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by nicoxz

トランプ氏がイスラエルにガス田攻撃中止を要求

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はじめに

2026年3月19日、トランプ米大統領はイスラエルのネタニヤフ首相に対し、イランのサウスパルス・ガス田への攻撃を繰り返さないよう直接要求したことを明らかにしました。世界最大級の天然ガス田であるサウスパルスへの攻撃は、原油・ガス価格の急騰を引き起こし、国際エネルギー市場を大きく揺るがしています。

この問題の背景には、2月28日に始まった米国・イスラエルによるイランへの軍事作戦「オペレーション・エピック・フューリー」があります。作戦開始から約3週間が経過し、紛争はエネルギーインフラへの攻撃という新たな段階に突入しました。本記事では、トランプ氏の要求の真意とエネルギー市場への影響、そして今後の展望を解説します。

サウスパルス・ガス田攻撃の経緯と背景

イスラエルによるガス田攻撃

3月18日、イスラエルはイラン南部ブーシェフル州沖に位置するサウスパルス・ガス田の関連施設を攻撃しました。ターゲットとなったのは、アサルイエにあるガス処理施設です。この攻撃により、日量約1億立方メートルのガス処理能力がオフラインとなりました。これはサウスパルス全体の産出量の約14%に相当します。

サウスパルス・ガス田は推定埋蔵量1,800兆立方フィートを誇り、世界の天然ガス需要を約13年間まかなえる規模です。イランの国内ガス消費の70%を供給しており、発電所や暖房システム、石油化学コンプレックスの基盤となっています。

トランプ氏とネタニヤフ氏の食い違い

この攻撃をめぐり、米国とイスラエルの間で主張が食い違っています。トランプ大統領は「米国は何も知らなかった」と述べ、イスラエルの単独行動だったと強調しました。一方、CNNが引用したイスラエル当局者の証言によれば、攻撃は米国との「調整のもとで」実施されたとされています。

ワシントン・ポスト紙も、トランプ氏とネタニヤフ氏の間にガス田攻撃をめぐる「分裂」があると報じ、両国が本当に作戦面で同期しているのかという疑問を提起しています。

エネルギー市場への深刻な影響

原油・ガス価格の急騰

サウスパルスへの攻撃の報道を受けて、国際原油価格は1バレル103ドルから108ドルに急騰しました。欧州の天然ガス価格も7%上昇しています。さらに、イランの報復攻撃が湾岸諸国のエネルギー施設に及んだことで、ブレント原油は一時1バレル119ドルを突破しました。

米国内でも影響は顕著です。レギュラーガソリンの全米平均価格は、2月末の1ガロンあたり約3ドルから3月19日時点で3.89ドルへと約90セント上昇しています。

イランの報復とペルシャ湾への波及

イランはサウスパルスへの攻撃に対し、ペルシャ湾岸諸国のエネルギー施設を標的とした大規模な報復攻撃を実施しました。カタールのラスラファン液化天然ガス(LNG)施設は世界最大のLNGコンプレックスですが、この攻撃を受けました。カタール当局は修復に最大5年を要する可能性があると発表しています。

さらにイランは、アラブ首長国連邦のガス田、サウジアラビアの石油精製施設、クウェートのガスユニットにもミサイル攻撃やドローン攻撃を行いました。カタールは世界のLNG供給の約20%を担っており、エネルギーコンサルタント大手ウッド・マッケンジーは「この攻撃が世界のLNG供給の見通しを根本的に変える」と分析しています。

トランプ氏の要求とイランへの警告

ネタニヤフ氏への攻撃中止要求

トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対し、「ネタニヤフ氏にはやるなと言ったし、もうやらないだろう」と述べました。エネルギー価格への影響を懸念し、ガス田への攻撃を明確に禁止した形です。ネタニヤフ首相もトランプ氏の要求に従う意向を示しています。

また、中東への米軍部隊の追加派遣については「どこにも部隊を派遣しない」と否定しました。

イランへの威嚇

一方でトランプ氏は、イランに対しても強いメッセージを発信しています。自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、「イランがカタールへの攻撃を続けるなら、米国はイスラエルの協力の有無にかかわらず、サウスパルス・ガス田全体を大規模に爆破する」と警告しました。これは「イランがこれまで見たことも経験したこともないほどの強さと力」によるものだと強調しています。

注意点・展望

今回の事態は、エネルギーインフラが軍事紛争の標的となるリスクを改めて浮き彫りにしました。サウスパルス・ガス田はイランとカタールにまたがる「ノースフィールド・サウスパルス」と呼ばれる共有資源であり、一方への攻撃が他方にも影響を及ぼす構造です。

今後の焦点は以下の3点です。第一に、ホルムズ海峡の航行の安全確保です。トランプ氏は同盟国に協力を求めていますが、日本を含む各国は法的制約から慎重な姿勢を崩していません。第二に、エネルギー価格の長期的な高騰です。専門家は、供給の混乱が長期化すればインフレの波が世界経済を襲う可能性を指摘しています。第三に、米国とイスラエルの作戦面での足並みが本当に揃っているのかという点です。今回の食い違いは、両国間の信頼関係にも影響を及ぼしかねません。

まとめ

トランプ大統領がネタニヤフ首相にサウスパルス・ガス田への攻撃中止を要求した背景には、エネルギー市場の安定化という明確な意図があります。しかし、イランの報復攻撃による湾岸諸国のエネルギーインフラへの被害は甚大であり、世界のLNG供給への影響は数カ月から数年単位で続く見通しです。

エネルギー価格の動向は日本の経済にも直結する問題です。ホルムズ海峡を通過する原油への依存度が高い日本にとって、今後の中東情勢の推移を注視することが重要です。

参考資料:

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