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by nicoxz

過去最高122兆円の予算案が衆院通過、今後の焦点は

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はじめに

2026年3月13日、衆議院本会議において2026年度(令和8年度)予算案が与党の賛成多数で可決され、参議院に送付されました。一般会計の総額は122兆3092億円にのぼり、2年連続で過去最大を更新しています。

高市早苗首相にとって初の当初予算案であり、「責任ある積極財政」を掲げる政権の方針が色濃く反映された内容です。一方で、衆院での審議時間が約59時間と2000年以降で最短となったことに野党が強く反発しており、参院での審議の行方が注目されます。

この記事では、予算案の主な内訳と特徴、衆院通過までの経緯、そして参院での審議見通しについて解説します。

過去最大を更新した予算案の全体像

122兆円の内訳と特徴

2026年度予算案の一般会計総額は122兆3092億円で、2025年度の当初予算を約7兆円上回りました。各省庁からの概算要求額122兆4454億円からほとんど削減されずに閣議決定されたことが特徴的です。

歳出面では、社会保障関係費が39兆559億円と最大の支出項目を占めています。診療報酬の本体部分が3.09%引き上げられたほか、年金の物価スライド(+2.0%)などが反映されました。防衛関係費は8兆9843億円に達し、5年間で総額43兆円を確保する防衛力整備計画の4年目にあたります。

膨張する国債費と金利リスク

国債費は31兆2758億円と初めて30兆円の大台を突破しました。想定金利が前年度の2.0%から3.0%に引き上げられたことで、利払い費だけで約13兆円に膨張しています。

歳入面では、税収が83兆7350億円と過去最高を見込んでいます。企業収益の拡大や物価上昇に伴う賃上げの効果が税収増に寄与する見通しです。注目すべきは、一般会計のプライマリーバランス(基礎的財政収支)が28年ぶりに黒字化する予算となった点です。ただし、これは税収の大幅増によるもので、歳出の抑制が進んだわけではありません。

主な政策項目

今回の予算案には、以下のような重点施策が盛り込まれています。

高校授業料の無償化と小学校給食の無償化が実現し、公費負担が約0.7兆円増加しました。また、半導体・AI支援ではエネルギー特別会計から1.2兆円が計上されるなど、成長分野への投資も積極的に行われています。公共事業費は6.1兆円が確保され、防災・減災やインフラ老朽化対策が引き続き重視されています。

衆院通過の経緯と野党の反発

異例のスピード審議

予算案は2月20日に国会に提出され、衆院予算委員会での審議を経て3月13日に本会議で可決されました。衆院での審議時間は約59時間にとどまり、2000年以降の最短記録を更新しています。

与党は年度内(3月31日まで)の予算成立を目指し、審議日程を前倒しで進めました。坂本哲志予算委員長が職権で審議日程を決定する場面が繰り返され、地方公聴会や中央公聴会のスケジュールも野党の反対を押し切って設定されました。

野党4党による委員長解任決議案

審議の進め方に反発した中道改革連合、参政党、チームみらい、共産党の野党4党は、坂本予算委員長の解任決議案を共同提出しました。しかし、自民党や日本維新の会などの反対多数で否決されています。

国民民主党は予算案そのものには反対したものの、解任決議案の共同提出には加わりませんでした。日本維新の会は予算案に賛成しており、与野党の対応が分かれる構図となっています。

参院での審議見通しと暫定予算の可能性

年度内成立は不透明

参院では3月16日から予算案の審議が始まります。17日まで首相と全閣僚が出席する基本的質疑が行われ、18日には首相出席のもとで一般質疑が実施される予定です。

しかし、参院では与党が過半数を占めておらず、衆院のように審議を短期間で終わらせることは困難です。野党は審議時間の確保を強く求めており、年度内の予算成立は不透明な情勢です。

暫定予算への備え

憲法の規定により、衆院通過後30日で自然成立となるため、最終的な期限は4月12日です。3月31日までに参院で議決されなければ、4月1日からの行政運営に支障が出る可能性があります。

その場合、政府は暫定予算を編成する必要があります。約1か月分の暫定予算を組む場合、規模は約9兆円と試算されています。暫定予算では新規事業の着手が制限されるため、各省庁の政策推進に一定の遅れが生じることになります。

注意点・展望

今回の予算案では、歳出の膨張と金利上昇リスクという2つの構造的課題が浮き彫りになっています。想定金利が3.0%に引き上げられたことで国債費が急増しましたが、実際の金利がさらに上昇すれば、追加の財政負担が発生します。

また、社会保障費は高齢化の進行に伴い今後も増加が見込まれます。プライマリーバランスの黒字化は達成されたものの、歳出改革を伴わない税収増頼みの構図は持続可能性に疑問が残ります。

参院での審議では、予算案の中身に関する議論だけでなく、衆院での審議過程の妥当性も論点になる見込みです。国民生活への影響を最小限に抑えるためにも、与野党間の建設的な議論が求められます。

まとめ

2026年度予算案は一般会計122兆3092億円と過去最大を記録し、衆院を通過しました。社会保障費、防衛費、国債費がいずれも過去最大となる一方、28年ぶりのプライマリーバランス黒字化予算という側面も持ちます。

今後の焦点は参院での審議です。与党が過半数を持たない参院で年度内成立が実現するか、暫定予算が必要になるかが注目されます。予算案の内容とともに、国会運営のあり方も問われる局面が続きそうです。

参考資料:

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