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by nicoxz

イラン攻撃で株安・円安・原油高、金融市場に三重の衝撃

by nicoxz
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はじめに

2026年2月28日の米国・イスラエルによるイラン攻撃は、世界の金融市場に大きな衝撃を与えています。週明け3月2日の東京市場では日経平均株価が急落し、原油価格は急騰、為替市場では「有事のドル買い」により円安が進行しました。

地政学リスクの急激な高まりに加え、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上封鎖されたことで、株安・円安・原油高という三重のショックが市場を直撃しています。

この記事では、各市場の動向を整理し、今後の見通しについて解説します。

日本株市場:日経平均が連日の大幅下落

3月2日の衝撃

米国・イスラエルのイラン攻撃発生後、最初に開いた主要市場は3月2日の東京市場でした。日経平均株価は朝方から売りが先行し、下げ幅は一時1500円を超えました。終値は前週末比793円(1.35%)安の5万8057円で取引を終えています。

投資家のリスク回避姿勢が強まり、幅広い銘柄が売られました。特に原油高がコスト増につながる銀行株や運輸株の下落が目立ちました。

3月3日以降も続落

3月3日にはイランが報復として複数の中東諸国に対しドローン攻撃を実施したことが伝わり、市場心理がさらに悪化しました。日経平均は3.1%安の5万6279円まで下落。翌4日も2033円安の5万4245円と3日続落し、攻撃前と比べて約4000円の下落となっています。

韓国のKOSPIは休場明けに7.2%の急落を記録するなど、アジア市場全体で売りが広がりました。欧州のStoxx600も1.61%下落しています。

原油市場:ホルムズ海峡封鎖で急騰

原油価格の推移

ホルムズ海峡の事実上の封鎖を受け、原油価格は急騰しました。ブレント原油先物は1バレル81.30ドルまで上昇し、攻撃前の72.87ドルから約9%の値上がりです。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油も74.47ドルに達し、いずれも8カ月ぶりの高値水準です。

ニューヨーク原油先物は一時75ドルと前週末比12%の急伸を記録しました。

100ドル超えのシナリオ

ホルムズ海峡は世界の原油輸送の要衝であり、日量約1500万バレルの原油が通過します。封鎖が長期化すれば、アナリストの中には原油価格が1バレル100ドルを超えるとの予測もあります。

野村総合研究所はWTIが120ドルまで上昇するシナリオを提示しています。この水準が持続した場合、日本経済はスタグフレーション(景気停滞とインフレの同時進行)に陥り、2026年のGDPが想定より0.6%低下するとの試算もあります。

為替市場:有事のドル買いで円安進行

ドル高・円安の構図

米国とイランの軍事衝突を受け、外国為替市場では「有事のドル買い」が進行しました。米ドル指数は0.95%上昇し、今年最高値を更新しています。

円は対ドルで一時157円近辺まで下落しました。通常、地政学リスクの高まりでは安全資産とされる円が買われることもありますが、今回は日本がエネルギー純輸入国であることが意識されました。原油高は日本の貿易赤字拡大につながるため、円売りの材料となっています。

金・債券市場の動き

安全資産として金価格が上昇し、金先物は過去最高値に迫る水準に達しました。日本国債は買われ、長期金利が低下しています。投資家がリスク資産から安全資産へ資金を移す「リスクオフ」の動きが鮮明です。

注意点・今後の展望

短期的ショックか長期的リスクか

イランの最高指導者の死亡が確認されたことで、一部には戦況が長期化しないとの見方もあります。過去の地政学リスクイベントでは、株式市場は数週間から数カ月で回復するケースが多いのも事実です。

しかし、イランが報復攻撃を実施し、中東地域全体に紛争が拡大している現状では、楽観は禁物です。ホルムズ海峡の航行再開時期が最大の焦点となっています。

日本経済への波及

原油価格の上昇が長期化すれば、ガソリン、電気、ガスなどのエネルギーコストが上昇し、企業収益と消費者の家計を圧迫します。日本は254日分の石油備蓄を保有していますが、封鎖が数カ月に及べば備蓄放出の検討も必要です。

日銀の金融政策にも影響が及ぶ可能性があります。インフレ加速と景気減速が同時に進むスタグフレーションとなれば、利上げの判断が一段と難しくなります。

まとめ

米国・イスラエルのイラン攻撃は、日経平均の連日下落、原油価格の急騰、円安の進行という三重のショックを金融市場にもたらしています。ホルムズ海峡の封鎖が続く限り、市場の不安定な状態は続く見通しです。

投資家にとっては、短期的なパニック売りに巻き込まれず冷静に情勢を見極めることが重要です。一方で、エネルギーコスト上昇による企業業績への影響は中長期的なリスク要因として注視が必要です。最新の地政学動向とエネルギー市場の情報を常にチェックしておくことが求められます。

参考資料:

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