Research
Research

by nicoxz

日本版ESTA「JESTA」導入へ、在留手数料も大幅引き上げ

by nicoxz
URLをコピーしました

はじめに

政府は2026年3月10日、出入国管理及び難民認定法(入管法)の改正案を閣議決定しました。改正案の柱は、電子渡航認証制度「JESTA(ジェスタ)」の創設と、在留資格に関する手数料の上限引き上げの2点です。

訪日外国人や在留外国人が増加する中、入国管理業務のコストは年々膨らんでいます。今回の法改正は、その管理コストを外国人側の負担増で賄うとともに、入国審査の効率化を図る狙いがあります。

本記事では、JESTAの仕組みや導入スケジュール、手数料改定の詳細、そして海外の類似制度との比較を通じて、今回の改正が訪日客や在留外国人に与える影響を解説します。

電子渡航認証制度「JESTA」の全容

JESTAとは何か

JESTA(Japan Electronic System for Travel Authorization)は、日本に渡航する外国人に対して事前にオンラインで審査を行う制度です。米国の「ESTA」や欧州の「ETIAS」に相当する仕組みで、ビザ免除国・地域からの短期滞在者が対象となります。

渡航者は来日前にインターネット上で氏名、パスポート情報、職業、渡航目的、滞在先などの情報を申告します。政府がこれらの情報をもとに事前審査を行い、問題がなければ「認証」を付与する流れです。認証を受けていない渡航者は、航空機への搭乗が認められなくなります。

対象者と導入時期

JESTAの対象は、短期滞在ビザが免除されている71の国・地域からの渡航者です。観光やビジネスでの短期滞在を目的とする訪日客が中心となります。注目すべき点として、日本を経由して第三国へ向かうトランジット(乗り継ぎ)客も対象に含まれる見通しです。

導入時期は2028年度が目標とされています。当初は2030年度までの導入を想定していましたが、前倒しが決まりました。政府は今国会での法案成立を目指しており、成立後にシステム開発や運用体制の整備を進める計画です。

制度導入の背景

JESTA導入の背景には、訪日外国人の急増に伴う入国管理の負担増があります。コロナ禍からの回復を経て訪日客数は過去最高水準で推移しており、入国審査の現場では処理能力の逼迫が課題となっていました。

事前審査を導入することで、入国時の審査を簡素化・迅速化できます。空港での待ち時間短縮は訪日客の利便性向上にもつながり、安全管理と利便性を両立させる狙いがあります。

在留資格手数料の大幅引き上げ

現行手数料と改定案の比較

入管法改正案のもう一つの柱が、在留資格に関する手数料の大幅な引き上げです。現行の手数料水準は主要国と比較して極端に低く、増大する入管業務の経費をまかなえていないことが値上げの背景にあります。

主な改定案は以下の通りです。

  • 在留資格変更・在留期間更新: 現行6,000円 → 3万〜4万円程度に引き上げ
  • 永住許可申請: 現行8,000円 → 上限30万円に引き上げ
  • 在留資格認定証明書交付: 現行無料 → 有料化を検討

永住許可の手数料は現行の約37倍にもなる可能性があり、外国人コミュニティからは大きな反響が出ています。

海外との手数料比較

日本の在留手数料が引き上げられる背景として、国際比較での低さがあります。たとえば米国のグリーンカード(永住権)申請には約1,760ドル(約26万円)、英国の永住権申請には2,885ポンド(約55万円)の手数料がかかります。

日本の現行手数料はこれらと比較して桁違いに安く、在留外国人の増加に伴う審査・管理業務のコスト増を税金で補填している状況でした。政府は「受益者負担」の原則に基づき、適正な水準への見直しを進める考えです。

想定される影響

手数料の大幅引き上げは、日本で暮らす外国人や外国人を雇用する企業に大きな影響を与えます。特に永住許可申請の手数料が30万円に達する場合、申請を断念する外国人が出る可能性も指摘されています。

また、法改正の施行前に「駆け込み申請」が急増する可能性も高く、入管窓口の混雑が予想されます。企業側も外国人社員のビザ関連コストの増加を見込んだ対応が必要となるでしょう。

注意点・展望

海外の電子渡航認証制度との比較

JESTAの制度設計にあたっては、米国のESTA(Electronic System for Travel Authorization)が主な参考とされています。ESTAの申請手数料は21ドル(約3,200円)で、認証の有効期間は2年間です。有効期間内であれば複数回の渡航が可能で、1回の滞在は最大90日間に制限されています。

JESTAの具体的な手数料や有効期間はまだ公表されていませんが、ESTAと同程度の水準になると見込まれています。訪日リピーターやビジネス渡航者にとっては、一度の認証で複数回入国できる仕組みが利便性を確保する鍵となります。

今後の審議スケジュール

入管法改正案は今国会での成立を目指していますが、手数料の大幅引き上げに対しては野党や外国人支援団体から慎重な審議を求める声も上がっています。特に永住許可手数料の上限30万円という水準については、在留外国人への過度な負担ではないかとの議論が続く見通しです。

JESTAのシステム構築にも相応の期間と費用が必要です。2028年度の導入目標を達成するためには、法案成立後に速やかにシステム開発に着手する必要があります。

まとめ

政府が閣議決定した入管法改正案は、JESTAの創設と在留手数料の大幅引き上げという二つの大きな変更を含んでいます。JESTAは2028年度の導入を目指し、ビザ免除国からの渡航者71カ国・地域を対象に事前のオンライン審査を義務化します。

在留手数料は永住許可で最大30万円、在留資格変更・更新で3万〜4万円程度への引き上げが検討されており、在留外国人や雇用企業への影響は大きいといえます。入国管理の効率化と安全確保を進める一方、外国人にとって過度な負担とならないよう、バランスの取れた制度設計が求められます。今国会での審議の行方に注目が集まります。

参考資料:

関連記事

最新ニュース