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by nicoxz

日経平均は原油高で乱高下もプラス圏で着地、フィジカルAI関連は一服

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はじめに

2026年3月6日の東京株式市場は、投資家にとって目まぐるしい一日となりました。前日の米国株式市場が中東情勢の悪化と原油価格の急騰を受けて下落した流れを引き継ぎ、日経平均株価は朝方から大きく売り込まれました。一時は前日比で700円を超える下げ幅を記録する場面もあり、市場には緊張感が漂いました。

しかし、売りが一巡すると値ごろ感に着目した押し目買いが入り、午前11時過ぎにはプラス圏に浮上。最終的に日経平均は前日比342円高の55,620円で取引を終え、続伸となりました。原油高という逆風のなかでも底堅さを見せた一方、年初から市場を賑わせてきたフィジカルAI関連銘柄の買いには一服感が見られました。本記事では、当日の値動きの背景と今後の注目点を詳しく解説します。

原油急騰と中東情勢が市場を揺さぶる

ホルムズ海峡封鎖がもたらした衝撃

3月6日の東京市場を大きく揺さぶったのは、中東情勢の急激な悪化に伴う原油価格の急騰でした。2月28日に開始された米国・イスラエルによるイランへの軍事攻撃「エピック・フューリー作戦」は、3月6日時点で7日目に突入。エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上の封鎖状態に陥り、世界のエネルギー市場に深刻な影響を及ぼしています。

イラン革命防衛隊はペルシャ湾内でタンカー3隻を攻撃したと発表し、日本郵船や川崎汽船などの国内大手海運会社もホルムズ海峡の通航を停止しました。世界の原油輸出量の約20%がホルムズ海峡を経由しており、この封鎖は国際的なエネルギー供給に大きな打撃を与えています。

原油価格は90ドル突破、100ドルも視野に

WTI原油先物は3月6日に1バレル90ドルを突破し、2023年10月以来の高値水準を記録しました。週間の上昇率は約35%に達し、過去20年間で最大級の上昇となりました。市場関係者の間では、ホルムズ海峡の通航停止が続けば、数日以内に1バレル100ドルに到達するとの予測も複数出ています。

日本は原油の中東依存度が約94%に達し、そのうち約9割がホルムズ海峡を経由しています。原油価格の高騰はガソリンや物流コストの上昇を通じて、日本のインフレを一段と加速させるリスクがあり、消費者や企業にとって大きな懸念材料となっています。

前日の米国市場も軟調

5日の米国市場では、イランがペルシャ湾で米国のタンカーを攻撃したとの報道を受けて、ホルムズ海峡封鎖への懸念が再燃しました。S&P500は前日比38.79ポイント安(-0.56%)の6,830.71ポイントで取引を終了。セクター別では生活必需品が-2.43%、素材が-2.27%と大きく下げた一方、エネルギーセクターは+0.59%と逆行高を見せました。

原油高によるインフレ加速への懸念が市場全体の重荷となり、翌日の東京市場にも大きな影を落としました。

日経平均の値動き:朝安から切り返す底堅い展開

一時700円超の急落も売り一巡後は反転

6日の東京市場は、前日の米国株安を受けて売り先行で始まりました。日経平均の始値は54,674円と、前日終値の55,278円から大きく下げてスタート。午前中には一時54,513円まで下落し、前日比で760円超のマイナスとなりました。

しかし、この急落が逆に投資家の押し目買い意欲を喚起しました。売りが一巡すると下値に買いが流入し、半導体関連株や値がさ株の一角に買いが入る展開に。午前11時過ぎにはプラス圏に浮上し、その後は買い優勢の地合いが続きました。高値は55,686円を記録し、朝方の安値から約1,173円もの値幅を出す激しい動きとなりました。

個別銘柄では半導体関連が牽引

大引けでは、日経平均は前日比342円高(+0.62%)の55,620円で着地。JX金属やアドバンテスト、ディスコといった半導体関連銘柄が堅調に推移し、ソフトバンクグループも上昇しました。

中東情勢への警戒感が根強いなかでも、日本株の値ごろ感に着目した国内外の投資家による買い戻しが優勢となった格好です。3月初旬に中東情勢の悪化を受けて日経平均が2,600円を超える急落を記録した後だけに、行き過ぎた下落に対する修正の動きが出やすい地合いだったと言えます。

エネルギー関連株は原油高の追い風を受ける

セクター別に見ると、原油価格の急騰を背景にエネルギー関連株や石油関連銘柄には買いが入りました。石油資源開発やENEOSホールディングスなどの銘柄には、原油高メリットを見込んだ買いが集まりました。一方、原油価格の上昇はコスト増加要因となるため、電力や化学、運輸などのセクターにとっては逆風となり、業種間で明暗が分かれる展開となりました。

フィジカルAI関連銘柄の買いに一服感

年初来の人気テーマに変調

2026年の日本株市場で最も注目を集めたテーマの一つが「フィジカルAI」でした。フィジカルAIとは、AIがカメラやセンサー、アクチュエーターからのデータを直接処理し、現実の物理環境と関わりながら人間のように柔軟に対応する技術です。生成AI、AIエージェントに続く「AIの第3のフェーズ」として位置づけられています。

年初にはフィジカルAIが人気テーマランキングの首位に輝き、関連銘柄は40銘柄以上に拡大。ファナックや安川電機、ソフトバンクグループなどが関連銘柄として物色されてきました。しかし、3月6日の相場ではフィジカルAI関連の買いに一服感が見られ、テーマ株への資金流入に陰りが出始めました。

中東リスクがテーマ株物色を冷やす

フィジカルAI関連銘柄の買いが一服した背景には、中東情勢の緊迫化に伴うリスクオフの動きがあります。地政学リスクが高まる局面では、投資家は成長テーマへの投資よりも、リスク回避やディフェンシブ銘柄への退避を優先する傾向があります。原油高に伴うインフレ懸念の台頭も、成長株全般への逆風となりました。

特にフィジカルAIの主力関連銘柄であるファナックや安川電機は、FA(ファクトリーオートメーション)分野で強みを持つ製造業です。原油高による原材料コストの上昇は、こうした企業の収益を圧迫する可能性があり、投資家の慎重姿勢につながったと考えられます。

フィジカルAIの成長期待は依然として健在

もっとも、フィジカルAI分野の中長期的な成長期待が失われたわけではありません。ソフトバンクと安川電機はAI-RANを活用したフィジカルAIの社会実装に向けた協業を進めており、ファナックは米エヌビディアと連携してロボットのフィジカルAIを推進しています。AIインフラ分野では米国や韓国が先行していますが、FA分野は日本企業が伝統的に強い領域であり、今後も日本勢が存在感を発揮する余地は大きいと見られています。

今回の一服は、地政学リスクの高まりによる一時的な調整と捉える市場参加者も多く、中東情勢が落ち着きを取り戻せば、再びテーマ株としての注目が集まる可能性があります。

注意点・今後の展望

当面の最大の焦点は、ホルムズ海峡の通航がいつ再開されるかです。カタールのエネルギー大臣は、タンカーがホルムズ海峡を通過できない状況が続けば、湾岸の輸出国は数日以内に生産停止に追い込まれると警告しています。原油価格が100ドルの大台を突破すれば、世界経済へのマイナス影響は一段と深刻化するでしょう。

日本経済にとっても、原油高の長期化はインフレの加速を通じて個人消費を冷やし、企業収益を圧迫するリスクがあります。日銀の金融政策にも影響を与える可能性があり、市場参加者は中東情勢と原油価格の動向を注視する必要があります。

一方で、3月6日の相場が示したように、日本株には急落局面で押し目買いが入る底堅さも見られます。半導体関連株やフィジカルAI関連株など中長期的な成長テーマを持つ銘柄群は、地政学リスクが後退すれば再び買い戻される可能性があります。短期的なボラティリティに惑わされず、ファンダメンタルズを見極めた冷静な投資判断が求められる局面です。

まとめ

2026年3月6日の東京株式市場は、中東情勢と原油高という強い逆風を受けながらも、日経平均が前日比342円高と底堅さを見せた一日でした。朝方の760円超の下落から切り返してプラスで着地した値動きは、日本株への根強い押し目買い意欲を印象づけました。

一方で、フィジカルAI関連銘柄の買いには一服感が見られ、地政学リスクの高まりがテーマ株物色の勢いを弱める構図が鮮明になりました。ホルムズ海峡の封鎖状態が続く限り、原油高を通じた市場全体への悪影響は避けられません。投資家は中東情勢の推移を注視しつつ、リスク管理を徹底した上でポートフォリオの見直しを進めることが重要です。

参考資料

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