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by nicoxz

円が158円台に下落、中東有事でドル買い加速

by nicoxz
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はじめに

2026年3月6日の外国為替市場で、円相場が一時1ドル=158円台まで下落しました。158円台をつけるのは2月8日投開票の衆院選後では初めてで、1月23日に米当局がレートチェックに動いた水準以来の円安・ドル高です。

今回の円安の主因は、米国・イスラエルによるイランへの軍事攻撃を受けた中東情勢の悪化です。通常、地政学リスクの高まりは「安全通貨」とされる円が買われる要因となりますが、今回は逆にドルが買われています。その構造的な背景と今後の見通しを解説します。

158円台到達の背景

中東有事のドル買い

6日のニューヨーク外国為替市場では、ドル円が続伸し一時158.09円の高値を記録しました。終値は157.78円と、前営業日の157.59円を上回るドル高水準です。

2月28日に米国・イスラエルがイランへの攻撃を開始して以降、為替市場では「有事のドル買い」が進行しています。基軸通貨としての信用力が高いドルに資金が集まる動きが強まり、複数の通貨に対してドルが上昇しました。

なぜ「有事の円買い」にならなかったのか

地政学リスクが高まった際には、かつては「有事の円買い」が発生するのが常でした。しかし今回、円は「安全通貨」としての役割を果たしていません。最大の理由は、日本のエネルギー輸入依存にあります。

日本の原油輸入の約94%は中東地域からのものであり、その約74%がホルムズ海峡を経由しています。イランへの攻撃により原油価格が急騰すると、日本の輸入コストが増大し、貿易収支が悪化します。この構造が円売り材料として意識され、有事でありながら円安が進む異例の展開となりました。

円安を加速させる複数の要因

日米金利差の拡大

円安を支えるもう一つの大きな要因が、日米金利差です。米国の10年国債利回りは4.1%を超える水準にある一方、日本の国債利回りは約2.0%程度にとどまっています。この金利差がドル建て資産への投資を有利にし、ドル買い・円売りの構造的な流れを生み出しています。

金利差に基づくキャリートレード(低金利通貨で調達し高金利通貨で運用する取引)も活発で、これが円安の持続的な圧力となっています。

衆院選後の政治的不透明感

2月8日に投開票された衆院選の結果も、円の弱さに影響しています。選挙後の政権の枠組みに対する不透明感が残る中、日本の財政政策や金融政策の方向性が読みにくい状況です。市場は政策の不確実性を嫌う傾向があり、この点も円の下支え要因を弱めています。

原油高による交易条件の悪化

中東危機に伴う原油価格の高騰は、日本経済に直接的な打撃を与えます。ホルムズ海峡の通行が困難になるとの観測が広がれば、エネルギー供給リスクが意識され、さらなる円売りにつながりかねません。原油高は企業のコスト増にもつながり、日本経済全体の下押し圧力となります。

通貨当局の対応と市場の警戒

レートチェックの再来に警戒

1月23日には、米当局が為替介入の前段階にあたるレートチェックに動いたとされ、その際に円相場は急速に円高方向へ反転しました。今回158円台に達したことで、市場では再び通貨当局による介入警戒感が高まっています。

日本の財務省は過去にも急激な円安局面で為替介入を実施しており、特に160円に接近する水準では「レッドライン」として意識される可能性があります。実際に一部のアナリストは、ドル円が160円に向けて進行する可能性を指摘しつつも、当局の牽制に注意を促しています。

ドル高の持続性

一方で、米国自身がイラン攻撃の当事者であるという事実は、ドルの安全資産としての中立的な地位をやや損なう面もあります。現時点ではドルの金利優位性がリスクプレミアムを上回っていますが、紛争の長期化や米軍の損害拡大によっては、ドルへの信認が揺らぐリスクも否定できません。

注意点・展望

来週の為替見通し

市場関係者の間では、来週のドル円相場は方向感が出にくい展開になるとの見方が出ています。原油高による円安圧力と、リスク回避の円買いが交互に優勢となる可能性があるためです。中東情勢の進展次第で、相場が大きく振れる局面が続くでしょう。

日銀の金融政策への影響

円安の進行は、日銀の金融政策判断にも影響を与えます。追加利上げの議論が加速する可能性がある一方、中東危機による景気下振れリスクが利上げに慎重な姿勢を求める面もあり、日銀は難しいかじ取りを迫られています。

まとめ

円相場の158円台への下落は、中東有事による「ドル買い」と日本のエネルギー輸入依存という構造的な脆弱性が重なった結果です。従来の「有事の円買い」は発動せず、日米金利差の拡大も円安を後押ししています。

160円の節目が近づく中、通貨当局の介入警戒と中東情勢の行方が今後の焦点です。エネルギー調達の多角化や金融政策の方向性が、日本経済と円の行方を左右する重要なテーマとなるでしょう。

参考資料:

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