衆院解散浮上で日銀利上げシナリオに変化、6〜7月が有力に
はじめに
2026年1月、日本の政治と金融政策が交錯する重要な局面を迎えています。高市早苗首相が23日召集予定の通常国会冒頭で衆院解散を検討しているとの報道が駆け巡り、この動きが日銀の利上げシナリオにも大きな影響を与えようとしています。
これまで市場では6月の衆院解散が有力視されていましたが、1月の冒頭解散が実現すれば、日銀は6〜7月に利上げを実施しやすくなります。一方で、選挙結果次第で円安圧力が強まれば、春の日米首脳会談を背景に利上げが前倒しされる可能性も浮上しています。
本記事では、政治日程と金融政策の関係性を整理し、今後の利上げシナリオについて解説します。
高市首相が検討する「冒頭解散」とは
通常国会冒頭解散の概要
高市首相が検討している「冒頭解散」とは、1月23日に召集される通常国会の開会直後に衆議院を解散する手法です。実現すれば、衆院選は2月上中旬の投開票となり、「真冬の総選挙」という異例の展開となります。
報道によると、選挙日程は「1月27日公示―2月8日投開票」または「2月3日公示―15日投開票」の案が浮上しています。首相はこれを「選択肢のひとつ」として自民党幹部に伝えたとされています。
早期解散の背景にある高支持率
高市首相が早期解散を検討する最大の理由は、内閣支持率の高さにあります。読売新聞の世論調査では、2025年10月の政権発足時に71%を記録し、12月時点でも73%と7割台を維持しています。共同通信の調査でも64%と高水準です。
また、参院で少数与党が続く「ねじれ国会」の状態を解消し、政策実現の推進力を得る狙いもあると見られています。現在、自民会派は衆院で199議席にとどまり、維新と合わせてようやく過半数の233議席を確保している状況です。
冒頭解散のリスクと課題
一方で、冒頭解散にはリスクも伴います。解散が実施されれば、首相就任後初となる施政方針演説は見送りとなります。物価高対策を最優先課題と位置づける高市内閣の方針との整合性を問われかねません。
また、例年3月末までに成立する2026年度予算案の審議が中断し、成立が4月以降にずれ込むことは避けられないとの懸念もあります。
日銀の利上げシナリオへの影響
6月解散消滅で6〜7月利上げが浮上
政治日程と日銀の金融政策は密接に関連しています。これまで一部では6月の衆院解散が有力視されていたため、日銀はその時期の利上げを避けるとの見方がありました。
しかし、1月の冒頭解散が実現すれば、6月解散の可能性は「常識的には消える」ことになります。これにより、日銀は次の利上げ時期の候補である6〜7月に動きやすくなるとの分析が出ています。
専門家が予測する利上げタイミング
市場関係者や専門家の間では、日銀の次の利上げは「2026年7月」が有力との見方が広がっています。現在の政策金利は0.5%で据え置かれており、日銀は「緩やかな利上げ継続」の方針を示しています。
植田和男日銀総裁は「インフレ率、成長率とも下振れリスクが低下した」と述べ、2026年も金融緩和の度合いを調整する姿勢を明確にしています。利上げペースは「数カ月に1回」とされ、最終的な政策金利の目標は1.25%〜1.75%程度との予測もあります。
春の前倒し利上げの可能性
注目すべきは、衆院選の結果次第で円安圧力が強まった場合の対応です。円安が進行すれば、今春に開催が予想される日米首脳会談も背景に、利上げが春に前倒しされる可能性もあります。
実際、日銀は「円安が続くようであれば3〜4月の追加利上げもあり得る」との見方を示す専門家もいます。2025年12月に利上げを実施した日銀関係者からは「12月に決めておいてよかった」との声も聞かれます。
2026年の為替見通しと利上げの関係
円安基調は継続か
2026年のドル円相場について、市場では145〜160円のレンジで推移するとの見方が優勢です。野村證券は年後半に1ドル=150円を再び割り込み、140円台前半に向けて調整すると予想しています。三井住友DSアセットマネジメントは年末着地水準を150円に設定しています。
一方で、年前半は円安圧力が持続するとの見方が多く、160円の大台を超えるような円安となれば為替介入の可能性も指摘されています。2024年には160円超えで実際に介入が行われた経緯があります。
高市政権の経済政策と円安
高市政権の積極財政は景気刺激効果がある一方で、財政悪化の懸念も招いています。高市内閣が発足した2025年10月以降、10年債利回り(長期金利)の上昇と円安が同時に進行している点は注目されます。
円安は輸出企業の収益を押し上げる一方、輸入物価の上昇を通じて家計を圧迫します。日銀にとって、為替動向は利上げ判断の重要な材料となります。
注意点と今後の展望
政治日程の不確実性
現時点では、高市首相が実際に冒頭解散を決断するかは不透明です。首相は1月11日のNHK番組で解散について直接言及を避け、「国民に物価高対策の効果を早く実感していただきたい」と述べるにとどめています。
冒頭解散に踏み切るかどうかは、与党内の調整や野党の動向、経済情勢なども考慮して判断されると見られます。
米国の政策動向も影響
2026年の金融政策を左右するもう一つの要因は、米国の動向です。トランプ大統領の通商政策や関税措置がどのような影響を及ぼすかは不確実性が高く、日銀も慎重に見極める姿勢を示しています。
また、2026年11月には米国の中間選挙が控えており、これが為替相場や金融市場の転換点になる可能性も指摘されています。
市場が注視すべきポイント
今後、市場関係者が注視すべきポイントは以下の通りです。
- 1月23日の通常国会召集時の高市首相の判断
- 2月の衆院選実施の有無とその結果
- 春の日米首脳会談の動向
- 円相場の推移と日銀の反応
- 6〜7月の日銀金融政策決定会合での議論
まとめ
1月の衆院解散案の浮上は、日銀の利上げシナリオに新たな展開をもたらしています。6月解散の可能性が消えることで、日銀は6〜7月に利上げを実施しやすくなる一方、円安が進行すれば春の前倒しも視野に入ります。
政治と金融政策の相互作用は2026年の日本経済を占う上で重要なテーマです。投資家や企業は、政治日程と為替動向、そして日銀の政策判断を注視しながら、適切な対応を検討する必要があります。
参考資料:
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