Research
Research

by nicoxz

日経平均一時1400円高、SBG急騰が牽引した株高の背景

by nicoxz
URLをコピーしました

はじめに

2026年3月11日の東京株式市場で、日経平均株価が大幅に続伸しました。前場の取引では前日比1139円高の5万5387円まで上昇し、午後には上げ幅が一時1400円を超える場面もありました。3営業日ぶりに節目の5万5000円台を回復しています。

この急騰を牽引したのが、ソフトバンクグループ(SBG)です。SBG1銘柄だけで日経平均を約244円分押し上げる寄与度を見せました。背景にあるのは、米オラクルの好決算とAIインフラ投資への期待です。中東情勢の緊張が続くなかでも個人投資家の買い意欲は衰えず、相場の底堅さを印象づけました。

オラクル好決算がSBG急騰の引き金に

売上高22%増、クラウド収益は44%成長

3月10日に発表された米オラクルの2026年度第3四半期(2025年12月〜2026年2月)決算は、市場の予想を上回る好内容でした。売上高は前年同期比22%増の172億ドルに達し、とりわけクラウド収益は44%増の89億ドルと急拡大しています。クラウドが売上全体の52%を占め、同社がクラウド企業へと本格的に転換しつつあることを示しました。

1株当たり利益(EPS)は1.79ドルと、アナリスト予想の1.70ドルを上回りました。2027年度の売上高見通しも900億ドルに引き上げられ、時間外取引でオラクル株は一時10%上昇しています。特にAIインフラ関連の収益が前年同期比243%増と爆発的な成長を遂げたことが注目されました。

スターゲート計画が示す巨大市場

オラクルの好業績がSBGの株価を押し上げた背景には、両社が共同で推進する「スターゲート計画」の存在があります。スターゲートは、SBG、オラクル、OpenAIの3社が2025年1月にトランプ大統領の立ち会いのもとで発表したAIインフラ投資プロジェクトです。2029年までに最大5000億ドル(約75兆円)を米国内のAIデータセンター建設に投じる計画で、AI時代の基幹インフラを担うことを目指しています。

テキサス州アビリーンの旗艦施設はすでに2棟が稼働を開始し、NVIDIAのGB200 AIラックが納入されて初期のモデル訓練が行われています。オラクルは同施設で最終的に45万基以上のGB200 GPUを展開する15年間のリース契約を締結しました。さらに、テキサス州、ニューメキシコ州、オハイオ州など5カ所の新拠点が発表され、計画容量は約7ギガワット、投資額は4000億ドル超に達しています。

オラクルの決算でAI関連受注が収益化されている実態が確認されたことは、スターゲート計画が「絵に描いた餅」ではなく実際に稼げるビジネスであることを証明したといえます。SBGにとっても、AI投資の成長ストーリーが一段と現実味を帯びたことが株価急騰の原動力となりました。

SBGの業績好調と高まるAI投資期待

純利益5倍、OpenAI出資が利益を押し上げ

SBG自体の業績も好調です。2026年3月期第3四半期決算では、連結最終利益が前年同期比5倍の3兆1726億円に急拡大しました。売上高は5兆7192億円(前年同期比7.9%増)となっています。この大幅増益の主因は、OpenAIへの出資に伴う投資利益です。

孫正義会長兼社長が掲げる「AI革命の中核プレーヤーになる」という戦略が、スターゲート計画への参画やOpenAIとの提携を通じて具体的な利益に結びついています。市場からは、SBGがAI時代の「プラットフォーマー」としての地位を確立しつつあるとの評価が高まっています。

日本国内でもAIクラウド展開

SBGの子会社であるソフトバンク株式会社は、オラクルの技術を活用した日本独自のAIクラウドサービス「Cloud PF Type A」を2026年4月に開始する予定です。国内でもAI基盤の収益化が進むことで、グループ全体の成長加速が期待されています。

中東緊張下でも旺盛な個人の買い意欲

急落からの回復過程

東京株式市場は、2月28日に米国とイスラエルがイランに対する軍事作戦を開始したことで大きく動揺しました。中東の地政学リスクが急速に高まり、日経平均は一時大幅に下落しています。

しかし、その後の回復は予想以上に早いものでした。3月10日にはトランプ大統領がイランとの対話について「条件次第では可能だ」と発言し、紛争の早期終結への期待が浮上しました。原油先物価格が一時31%上昇から1バレル90ドル割れまで急落したことも、株式市場にとっては追い風となりました。前日の3月10日にも日経平均は1519円高と大幅に反発しており、2日連続の大幅上昇となっています。

個人投資家の押し目買い

注目すべきは、有事にもかかわらず個人投資家の買い意欲が衰えていない点です。中東情勢の混乱で株価が急落した局面を、個人投資家は「押し目買い」の好機と捉えました。歴史的に見ても、地政学リスクによる急落は一時的なものに終わることが多く、情勢がある程度見えてくると、インフレヘッジの目的も含めて株式への資金流入が戻る傾向があります。

フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が底堅い動きを見せたことも、東京市場でハイテク・半導体関連株の支えとなりました。AI関連投資への期待と、中東リスクの後退が重なり、個人を中心とした買いが加速した格好です。

注意点・今後の展望

今回の急騰には注意すべき点もあります。まず、日経平均の上げ幅は午後にかけて縮小し、大引けでは前日比776円高の5万5025円と、一時の1400円高からはかなり上げ幅を縮めました。利益確定売りの圧力も根強いことを示しています。

中東情勢については、トランプ大統領が「4〜5週間と予測していたが、それよりはるかに長期間実施する能力がある」と発言するなど、短期終結のシナリオが必ずしも確定していません。紛争が長期化すれば、原油価格の再上昇やサプライチェーンの混乱を通じて、再び市場に下押し圧力がかかる可能性があります。

スターゲート計画についても、3社間で施設の所有権や設計の主導権を巡る意見の対立が報じられています。計画の遅延リスクは引き続き注視が必要です。

一方、紛争が短期間で収束に向かえば、原油価格の低下とリスク回避姿勢の後退により、日経平均は再び上昇基調を取り戻す展開が予想されます。AI関連投資の拡大という構造的な成長テーマは健在であり、中長期的にはSBGをはじめとするAI関連銘柄への注目は続くでしょう。

まとめ

3月11日の日経平均一時1400円超の急騰は、オラクルの好決算を契機としたSBGの急騰と、中東リスク後退による買い安心感が重なった結果です。スターゲート計画に代表されるAIインフラ投資の成長期待は、今や日本の株式市場にとっても大きなテーマとなっています。

中東情勢の不透明さは残るものの、個人投資家の旺盛な買い意欲は市場の底堅さを支えています。投資判断にあたっては、地政学リスクの推移とAI関連企業の業績動向の両面を注視していくことが重要です。

参考資料:

関連記事

最新ニュース