日銀利上げで住宅ローン金利上昇、2026年4月から返済増へ
はじめに
2025年12月19日、日本銀行は金融政策決定会合で政策金利を0.25%引き上げ、0.75%程度にすることを決定しました。政策金利は約30年ぶりの水準に達し、長く続いた超低金利時代からの転換が本格化しています。
この利上げにより、住宅ローンの変動金利は2026年4月から引き上げられる見通しです。実際の返済額増加は7月頃からとなるケースが多く、住宅ローン利用者への影響が現実化します。
本記事では、日銀の利上げ決定の背景、住宅ローン金利への具体的な影響、今後の金利見通し、そして利用者が取るべき対策について解説します。
日銀の利上げ決定
30年ぶりの金利水準
日銀は2025年12月の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%引き上げて0.75%程度にすることを決定しました。これにより政策金利は約30年ぶりの水準に達しました。
2024年7月以降、日銀は段階的に利上げを進めており、今回の決定でその流れが継続されました。
利上げの背景
今回の利上げの背景には、日銀が重視する「賃金と物価の好循環」が実現されてきていることがあります。賃金・物価ともに緩やかに上昇する状況が定着しつつあり、景気を下支えするための大規模な金融緩和が必要な状況を脱しつつあるという判断です。
デフレからの完全脱却に向けた金融政策の正常化が進んでいます。
住宅ローン金利への影響
変動金利は2026年4月から上昇
今回の利上げによって住宅ローンの変動金利が引き上げられるのは、2026年4月になると見られています。多くの銀行では住宅ローンの基準金利の見直しを4月と10月の年2回行っているためです。
12月に決定された利上げは、翌年4月の金利見直しに反映されることになります。
返済額増加は7月頃から
基準金利が4月に引き上げられたとしても、実際にその金利で返済が始まるのは3カ月後になる銀行が多くあります。そのため、返済額が増えるのは7月頃になるケースが一般的です。
利上げから実際の返済額増加まで、約半年のタイムラグがあることになります。
具体的な返済額の変化
今回の利上げを受けて変動金利が0.25%上がると、心理的節目である「1%」を超えるケースが増えそうです。
仮に5,000万円を借りた場合の試算では、金利0.75%だと毎月の返済額は約13万5千円ですが、金利1%になると約14万1千円と、月約6千円増える計算になります。
変動型で4,500万円を借りたケースでは、2024年7月以降の一連の利上げによって、毎月返済額は借り入れ当初に比べ合計で約1万4千円増えます。
5年ルールと125%ルール
返済額がすぐに変わらないケースも
毎月の返済額がすぐに変わるとは限りません。変動金利の元利均等返済ローンには「5年ルール」が適用される場合があり、該当する場合は月々の返済額が5年ごとにしか見直されません。
また「125%ルール」により、金利が上昇しても返済額は従前の125%を上限とする制限がかかる場合もあります。
注意すべき落とし穴
ただし、返済額が変わらなくても利息負担は確実に増えます。5年ルールや125%ルールは返済額を抑えるものですが、その分だけ元本の返済が遅れ、総返済額は増加します。
将来的に大きな負担増となる可能性があるため、安心せずに対策を考える必要があります。
今後の金利見通し
2027年には1.5%も視野
専門家は今後の政策金利について、2025年度に0.75%、2026年度に1.25%、2027年度には1.5%まで上昇する可能性があると見立てています。
年2回程度のペースで利上げが続くのではないかとの予想もあり、住宅ローン金利もそれに連動して上昇する見通しです。
固定金利の動向
住宅ローンの固定金利で代表的な「フラット35」は、2025年12月の新規貸出金利が1.97%でした。長期金利の上昇を受け、2025年1月には2%を超える水準になる見通しです。
変動金利と固定金利の差が縮まる中、どちらを選ぶかの判断がより難しくなっています。
住宅ローン利用者の対策
家計への影響を試算
まずは自分の住宅ローンについて、金利上昇による返済額の変化を試算することが重要です。多くの金融機関がシミュレーションツールを提供しています。
月々の返済額がどの程度増えるか、家計で対応できるかを確認しましょう。
繰り上げ返済の検討
余裕資金がある場合は、繰り上げ返済を検討する価値があります。金利が低いうちに元本を減らしておくことで、将来の利息負担を軽減できます。
固定金利への切り替え
今後も金利上昇が続くと予想する場合は、変動金利から固定金利への切り替えも選択肢です。ただし、切り替え時点で固定金利の方が高くなるため、どのくらい金利が上がると予想するかによって判断が分かれます。
まとめ
日銀は2025年12月に政策金利を0.75%に引き上げ、約30年ぶりの金利水準となりました。住宅ローンの変動金利は2026年4月から上昇し、実際の返済額増加は7月頃からとなる見通しです。
5,000万円の借入で月約6千円、4,500万円で累計約1万4千円の返済増が見込まれます。今後も利上げが続く見通しで、2027年には政策金利1.5%も視野に入っています。
5年ルールや125%ルールで返済額が抑えられるケースもありますが、利息負担は確実に増えるため、家計への影響を試算し、必要に応じて対策を検討することが重要です。
参考資料:
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