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by nicoxz

1分間に660個割卵、岡山の共和機械が国内シェアトップの秘密

by nicoxz
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はじめに

1分間に660個の卵を割る「高速割卵機」をご存じでしょうか。この驚異的なスピードを実現しているのが、岡山県津山市に本社を構える共和機械です。

同社はキユーピーとの共同開発で生まれた高速割卵機で稼働台数ベースの国内シェア1位を誇ります。日本国内で消費される250万トンの鶏卵のうち、約50%が同社の機械を通じて処理されています。

卵に特化した機械メーカーとして、世界21カ国に製品を展開する共和機械の技術力と、その独自の歴史をご紹介します。

14歳少年の発明から始まった歴史

世界初の自動洗卵機

共和機械の始まりは1959年にさかのぼります。当時14歳だった創業家の少年が、家業の養鶏場を手伝う中で、卵を一つひとつ手作業で洗う大変さに着目しました。少年は卵の洗浄器を考案し、大手新聞社主催の「学生児童発明工夫展」に出展したところ、なんと総理大臣賞を受賞します。

この反響を受け、技術研究が得意だった父親の友末弘が本格的な自動洗卵機を開発しました。これが世界初の自動洗卵機となり、翌1960年に共和機械工業所として創業します。

卵に特化した唯一のメーカーへ

創業以来、共和機械は「卵」に特化した一連の機械を開発し続けてきました。洗卵機からスタートし、卵の大きさを自動で選別する装置、ひび割れや中身の品質を高精度で検査する装置など、時代のニーズに応じた技術開発を重ねています。

設計から製造までを自社工場で一貫して行う体制が大きな強みです。養鶏場や食品工場ごとに異なる細かなニーズに、柔軟に対応できます。

高速割卵機QK-S660の技術

1分間660個の驚異的スピード

共和機械の看板製品である高速割卵機QK-S660は、1分間に660個の卵を割ることができます。1列に整列した卵が高速で移動し、底部に刃が入ることで次々と中身が落ちていく仕組みです。2つのナイフの刃先が精密に連動し、殻を割りながら卵黄と卵白を正確に分離します。

毎時に換算すると3万9600個、つまり約4万個の卵を処理できる能力です。食品工場の大量生産ラインに欠かせない存在となっています。

キユーピーとの共同開発

1987年、共和機械はマヨネーズ最大手のキユーピーと共同で、国内初の大型高速割卵機QP-N600を開発しました。毎時3万6000個の処理能力を持つこの機器は、キユーピーのマヨネーズ製造ラインに導入され、大きな成功を収めます。

この共同開発を契機に、共和機械の高速割卵機は食品業界に広く普及しました。現在の稼働台数ベースで国内シェア1位を維持しています。

岡山の養鶏文化が育てた技術力

なぜ岡山から世界へ

共和機械が岡山県津山市で生まれたのは偶然ではありません。岡山県は古くから養鶏が盛んな地域で、鶏卵の生産量は全国でも上位に位置してきました。地元の養鶏農家の困りごとを直接聞き、それを製品化に生かしてきたことが、同社の技術力の源泉です。

「顧客の声を形にする」という姿勢は創業以来変わっていません。養鶏場で働く人たちの「もっと速く」「もっと正確に」という要望に応え続けた結果、世界でも類を見ない卵専用機械メーカーへと成長しました。

世界21カ国への展開

共和機械の製品は現在、アジア、中東、アフリカなど世界21カ国に輸出されています。国によって卵の大きさや品質基準が異なるため、各国の事情に合わせたカスタマイズが求められます。一貫生産体制があるからこそ、こうした多様なニーズに対応できるのです。

洗卵選別包装システムの処理能力も進化を続けており、最新モデルでは毎時9万卵の処理が可能です。

注意点・今後の展望

卵業界を取り巻く環境変化

近年、鳥インフルエンザの流行による卵不足や卵価格の高騰が社会問題となっています。こうした状況下で、卵を無駄なく効率的に処理する技術の重要性はますます高まっています。

共和機械は小型の自動割卵機の開発にも取り組んでおり、大規模工場だけでなく、スーパーマーケットや菓子店など小規模事業者向けの市場開拓も進めています。手回し式のモデルも用意するなど、幅広いニーズへの対応を図っています。

ニッチトップ企業の強み

共和機械のように、特定分野で圧倒的なシェアを持つ「ニッチトップ企業」は、日本の地方に数多く存在します。大手企業との競争を避けながら、専門性と技術力で独自のポジションを築くビジネスモデルは、地方創生の成功例としても注目されています。

まとめ

岡山県津山市の共和機械は、14歳の少年の発明をきっかけに生まれ、卵に特化した機械開発で国内トップの座を獲得しました。キユーピーとの共同開発で培った高速割卵技術は、日本の食品産業を支える重要なインフラです。

地元の養鶏文化に根ざした顧客密着型の開発姿勢と、設計から製造までの一貫体制が競争力の源泉です。ニッチな分野で世界に通用する技術を磨き続ける姿は、日本のものづくりの強さを体現しています。

参考資料:

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