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by nicoxz

米半導体株が急騰、マイクロンは過去最高値更新

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はじめに

2026年1月16日の米国株式市場で、半導体セクターが大幅な上昇を見せました。特に注目を集めたのが半導体メモリー大手のマイクロン・テクノロジーで、株価は5%上昇し353.08ドルという過去最高値を記録しました。この動きは、前日に発表された台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSMC)の好調な四半期決算と2026年の強気な設備投資計画が引き金となっています。

本記事では、半導体株急騰の背景、TSMCの決算内容とその意味、そしてAI半導体市場の今後の展望について詳しく解説します。半導体セクターの動向は世界経済全体に大きな影響を与えるため、投資家だけでなくビジネスパーソンにとっても重要な情報です。

TSMCの好決算が市場を牽引

予想を上回る業績

TSMCは1月15日に2025年第4四半期(10〜12月期)の決算を発表し、市場予想を大きく上回る結果を示しました。EPSは3.14ドルと予想の2.82ドルを上回り、売上高は337.3億ドルで同社のガイダンス上限(334億ドル)を超えました。純利益は160.1億ドルに達し、粗利益率は62.3%と、当初予想の59.0〜61.0%を大幅に上回りました。

この業績は、AI関連の半導体需要が予想以上に堅調であることを示しています。特に先端プロセスノード(3ナノメートルや5ナノメートル)での受注が好調で、AI向けチップの製造需要が急拡大していることが背景にあります。

2026年の強気な投資計画

TSMCの強気姿勢は決算数値だけにとどまりません。同社は2026年の設備投資額を520億〜560億ドルに引き上げると発表しました。この投資額のうち70〜80%が先端技術に配分される予定で、AI半導体市場の成長に対する同社の確信を示しています。

2026年第1四半期(1〜3月期)の売上高ガイダンスは346億〜358億ドルと、前年同期比で約38%の増加を見込んでいます。粗利益率は63〜65%、営業利益率は54〜56%と、極めて高い収益性を維持する見通しです。さらに、2026年通年では米ドルベースで約30%の売上高成長を予想しています。

マイクロン株急騰の要因

内部者による大型株式取得

マイクロン株急騰の直接的な要因の一つが、同社取締役の劉徳音(マーク・リュウ)氏による大型株式取得でした。1月15日に米証券取引委員会(SEC)に提出された資料で、リュウ氏が780万ドル相当のマイクロン株を取得したことが明らかになり、これが材料視されて買いが集まりました。

企業の内部者、特に取締役クラスが自社株を大量に購入することは、企業の将来性に対する強い自信の表れと市場で受け止められます。リュウ氏はTSMCの会長も務めており、半導体業界全体の動向に精通した人物だけに、この買いは特に注目されました。

メモリー市場の構造的回復

マイクロンの株価上昇は一時的な現象ではなく、メモリー半導体市場の構造的な回復を反映しています。AI関連のデータセンター需要が急拡大する中で、高帯域メモリ(HBM)と呼ばれる高性能メモリチップの需要が急増しています。

HBMはAIの学習・推論処理に不可欠な部品で、エヌビディアのGPUをはじめとするAIアクセラレーターに搭載されています。TSMCが先端プロセスでのAIチップ製造を拡大すればするほど、それに対応する高性能メモリの需要も増加します。マイクロンはこのHBM市場で主要プレイヤーの一つであり、市場の成長を直接享受できる立場にあります。

半導体セクター全体の上昇

エヌビディアも続伸

マイクロンだけでなく、AI半導体の中心的存在であるエヌビディアも1月16日の取引で上昇しました。エヌビディアは次週19日に決算発表を控えており、投資家はTSMCの好決算を受けて、同社の決算にも期待を高めています。

エヌビディアのGPUはTSMCの先端プロセスで製造されているため、TSMCの好調な業績と設備投資計画は、エヌビディアの生産能力拡大を示唆しています。市場はこの連鎖を好意的に捉え、半導体セクター全体に買いが広がりました。

フィラデルフィア半導体指数の堅調

半導体セクター全体を示すフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は、2025年の年初来上昇率が40%を超え、S&P500種指数の15%超を大きく上回っています(2025年12月29日時点)。2026年に入ってもこの勢いは継続しており、AI半導体市場の成長が持続していることを示しています。

AI半導体市場の展望

「フィジカルAI」時代の到来

2026年1月6日から米国で開催されたテクノロジー見本市「CES 2026」において、エヌビディアのジェンスン・ファンCEOが「チャットGPTモーメントがフィジカルAIにもやってくる。もうすぐだ」と述べました。フィジカルAIとは、ロボットや自動運転車などの物理的なデバイスに組み込まれるAI技術を指します。

この発言は、AI半導体の需要が従来のデータセンター向けだけでなく、より広範な産業分野に拡大することを示唆しています。TSMCの大規模投資計画は、こうした需要拡大を見越したものと考えられます。

2026年の市場環境

2026年も引き続きAI関連投資が半導体市場を牽引する見通しです。生成AIや大規模言語モデルの高度化により、GPUやAIアクセラレーターに加え、HBMや先端ロジック半導体の重要性が高まっています。

専門家は、2026年の半導体市場では「AI対応能力の有無」が企業評価を分ける決定的な要因になると指摘しています。単純な市況回復ではなく、AI時代に対応した技術と生産能力を持つ企業が市場をリードするという構図が鮮明になっています。

注意点とリスク

バリュエーションの過熱懸念

半導体株の急騰は歓迎すべき動きですが、バリュエーション(株価評価)の過熱に対する警戒も必要です。実際、2026年1月17日には米株式市場でダウ工業株30種平均が557ドル安と続落し、AI相場の過熱懸念や利下げ期待の後退により投資家心理が悪化する場面もありました。

エヌビディアの決算発表を控えて、ハイテク株を中心に持ち高調整の売りが出ており、短期的には変動が大きくなる可能性があります。長期的なトレンドは依然として強気ですが、短期的な調整リスクは常に存在します。

地政学的リスク

半導体産業は地政学的リスクにも敏感です。TSMCは台湾に主要な製造拠点を持っており、台湾海峡情勢の緊張は同社の事業に直接影響を与える可能性があります。また、米中の技術覇権競争も引き続き半導体セクターの不確実性要因となっています。

まとめ

1月16日の米国株式市場での半導体株急騰、特にマイクロンの過去最高値更新は、AI半導体市場の成長が予想以上に力強いことを示しています。TSMCの好決算と強気な設備投資計画は、この成長トレンドが少なくとも2026年を通じて継続することを示唆しています。

半導体セクターは、データセンター向けのAIチップから「フィジカルAI」と呼ばれる新しい領域まで、需要が多様化しながら拡大しています。マイクロンのようなメモリーメーカーから、TSMCのような製造受託企業、エヌビディアのようなチップ設計企業まで、エコシステム全体が成長の恩恵を受けています。

投資家にとっては、短期的な変動リスクに注意しながら、長期的な成長トレンドを捉える視点が重要です。次週のエヌビディア決算は、このトレンドの持続性を測る重要な指標となるでしょう。

参考資料:

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