保と技術の持続可能性

40兆円目標の最大の課題は、それを支える人材の確保です。半導体の設計・製造には高度な専門人材が必要ですが、日本の半導体産業は長年の低迷期に多くの人材を失いました。北海道を中心とした拠点整備に合わせて、大学や高等専門学校での人材育成プログラムの拡充が急務です。

また、半導体技術は進化のスピードが速く、巨額の投資を行っても技術的な優位性が維持できるかという懸念もあります。TSMCやサムスンといった世界のトッププレーヤーとの競争は熾烈であり、継続的な研究開発投資が不可欠です。

地政学リスクと経済安全保障

米中対立の深まりや台湾海峡の緊張は、半導体のサプライチェーンに大きなリスクをもたらしています。世界の先端半導体の大部分を台湾のTSMCが製造している現状は、有事の際に深刻な供給途絶を引き起こす可能性があります。日本国内での製造能力を高めることは、経済安全保障の観点からも極めて重要な取り組みです。

まとめ

政府が掲げる「2040年に半導体売上高40兆円」という目標は、日本の産業競争力と経済安全保障を左右する国家的な取り組みです。ラピダスの最先端チップ開発、AI・データセンター向けの需要取り込み、既存メーカーの競争力強化という3つの柱を軸に、官民連携で実現を目指します。

3月10日に予定される日本成長戦略会議では、この目標を含む行程表の素案が示される見通しです。人材育成や技術の持続性、地政学リスクなど課題は山積していますが、今夏に策定される成長戦略の具体的な内容に注目が集まります。

参考資料:

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