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by nicoxz

中国レアアース株が高騰、米中対立で強まる供給懸念と投資マネー

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はじめに

中国のレアアース(希土類)関連株が高騰しています。最大手の中国北方稀土集団高科技(北方稀土)をはじめとする関連銘柄が、2024年末から急激な上昇を見せています。

背景にあるのは、米中対立の激化に伴う供給懸念です。中国政府は輸出規制を段階的に強化しており、西側諸国はレアアースの安定調達に不安を抱えています。一方で、中国企業は習近平指導部の支援を受けて増産を続け、市場価格の上昇と利益率改善の恩恵を受けています。

本記事では、中国レアアース関連株の高騰の背景と、日本を含む西側諸国の対応策について解説します。

中国レアアース株の急騰

北方稀土の業績急拡大

中国国有レアアース大手の北方稀土は、2025年上半期(1〜6月)の決算で驚異的な成長を記録しました。売上高は188億6,600万元(約3,889億円)と前年同期比45%増加し、純利益は9億3,100万元(約192億円)と前年同期の20倍超に急増しました。

純利益の急増をもたらしたのは、レアアースの市場価格上昇と販売量の増加です。例えばネオジム・プラセオジム酸化物は、2024年上半期の平均取引価格が1トン当たり36万5,000元だったのに対し、2025年6月時点では同44万3,400元と2割余り上昇しました。

2026年1月15日時点で、北方稀土(600111)の株価は49.83元で推移し、52週間の値幅は20.80元から61.69元となっています。時価総額は258億ドル(約3.9兆円)に達しています。

アジア全域での株価上昇

2026年1月7日、中国が日本への軍民両用品輸出規制を発表したことを受け、アジア太平洋地域全体でレアアース関連株が上昇しました。

中国市場では、China Rare Earth Holdings が取引開始早々に30%以上上昇し、JL Mag Rare-Earth は約10%急騰しました。Innuovo Technology は10%高、北方稀土も8.7%上昇しました。

日本市場でも東洋エンジニアリングが一時前日比20%高の4,285円と2006年2月以来の高値をつけ、古河機械金属も同7.9%高の4,395円を記録しました。

米中対立と輸出規制の強化

中国の輸出規制拡大

2025年4月、中国政府は中・重希土類に分類される7元素を輸出規制の対象に追加しました。これらの元素を含む合金や化合物の輸出も規制されるため、実際には軽希土類を含むレアアース製品全体の取引が停滞し、市場価格の高騰を招きました。

2025年10月には、さらに規制が拡大され、合計12種類のレアアースと関連する永久磁石が輸出規制の対象となりました。この発表を受けて、純粋なレアアース関連株は18〜36%急騰しました。

発表のタイミングも戦略的でした。韓国で開催予定だったAPEC首脳会議でのトランプ大統領と習近平主席の会談を控えた時期であり、通商交渉における駆け引きと、米国の半導体輸出規制への対抗措置という両面の意図が読み取れます。

対日輸出規制と日本への影響

2026年1月6日、中国は「デュアルユース品(軍民両用品)」の対日輸出規制強化を発表しました。レアアースもその対象に含まれる可能性が浮上し、市場に緊張が走りました。

1月8日の記者会見で中国側から「民生用は影響を受けない」との説明がありましたが、予断は許さない状況です。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平上席投資戦略研究員は、この輸出規制がレアアースのサプライチェーンで中国依存度を緩和していく必要があるとの認識を強め、長期的に国内関連企業のビジネスチャンスになると分析しています。

中国の圧倒的な市場支配力

採掘から加工までの一貫支配

中国はレアアース市場において圧倒的な支配力を持っています。世界の鉱山生産量の約70%、精製能力の約85%、磁石製造の約90%を中国が占めています。

この集中度の高さが、規制強化による市場への影響を増幅させています。中国が輸出を絞れば、代替供給源の確保が極めて困難な状況にあります。

政府主導の増産体制

習近平指導部の支援を受け、中国のレアアース企業は増産を続けています。内モンゴル自治区・包頭をはじめとする生産拠点では、インフラ整備と生産能力の拡大が進んでいます。

市場価格の上昇と政府支援の組み合わせにより、中国企業の利益率は改善傾向にあります。投資マネーは、米中対立が続く限り中国勢の優位が揺るがないと見ています。

西側諸国の対応と課題

脱中国依存は長期戦

中国のレアアース支配を打破するには、少なくとも10年はかかるとみられています。専門家によれば、「持続的な政策と投資の勢い」があったとしても、米国とその同盟国が増加する需要を支える「幅と深さ」を持つサプライチェーンを構築するには10〜15年が必要です。

2026年現在、米国は資源、資本、技術的専門知識を持っていますが、迅速に対応することはできません。処理施設の許認可と建設には数年を要し、熟練労働者の育成が必要で、サプライチェーンの再構築には時間がかかります。短期的には、中国への依存が続くことは避けられません。

日本の南鳥島プロジェクト

日本では、中国依存脱却の切り札として南鳥島沖の海底レアアース開発が期待されています。南鳥島沖の排他的経済水域(EEZ)には大量のレアアース泥が眠っており、2026年1月から世界初となる大規模な実証試験がスタートしました。

水深6,000メートルという深海から泥を吸い上げるという技術的課題がありますが、JOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)やJAMSTEC(海洋研究開発機構)が主導する国家プロジェクトとして進められています。

脱レアアース技術の開発

レアアースに依存しない技術開発も進んでいます。大同特殊鋼は、独自の「熱間加工技術」で重希土類を全く使わずに従来と同等の性能を実現しています。この技術はすでにホンダ車「フリード」に採用されるなど実用化されており、10年近い量産実績があります。

レアアースの使用量を削減する、あるいは代替する技術の開発は、中国依存を軽減するうえで重要な戦略となっています。

投資家への示唆

短期と長期の視点

レアアース関連株への投資を検討する際には、短期と長期の視点を区別することが重要です。

短期的視点: 中国の輸出規制発表や米中関係の緊張により、関連株は急騰することがあります。しかし、これらの動きは投機的な側面が強く、規制の実際の運用や緩和の動きによって急落するリスクもあります。

長期的視点: 西側諸国がサプライチェーンの多様化を進める中で、中国以外のレアアース企業には成長機会があります。ただし、実際の生産能力拡大には時間がかかるため、株価上昇はサプライチェーン変革への「期待」を反映したものであり、「近い将来の生産能力」を反映したものではありません。

日本市場の恩恵パターン

中国の輸出規制強化は、日本企業にとって複数の恩恵パターンをもたらす可能性があります。

  1. 国内採掘関連: 南鳥島開発などに関わる企業
  2. リサイクル・回収: 使用済み製品からのレアアース回収技術を持つ企業
  3. 代替技術: レアアースを使用しない技術を開発する企業
  4. 在庫を持つ企業: 規制前にレアアースを確保している企業

今後の展望

地政学リスクの継続

米中対立は構造的な問題であり、レアアースを巡る緊張は当面続くと見られています。中国は資源を外交・通商交渉のカードとして活用する姿勢を崩しておらず、西側諸国との間でせめぎ合いが続きます。

価格変動の可能性

レアアース価格は、需給バランスと地政学リスクの両方に影響されます。中国の増産が続けば供給過剰で価格下落の可能性もありますが、輸出規制が強化されれば国際価格は上昇します。投資家は、この二面性を理解したうえで判断する必要があります。

まとめ

中国レアアース関連株の高騰は、米中対立の激化と輸出規制強化による供給懸念を反映しています。北方稀土をはじめとする中国企業は、市場価格上昇と政府支援の恩恵を受けて業績を急拡大させています。

西側諸国は中国依存からの脱却を目指していますが、サプライチェーンの再構築には10〜15年を要するとみられています。日本では南鳥島の海底レアアース開発や脱レアアース技術の開発が進められていますが、短期的には中国への依存が続く状況です。

投資家にとっては、短期的な投機機会と長期的な構造変化の両面を見極めることが重要です。地政学リスクは当面継続する見通しであり、レアアース市場の動向は引き続き注目されます。

参考資料:

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