Research
Research

by nicoxz

恋愛リアリティーショーが10代の必修科目になった理由

by nicoxz
URLをコピーしました

はじめに

恋愛リアリティーショー、通称「恋リア」が10〜20代の若者にとって欠かせないコンテンツになっています。ABEMAを筆頭に動画配信各社が次々と新シリーズを投入し、いまや「恋愛リアリティショー戦国時代」とも呼ばれる状況です。

注目すべきは、単なる視聴にとどまらない影響力の大きさです。出演者のファッションやコスメを購入し、SNSで感想を共有し、さらには「自分も出演したい」と考える若者が3割を超えるという調査結果も出ています。

この記事では、恋リアがなぜここまで若者の心をつかんだのか、その背景と影響力、そして今後の展望について、各種調査データや視聴実績をもとに解説します。

恋リアブームの現在地:視聴データが示す圧倒的人気

ABEMAが牽引する恋リア市場

恋愛リアリティーショーの現在の主戦場は、テレビではなく動画配信プラットフォームです。中でもABEMAは2017年の「今日、好きになりました。」(通称「今日好き」)放送開始以降、累計100本以上の恋リアを制作・配信してきました。

女子高生の半数以上(50.4%)が恋愛リアリティショーの視聴経験を持ち、視聴メディアとしてはABEMAが65.1%と最も多いという調査結果があります。テレビよりもスマートフォンで恋リアを楽しむのが、いまの10代のスタンダードです。

2025年上半期のABEMAオリジナル番組総合ランキングでは、「今日、好きになりました。」シリーズが1位・2位を独占しました。さらに「卒業編2025 in ソウル」の最終回は、ABEMA開局以降のすべてのオリジナル番組における週間視聴者数の最高記録を更新しています。

オオカミシリーズの記録的ヒット

ABEMAのもう一つの看板シリーズ「オオカミちゃんとオオカミくんには騙されない」は、累計視聴数が2.5億回を突破しました。20代〜30代女性の3人に1人が視聴しているとされ、幅広い年齢層にリーチしています。

このシリーズの特徴は、恋愛の中に「嘘つきは誰か」という推理要素が加わっている点です。視聴者がSNS上で推理を展開し、それが新たな視聴者を呼び込むという好循環を生み出しています。

「自分も出たい」若者たちと恋リアの社会的影響

45%が出演希望:アンケートが示す驚きの数字

株式会社SheepDogが実施した10〜20代男女を対象としたアンケート調査では、恋愛リアリティショーに「出演してみたい」と回答した人が約45%にのぼりました。内訳を見ると、「出演してみたいと思い、実際に行動している」が10.83%、「出演してみたいが、具体的な行動は実施していない」が7.5%、「機会があれば出演してみたい」が26.67%です。

この数字は、恋リアが単なる視聴コンテンツではなく、若者にとって「自分も参加できるかもしれない身近な舞台」として認識されていることを示しています。

SNSとの連動が生む巨大な影響力

恋リアの影響力を語る上で欠かせないのが、SNSとの連動です。視聴者はリアルタイムでSNSに感想を投稿し、推しカップルを応援し、切り抜き動画を何百万回も再生します。恋リアの視聴きっかけとして「友人・家族からの影響」が52.4%、「SNS」が47.1%という調査結果があり、SNSが新規視聴者の獲得に大きく貢献しています。

「今日好き」の公式Instagramアカウントは100万フォロワーを超え、出演者個人のSNS総フォロワー数が260万人を超えるケースも出てきています。番組の盛り上がりがSNSに波及し、SNSの話題が視聴者を呼び込むという循環が確立されています。

出演者のインフルエンサー化と消費への影響

恋リアの出演者は、番組をきっかけにインフルエンサーとしてのキャリアを築くケースが増えています。「テラスハウス」の時代から、出演後にSNSフォロワーを大きく伸ばし、タレントやモデル、インフルエンサーとして活躍の場を広げる参加者は少なくありません。

制作側も出演者を選ぶ際に「インフルエンサーとしてのポテンシャル」を意識しているとされます。ABEMAの「今日好き」にはPopteenモデルや話題のインフルエンサーが出演し、彼らが着用する服やコスメが視聴者の購買行動に直結します。

Z世代の消費行動の特徴として、自分が属する「界隈」の人気インフルエンサーを参考にする傾向があります。恋リアの出演者はまさにその「界隈のインフルエンサー」として機能し、番組内でさりげなく使われるコスメやファッションアイテムが広告感なく視聴者に届くのです。

テラスハウスから恋リア戦国時代へ:進化の歴史

台本なしのリアリティが生んだ共感

日本における恋愛リアリティーショーのブームは、2012年にフジテレビで放送が始まった「テラスハウス」に遡ります。その後Netflixでの配信を経て国際的な人気を獲得し、恋リアというジャンルの認知度を大きく高めました。

2020年に出演者の悲劇的な事件によりテラスハウスは終了しましたが、恋リアのブーム自体は終わりませんでした。むしろABEMAを中心に10代向けの番組が次々と登場し、市場はさらに拡大しています。

配信プラットフォーム間の競争激化

現在はABEMAに加え、Amazonプライムビデオの「バチェラー・ジャパン」シリーズ、Netflixのオリジナル恋愛番組など、各プラットフォームが恋リアをキラーコンテンツとして位置づけています。恋リアの視聴をきっかけにプレミアム会員に登録するユーザーも多く、サブスクリプションの契約獲得において重要な役割を担っています。

低予算で制作可能でありながら高い視聴者エンゲージメントを生み出す恋リアは、配信プラットフォームにとって費用対効果の高いコンテンツです。この経済合理性が、各社による積極的な番組投入を後押ししています。

注意点・展望

出演者のメンタルヘルスへの配慮

恋リア人気が高まる一方で、出演者への誹謗中傷やメンタルヘルスの問題は引き続き課題です。2020年のテラスハウスでの悲劇を教訓に、制作側は出演者へのケア体制を強化していますが、SNS上での過度な批判や炎上リスクは完全には解消されていません。

出演を希望する若者が増える中、番組参加に伴うリスクについての正しい理解も求められます。

恋リアの今後:さらなる多様化と国際展開

恋リア市場は今後も拡大が見込まれます。ABEMAの「今日好き」はソウル編など海外ロケを積極的に取り入れ、コンテンツの多様化を進めています。また、大人向けの恋リアや、恋愛以外の要素(推理、サバイバル)を組み合わせた新しいフォーマットも登場しています。

動画配信プラットフォーム間の競争が激化する中、恋リアはさらに進化し、10代〜20代のエンターテインメントの中心であり続けるでしょう。

まとめ

恋愛リアリティーショーは、10代〜20代にとってもはや「必修科目」と呼べるほどの存在感を持っています。ABEMAの「今日好き」や「オオカミ」シリーズが記録的な視聴者数を達成し、出演者はインフルエンサーとして若者の消費行動に影響を与えています。

約45%の若者が「出演してみたい」と回答するほど身近な存在となった恋リアは、単なるエンターテインメントを超え、ファッション、コスメ、SNS文化と深く結びついた一つの「カルチャー」に成長しました。視聴者にとっても、配信プラットフォームにとっても、恋リアの重要性は今後さらに高まっていくことが予想されます。

参考資料:

関連記事

最新ニュース