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by nicoxz

ベトナム首都でガソリン不足深刻化、中東危機が直撃

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はじめに

ベトナムの首都ハノイで、ガソリン不足が深刻化しています。市内各所の給油所で在庫が払底し、「ガソリンありません」と書かれた張り紙が店頭に掲げられる事態が発生しています。一部の給油所では販売制限を実施し、長蛇の列ができる光景も見られます。

背景にあるのは、米国とイスラエルによるイラン軍事作戦に端を発する中東情勢の緊迫化です。ホルムズ海峡の通行が大幅に制限され、世界的な原油供給の混乱が東南アジアにも波及しています。本記事では、ベトナムのガソリン不足の実態とその原因、政府の対応策を解説します。

ハノイのガソリン不足の実態

給油所の在庫払底

ハノイ市内の幹線道路沿いにある給油所では、3月5日午後4時頃にガソリン在庫がなくなりました。翌6日には在庫切れを示す張り紙を店頭に掲げ、スタッフが給油に訪れた顧客に事情を説明する状況が続いています。

こうした事態は1か所だけではなく、市内の複数の給油所で同様の状況が報告されています。販売を一時停止する給油所や、1回あたりの給油量を制限する給油所も出ており、市民生活への影響が広がっています。

ガソリン価格の急騰

ベトナム国内のガソリン価格は急激に上昇しています。3月5日には国内価格が約10%上昇し、3月7日の価格調整では主力のRON 95-IIIガソリンが1リットルあたり27,040ドン(約160円)に達しました。これは前回比21%、4,700ドンの値上げで、2022年7月以来の高水準です。

わずか数日でこれほどの価格上昇が起きたことは、市民に大きな衝撃を与えています。バイクが主要な移動手段であるベトナムでは、ガソリン価格の上昇は日常生活に直結する深刻な問題です。

路上販売の横行

ガソリンスタンドでの供給不足が深刻化する中、都市部の幹線道路沿いには「路上ガソリン販売店」が乱立しています。正規の給油所で購入できない市民が、品質や安全性の保証がない路上販売に頼らざるを得ない状況は、安全面でも懸念されています。

中東情勢とエネルギー供給への影響

ホルムズ海峡の通行制限

今回のガソリン不足の根本原因は、米国・イスラエルによるイラン軍事作戦の影響です。イランがホルムズ海峡の封鎖措置を実施し、同海峡の通行量は通常時の約10%にまで落ち込んでいます。

ホルムズ海峡は世界の石油輸送量の約20%が通過する要衝であり、通過する石油の約80%がアジア向けです。日本、韓国、インド、フィリピンに加えて、ベトナムもこの影響を直接受けています。

複合的な供給制約

ベトナムの燃料供給が圧迫されている要因は、ホルムズ海峡の通行制限だけではありません。中東やインド、中国の一部製油所が生産能力を一時的に停止または削減しており、さらに中国、日本、タイなど一部の国が国内需要を優先して燃料輸出を一時的に停止・制限していることも、供給難に拍車をかけています。

加えて、海上保険料や運賃の高騰も、燃料の調達コストを押し上げる要因となっています。

ベトナム政府と企業の対応

緊急輸入の加速

ベトナム最大の石油販売企業ペトロリメックス(Petrolimex)は、3月分の計画輸入量の50%を月初10日間で前倒し輸入しました。海上保険料や運賃の高騰リスクに備えた「安全バッファー」としての措置です。

ベトナム商工省は、3月の燃料供給は「基本的に確保されている」との見解を示しています。国内の製油所での生産と継続的な燃料輸入により、当面の供給は安定しているとの認識ですが、中東情勢がさらに悪化した場合には供給に影響が出る可能性があるとも警告しています。

国内製油所の稼働強化

ベトナムには南部のズンクアット製油所と中部のニソン製油所の2か所の主要な製油施設があります。政府はこれらの製油所のフル稼働を指示し、国内供給の自給率を高める方針です。ただし、2か所の製油所だけでは国内需要のすべてを賄うことはできず、輸入に依存する構造は短期的に変わりません。

注意点・今後の展望

アジア全体への波及

ベトナムのガソリン不足は、東南アジア全体が直面するエネルギー供給リスクの縮図です。ホルムズ海峡を通過する石油の大部分がアジア向けであることから、日本、韓国、フィリピンなどエネルギー輸入依存度の高い国々でも同様の問題が起きる可能性があります。

国際通貨基金(IMF)は、原油価格が10%上昇するごとに世界経済の成長率が0.15%低下すると試算しており、エネルギー価格の高止まりが続けばアジア経済全体の減速要因となりかねません。

ベトナム経済への打撃

ベトナムは製造業を中心に高い経済成長を続けてきましたが、エネルギー価格の上昇は生産コストの増加を通じて輸出競争力を損なう恐れがあります。また、物価上昇が国民の購買力を低下させ、内需にも悪影響を及ぼす可能性があります。

中東情勢の早期沈静化が見通せない中、ベトナム政府には短期的な供給確保と中長期的なエネルギー安全保障の両面での対応が求められています。

まとめ

ベトナム・ハノイで発生しているガソリン不足は、中東情勢の緊迫化がアジアのエネルギー供給に直接的な打撃を与えている象徴的な事例です。ガソリン価格は2022年以来の高水準に達し、給油所の在庫払底や販売制限が市民生活を直撃しています。

政府や石油大手による緊急輸入の前倒しなど対策は講じられていますが、ホルムズ海峡の通行制限が続く限り、根本的な解決は困難です。イラン情勢の推移次第では、ベトナムだけでなくアジア全体でエネルギー危機が拡大する可能性があり、国際社会の注視が必要な状況が続いています。

参考資料:

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