イスラエルがイラン大規模空爆、後継者選出を妨害か
はじめに
2026年3月3日、イスラエル軍はイランの首都テヘランに対して大規模な空爆を実施しました。攻撃対象には、殺害された最高指導者ハメネイ師の後継者を選出する「専門家会議」の施設(中部コム)も含まれていたと報じられています。
2月28日の米国・イスラエルによる最初の攻撃でハメネイ師が死亡して以降、イランは指導部の再建を急いでいます。しかし、イスラエルによる継続的な攻撃がこのプロセスを妨害する形となり、中東情勢は一層の緊迫度を増しています。
イスラエルによる大規模空爆の詳細
テヘランへの集中攻撃
イスラエル軍は3月3日、テヘラン全域にわたる広範な空爆を実施しました。攻撃目標にはイラン大統領府や最高指導者関連施設のほか、革命防衛隊の拠点や軍事インフラが含まれています。Bloombergの報道によれば、石油・ガス関連施設も標的となり、エネルギー価格の高騰を招いています。
これに先立つ2月28日の第一波攻撃では、テヘラン中心部の最高指導者邸宅が集中攻撃を受け、ハメネイ師(86歳)のほか、国防相や革命防衛隊の司令官ら高官約40名が死亡したと米国・イスラエル側が発表しています。
コムの専門家会議施設への攻撃
特に注目されたのは、イラン中部の聖地コムにおける攻撃です。イスラエルの現地メディアは同国高官の話として、88人の聖職者で構成される「専門家会議」がハメネイ師の後任選出に向けた会合を開催中に施設が攻撃されたと伝えました。Jerusalem Postによれば、建物は「完全に破壊」されたとされています。
一方、イランのタスニム通信は攻撃時に会合は行われていなかったと報じており、情報は錯綜しています。
トランプ大統領の立場
「耐えがたい脅威」の排除
トランプ大統領は攻撃後にSNSに動画を投稿し、「目的はイラン政権による差し迫った脅威を排除し、米国民を守ることにある」と攻撃の正当性を主張しました。さらに「イランの人々に、新しい、より良い未来をつかむよう」と呼びかけ、事実上のレジームチェンジ(政権転覆)を示唆する発言もしています。
後継者選出への牽制
トランプ大統領は新たな指導者層への攻撃について、「最悪のシナリオは前任者と同じくらい悪い人物が権力を掌握すること」との見解を示しました。イスラエルによるコムの専門家会議施設への攻撃は、こうした方針と軌を一にするものです。
イランの対応と指導者選出の行方
暫定指導評議会の設置
ハメネイ師の死亡を受け、イラン・イスラーム共和国憲法第111条に基づき、暫定指導評議会が設置されました。評議会はペゼシュキヤーン大統領、モフセニー・エジェイー司法府長官、アラーフィー専門家会議副議長の3名で構成されています。次期最高指導者が選出されるまで、この評議会が国家運営を担います。
後継者候補
イラン国営テレビによると、専門家会議は新たな最高指導者の選出に向けた作業を進めており、候補者としてハメネイ師の息子モジタバ・ハメネイ氏や、専門家会議副議長のアラーフィー師の名前が挙がっています。空爆の被害にもかかわらず、選出プロセスを加速させる姿勢を見せています。
報復攻撃の激化
イラン側も無人機やミサイルによる反撃を展開しています。時事通信によれば、3月4日時点でイラン側の死者数は1,045人に上っており、被害はさらに拡大する恐れがあります。イランは「報復攻撃を激化させる」と表明しており、戦闘の長期化が懸念されています。
国際社会の反応と今後の展望
各国の対応
英国やフランスが対応に乗り出しているほか、ホルムズ海峡周辺での緊張が継続しています。日本の外務省も広域情報を更新し、中東地域への渡航に注意を呼びかけています。エネルギー価格の高騰は世界経済にも影響を及ぼしかねない状況です。
今後の焦点
今後の焦点は大きく3つあります。第一に、イランの次期最高指導者が誰になるかです。モジタバ・ハメネイ氏が選出されれば、父親の路線を継承する可能性が高いとされています。第二に、報復の連鎖がどこまで拡大するかです。レバノンなど周辺地域への波及も懸念されています。第三に、国際社会が停戦に向けた外交的取り組みをどこまで進められるかです。
まとめ
イスラエルによるイラン大規模空爆は、ハメネイ師死亡後の権力移行プロセスに直接的な打撃を与えるものです。専門家会議施設の攻撃は、後継者選出を妨害する狙いがあったと見られます。イランは暫定指導評議会を設置して態勢を立て直そうとしていますが、継続する空爆の下でその作業は困難を極めています。
エネルギー市場への影響や周辺地域への波及リスクも高まっており、国際社会による外交的介入の必要性が一層高まっています。日本にとってもエネルギー安全保障の観点から、情勢の推移を注視する必要があります。
参考資料:
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