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by nicoxz

中国不動産業の復活は絶望的か、全人代も素通り

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はじめに

2026年3月12日、中国の全国人民代表大会(全人代)が閉幕しました。海外投資家が注目していたのは、5年にわたる不動産不況に対する抜本的な対策が打ち出されるかどうかでした。しかし結果は、不動産市場に対する大規模な支援策は示されず、「城市ごとの政策で対応する」という従来路線の延長にとどまりました。

2025年の不動産販売額は約8.4兆元と、ピークだった2021年の約半分にまで落ち込んでいます。中国不動産業界に「復活の目」はあるのか、全人代の結果と市場の現状から読み解きます。

全人代が示した不動産政策の限界

成長率目標は過去最低水準に

今回の全人代で李強首相は、2026年のGDP成長率目標を「4.5〜5.0%」に設定しました。これは1991年以来の低水準であり、中国経済の減速が公式に認められた形です。ジェトロの報告によると、10項目の重点業務が掲げられましたが、不動産市場への大胆な財政出動は含まれていません。

政府活動報告では「不動産市場の安定に注力する」と述べられたものの、具体策は「新規供給の抑制と在庫の最適化」にとどまりました。Bloombergの報道でも、中国政府は都市ごとの政策で不動産危機に対処する方針を示すにとどまったと伝えられています。

市場が求めた「大規模財政出動」は不発

多くのエコノミストは、住宅在庫を政府が直接買い取るなどの大規模な財政措置が必要だと指摘していました。しかし全人代では、そうした踏み込んだ政策は発表されませんでした。CNBCの報道によると、全人代前には不動産支援への期待が高まっていましたが、結果的にその期待は裏切られた形です。

大和総研の齋藤尚登氏も全人代前の分析で、不動産市場の安定化には政府のより強力な支援が不可欠と指摘しており、今回の対応では不十分との見方が広がっています。

深刻化するデベロッパーの債務危機

恒大から碧桂園、そして万科へ連鎖

中国不動産業界の危機は、2021年の恒大集団のデフォルトに始まり、碧桂園、そして業界の優良企業とされてきた万科企業にまで波及しています。

恒大集団は清算手続きが進行中ですが、清算人が回収できた資産は総負債額のごく一部にすぎません。碧桂園は2025年上半期に190億元(約3,900億円)の最終赤字を計上し、前年同期の128億元からさらに赤字が拡大しました。

さらに深刻なのが、国有企業の後ろ盾を持つ万科企業のデフォルト危機です。2026年に123億元超の社債が償還期限を迎えており、資金繰りの厳しさが増しています。民営系デベロッパーは総じて苦境にあり、業界全体の構造的な問題が浮き彫りになっています。

完成済み未販売住宅が4億平米超

住宅の供給過剰も深刻な課題です。2025年6月末時点で、完成済みの未販売住宅は4億800万平米に達しています。建設中の住宅を含めると29億平米規模にのぼるとの推計もあり、在庫消化には長い時間がかかる見通しです。

S&Pの予測では、2026年の新築住宅販売はさらに6〜7%減少し、新築住宅価格も1.5〜2.5%下落するとされています。中国指数研究院も、2026年の新築商品住宅販売は前年比6.2%減と予測しています。

地方政府の財政危機と連鎖的影響

土地収入の激減

不動産不況は地方政府の財政を直撃しています。中国では土地が公有制のため、地方政府にとって土地使用権の売却収入が重要な財源でした。しかし2023年の土地使用権譲渡収入は5兆8,000億元で、ピーク時の2021年(8兆7,100億元)から約32%も減少しています。

みずほリサーチ&テクノロジーズの分析では、不動産不況と消費低迷は長期化する見通しです。土地収入を失った地方政府は、インフラ投資の縮小や公共サービスの質の低下を余儀なくされており、経済全体への悪影響が懸念されています。

消費マインドへの冷え込み

住宅価格の下落は、中国の家計資産に大きな影響を与えています。中国の家計資産の約7割は不動産に集中しているとされ、住宅価格の下落は直接的に「逆資産効果」をもたらします。消費意欲の減退が内需の低迷につながり、経済全体の悪循環を生んでいます。

2026年1月のデータでは、中古住宅価格の下落ペースがやや鈍化する兆しも見られましたが、本格的な回復にはほど遠い状況です。

注意点・展望

中国不動産市場の安定化について、多くのアナリストは早くても2026年後半から2027年にかけてと見ています。しかし、構造的な問題が複数重なっているため、V字回復は困難との見方が支配的です。

第一に、人口減少と都市化の鈍化により、住宅需要そのものが長期的に縮小しています。第二に、デベロッパーの債務問題は依然として解決の見通しが立っていません。第三に、地方政府の財政悪化が公共投資の制約となっています。

一方で、第一生命経済研究所の分析にもあるように、第15次5カ年計画で掲げられた「内需拡大」が本格化すれば、住宅リフォーム市場などに新たな需要が生まれる可能性もあります。ただし不動産開発投資は2026年も前年比11%減が見込まれており、業界全体の縮小トレンドは続く見通しです。

まとめ

2026年の全人代は、中国不動産業界にとって「期待はずれ」の結果となりました。大規模な財政出動や抜本的な支援策は示されず、都市ごとの対応という従来路線が維持されています。

住宅販売の減少、デベロッパーの連鎖的な債務危機、地方財政の悪化という三重苦の中、中国不動産業界の回復には相当な時間がかかる見込みです。投資家や関連企業は、中国不動産市場が「かつての成長産業に戻ることはない」という前提で、戦略を見直す必要があるかもしれません。

参考資料:

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