ソフトバンクのAIメモリー開発に富士通参画、省電力で国産復活へ
ソフトバンクの次世代AIメモリー開発に富士通が参画
省電力・高性能で国産復活を目指す新体制が本格始動
ソフトバンクが主導する次世代半導体メモリー開発プロジェクトに、富士通が正式に参画することが明らかになった。人工知能(AI)やスーパーコンピューターの処理性能を左右する「AIメモリー」は、極めて高速かつ省電力であることが求められているが、国内メーカーの生産撤退により日本は長年この分野で後れを取っていた。本プロジェクトはその巻き返しを狙うものだ。
■ 省電力・高性能を追求する新会社「SAIMEMORY」
ソフトバンクは米インテルや東京大学などと共同で、AI向け半導体メモリーの開発会社「SAIMEMORY(サイメモリー)」を設立している。SAIMEMORYは従来主流だったHBM(High Bandwidth Memory)に代わる新型メモリーチップを開発し、電力効率を大幅に改善することを狙う。開発中の技術は、インテルの積層メモリー技術や東京大学が保有する高速インターフェース技術などを組み合わせたものとされ、2027年度の実装を目標に研究が進められている。
富士通の参画はこの動きを後押しするものだ。富士通はサーバーやAI関連システムでハードウェア・ソフトウェア両面の強みを持つ国内大手であり、省電力設計やエッジAI分野での実装ノウハウが期待されている。
■ 政府・研究機関との連携も加速
本プロジェクトには政府系機関や大学、研究機関も支援として加わっている。理化学研究所などが開発支援を行い、日本のAI/半導体戦略の一環として官民連携が強化されている。国内での生産・研究基盤を再構築し、散逸した技術知見を再結集する狙いだ。
政府はAIや先端半導体への投資支援をこれまでにない規模で進めており、5年で1兆円規模の支援枠を設ける計画も報じられている。こうした国家戦略の下、SAIMEMORYの技術実装と量産体制構築は、日本の国際競争力強化に直結するテーマとなっている。
■ グローバルで進むAIメモリー競争
AIワークロードの増加に伴い、従来のGPUに搭載されるメモリーでは帯域や消費電力の面で限界が指摘されている。特に大規模な生成AIや科学計算用途では、高速かつ低消費電力のメモリーアーキテクチャの開発が急務となっている。SAIMEMORYの開発は、こうした課題への回答となる可能性がある。
現在、AI向けメモリー市場では米国・韓国企業が主導的な地位を占めているが、日本勢が省エネルギー性を武器に独自のアプローチで世界市場に挑む構図が見えてきた。今後の開発動向は国内外のHPC(高性能計算)やAIインフラ市場にも影響を与えるとみられる。
■ 実用化と量産体制への道筋
SAIMEMORYは2027年度までに技術実装のめどをつけ、2029年度をめどに量産可能な体制を構築する計画だ。これが実現すれば、AIサーバー向けの主要メモリーとして国内外で採用が進む可能性がある。
各社は今後の試作チップの性能検証や、製造委託先の確保、国際標準化などに取り組むとみられる。日本の半導体エコシステム全体の活性化へつながるか、注目が集まっている。
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