国民民主・玉木氏、冒頭解散なら予算案賛成を確約せず
はじめに
国民民主党の玉木雄一郎代表は2026年1月11日、高市早苗首相が1月23日召集予定の通常国会の冒頭で衆院を解散した場合、2026年度予算案や特例公債法案に「賛成を確約できなくなる」と述べました。同党は2025年12月に、2026年度予算の年度内成立に向けて協力すると自民党と合意していましたが、冒頭解散は「約束に反する」として、合意の前提が崩れることを示唆しました。予算審議と解散タイミングをめぐる政治的駆け引きは、国民生活に直結する予算成立に影響を及ぼす可能性があります。本記事では、玉木氏の発言の背景、自民党との合意内容、そして冒頭解散が予算審議に与える影響について詳しく解説します。
玉木代表の発言と国民民主党の立場
「賛成を確約できない」の意味
玉木代表は1月11日のフジテレビ番組で、高市首相が通常国会冒頭で衆院を解散した場合、「相手方が約束を破るんであれば、もう約束を守る合理的理由がなくなってしまう」と述べました。これは、2025年12月の自民党との合意が、予算の年度内成立を前提としていたことを指しています。
冒頭解散が実施されれば、予算審議は選挙後の新国会に持ち越され、年度内成立が困難になります。玉木氏はこれを「経済後回し解散」と批判し、物価高対策が遅れることへの懸念を表明しました。
「約束にも反する」との批判
玉木氏は、「年収の壁」103万円の178万円への引き上げで高市政権と合意した経緯を振り返り、冒頭解散は「約束にも反することになってしまう」として、「正直、報道には驚きました」と述べています。
国民民主党は、税制改正や予算協力と引き換えに、自民党から政策面での譲歩を引き出してきました。冒頭解散によってこの合意の前提が崩れれば、党として予算案への賛成を見送る可能性を示唆したのです。
2025年12月の自民党との合意内容
「年収の壁」178万円への引き上げ
2025年12月18日、高市総裁と玉木代表は会談し、いわゆる「103万円の壁」を「178万円」に引き上げることで合意しました。これにより、納税者の約80%をカバーする手取り増加が実現する見込みです。
この合意は、2024年12月の「3党合意」で合意された内容を具体化したものであり、国民民主党が長年主張してきた政策が実現する形となりました。
予算協力の約束
両党は、2026年度(令和8年度)の税制改正関連法案および2026年度予算を年度内に早期成立させることで合意しました。国民民主党は、この合意に基づいて予算案への賛成を表明する見通しでした。
その他の合意内容
合意には以下の内容も含まれています。
自動車税・軽自動車税環境性能割の廃止: 国が地方自治体の代替財源確保に責任を持つことを前提に廃止する。
大胆な設備投資減税: 建物を含む幅広い設備について、全業種で即時償却、税額控除、繰越控除を可能にする。
これらの政策は、2024年12月の幹事長間合意の項目をすべて実現したものであり、すでに実施された揮発油税の暫定税率廃止を含め、国民民主党の主張が大幅に受け入れられた形です。
冒頭解散が予算審議に与える影響
年度内成立が困難に
通常国会は1月23日に召集される予定ですが、高市首相が冒頭解散を実施すれば、予算審議は中断されます。選挙日程として「1月27日公示-2月8日投開票」または「2月3日公示-2月15日投開票」が検討されており、いずれの場合も予算審議は選挙後の新国会に持ち越されます。
予算案の年度内成立が困難になれば、4月1日の新年度開始までに予算が執行できず、「予算の空白」が生じます。これを回避するために暫定予算を組む必要が出てきます。
暫定予算の問題点
暫定予算は、本予算が成立するまでの「つなぎ」措置として編成されます。過去には1970年代から1980年代にかけて、予算の空白が6年連続で発生し、暫定予算が常態化した時期がありました。
暫定予算では、新規事業の開始や大規模な政策実施が制限され、行政の柔軟性が損なわれます。特に物価高対策や経済支援策など、国民生活に直結する施策の実施が遅れるリスクがあります。
特例公債法の成立遅れ
予算案と並んで重要なのが、赤字国債の発行を認める特例公債法です。予算の執行には特例公債法の成立が不可欠であり、これが遅れれば財政運営に支障が出ます。
1970年代から1980年代にかけて、特例公債法の成立が予算とともに政治闘争の焦点となり、予算成立の遅れが続きました。冒頭解散によって同様の事態が再現される懸念があります。
政治的駆け引きの構図
自民党の狙い:野党の準備不足を突く
高市首相が冒頭解散を検討する背景には、野党の準備不足を突く狙いがあるとされています。「真冬の決戦」となる2月選挙は、野党候補の擁立や選挙準備が整わない中で実施されるため、与党に有利との計算です。
また、高市政権の支持率が高い今のうちに選挙を実施し、安定した政権基盤を確保したいという思惑もあります。
国民民主党の立場:政策実現と信頼性の板挟み
国民民主党は、自民党との合意によって「年収の壁」引き上げなど、長年の政策目標を実現させました。予算案に反対すれば、これらの政策実施が遅れる可能性があります。
一方で、「約束を破られた」として予算案に反対すれば、自民党との距離を保ち、野党としての独自性を示すことができます。ただし、予算成立の遅れによる国民生活への影響については、責任を問われるリスクもあります。
ねじれ国会の現実
現在の国会は、衆議院で与党が過半数を持たない「ねじれ」状態にあります。国民民主党や日本維新の会など、野党の協力がなければ、予算や重要法案の成立が困難です。
このため、自民党は野党との譲歩・修正を重ねながら、法案成立を図る必要があります。冒頭解散は、この微妙なバランスを崩し、予算審議を混乱させる可能性があります。
注意点と今後の展望
「経済後回し解散」批判の妥当性
玉木氏の「経済後回し解散」批判は、国民生活を重視する姿勢を示すものですが、一方で政治的駆け引きの側面もあります。予算案に反対することで、自民党に圧力をかけ、冒頭解散を思いとどまらせる狙いがあるとも考えられます。
ただし、実際に予算成立が遅れれば、物価高対策や経済支援策の実施が遅れ、国民生活に影響が出ます。政治的な駆け引きが、結果的に国民の利益を損なわないか、注視が必要です。
高市首相の判断
高市首相は冒頭解散について「選択肢」としつつも、予算成立の遅れへの慎重論もあると報じられています。与党内でも、予算成立を優先すべきとの意見が根強く、首相の最終判断が注目されます。
冒頭解散を実施すれば、選挙で勝利しても予算成立が遅れるリスクがあり、「政策重視」を掲げる高市政権の一貫性が問われます。
合意の再構築の可能性
仮に高市首相が冒頭解散を見送れば、国民民主党との合意は維持され、予算の年度内成立が実現する見通しです。逆に、冒頭解散を強行すれば、国民民主党との関係が悪化し、今後の政策協力が困難になる可能性があります。
玉木氏の発言は、自民党に対する警告の意味合いが強く、今後の交渉次第では、合意の再構築もあり得ます。
まとめ
国民民主党の玉木代表が、冒頭解散時の予算案賛成を確約しないと表明したことは、予算審議と解散タイミングをめぐる政治的駆け引きが激化していることを示しています。2025年12月の自民党との合意は、「年収の壁」178万円への引き上げや予算協力を含む包括的なものでしたが、冒頭解散によってその前提が崩れる可能性があります。
冒頭解散が実施されれば、予算の年度内成立が困難になり、暫定予算による「つなぎ」措置が必要となります。物価高対策や経済支援策の実施が遅れ、国民生活に影響が出るリスクがあります。
高市首相は、野党の準備不足を突く冒頭解散を検討していますが、与党内にも予算成立を優先すべきとの慎重論があります。玉木氏の「経済後回し解散」批判は、自民党への圧力であると同時に、国民生活を重視する姿勢を示すものです。
今後、高市首相がどのような判断を下すのか、そして国民民主党との合意がどうなるのか、予算審議と解散タイミングの行方が注目されます。政治的な駆け引きが、国民の利益を損なわない形で決着することが求められます。
参考資料:
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