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by nicoxz

日経平均が史上初の5万9000円突破とワークマン株の躍進

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はじめに

2026年2月26日、日経平均株価が取引時間中に史上初めて5万9000円台に到達しました。終値は前日比170円27銭高の5万8753円39銭となり、3日連続で史上最高値を更新しています。この歴史的な上昇の背景には、日銀審議委員の人事案に端を発した「高市トレード」の加速や、米国株式市場の堅調な推移があります。

個別銘柄でも注目すべき動きがあり、作業服チェーン大手のワークマンが連日で昨年来高値を更新しました。本記事では、日経平均の最高値更新の背景と、ワークマン株の上昇要因を多角的に解説します。

日経平均が5万9000円突破に至った背景

日銀人事案と「高市トレード」の加速

今回の株高を牽引した最大の要因は、政府が2月25日に国会に提示した日銀審議委員の人事案です。政府は、3月末に任期満了となる野口旭氏の後任に中央大学名誉教授の浅田統一郎氏を、6月末に任期満了となる中川順子氏の後任に青山学院大学教授の佐藤綾野氏をそれぞれ起用する案を示しました。

両氏はいずれも金融緩和や積極財政を重視する「リフレ派」に位置づけられています。高市早苗首相が低金利政策を志向していることは広く知られており、この人事案は首相の意向が色濃く反映されたものと受け止められました。市場では日銀の追加利上げ観測が大幅に後退し、金融緩和が長期化するとの見方から株式市場に資金が流入しました。

この一連の動きは「高市トレード」と呼ばれ、2026年年初から日本株の上昇を支えてきた構造的なテーマです。1月13日には日経平均が前日比1609円高の5万3549円を付けるなど、高市政権の経済政策への期待が株価を押し上げてきました。

米国株高とAI関連投資の波及

もう一つの重要な追い風は、米国株式市場の堅調さです。特にAI関連銘柄の好決算が市場心理を改善させています。NVIDIAの2026会計年度第4四半期決算では、データセンター向け売上が前年比75%増に達し、次世代AIチップ「Blackwell」の量産開始が投資家の期待を集めました。

この米国のAI投資の波は、日本の半導体関連銘柄にも波及しています。東京エレクトロンやSCREENホールディングスなど国内の半導体製造装置メーカーでは受注が急増しており、SEMI(国際半導体製造装置材料協会)が世界の装置投資が25%増加するとの見通しを発表したことも、関連銘柄の買いにつながっています。2月26日の東証では、半導体関連やデータセンター関連の銘柄が軒並み上昇し、市場全体の押し上げに貢献しました。

ワークマン株が連日で昨年来高値を更新

業績の急回復が株価を支える

ワークマン(証券コード7564)の株価は2月26日、前日比60円(0.79%)高の7620円を付け、連日で昨年来高値を更新しました。この上昇の最大の要因は、同社の業績が急回復していることにあります。

2026年3月期第3四半期累計(4〜12月)の業績は、チェーン全店売上高が前年同期比12.0%増の1659億7500万円、営業利益が同22.0%増の252億2000万円と大幅な増収増益を達成しました。通期の経常利益についても、従来予想の267億円から290億円へ上方修正しており、4期ぶりに過去最高益を更新する見通しです。

リカバリーウェア「メディヒール」の爆発的ヒット

ワークマンの業績急伸を支えているのが、2025年9月に発売を開始したリカバリーウェアブランド「MEDiHEAL(メディヒール)」です。疲労回復を促す機能性ウェアとして注目を集め、発売から約2カ月で160万着、売上28億円を突破する大ヒットとなりました。

2025年9月から12月末までの4カ月間では319万点が完売し、販売金額は55億円に達しています。さらに2026年2月10日から1週間で約120万点を販売するなど、勢いは衰えていません。同社は2026年度にシリーズ全体で2100万点を投入し、販売金額350億円を目標に掲げています。

リカバリーウェアに加え、2026年6月から職場での熱中症対策が義務化されたことを受けて、建設現場などで使用されるファン付き作業服の需要も拡大しています。これらの新たな成長ドライバーが、投資家からの評価を高めています。

アナリスト評価の引き上げ

証券各社もワークマンの成長力を高く評価しています。野村証券は1月8日付でワークマンの投資判断を「ニュートラル」(中立)から「Buy」(買い)に格上げし、目標株価を従来の6400円から7600円に引き上げました。さらに2月25日付でも目標株価を再度引き上げており、短期・中期の両面で投資魅力が高いとの見解を示しています。こうしたアナリストの評価引き上げが、機関投資家の買いを呼び込み、株価上昇を後押ししています。

注意点・展望

日経平均の連日の最高値更新は歴史的な出来事ですが、短期的な過熱感には注意が必要です。2月26日の取引でも、前場に一時5万9000円台を突破した後は利益確定売りが優勢となり、終値は5万8753円にとどまりました。急ピッチな上昇の反動で調整局面が訪れる可能性は否定できません。

また、「高市トレード」は日銀の利上げ観測後退を前提としていますが、実際にリフレ派の審議委員が就任した後も、物価上昇や円安の進行次第では政策変更を迫られる場面も考えられます。市場の楽観シナリオが崩れた場合、急速な巻き戻しが起こるリスクには警戒が必要です。

ワークマンについても、リカバリーウェアの爆発的な成長が今後も持続するかどうかが焦点です。競合他社の参入や消費者の需要一巡といったリスクも念頭に置く必要があります。

まとめ

2月26日の日経平均株価は、日銀人事案によるリフレ派起用や米国株高を追い風に、一時5万9000円台を突破し、終値でも3日連続の史上最高値更新を達成しました。「高市トレード」の加速とAI関連投資の波及が、日本株全体を押し上げる構図となっています。

個別銘柄では、ワークマンがリカバリーウェア「メディヒール」の大ヒットと業績上方修正を背景に、連日の昨年来高値を更新しました。投資判断にあたっては、短期的な過熱感と中長期的な成長期待のバランスを見極めることが重要です。

参考資料:

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