日経平均一時2600円安、中東危機が株式市場を直撃
はじめに
2026年3月4日、東京株式市場で日経平均株価は大幅に3日続落し、下げ幅は一時2,600円を超えました。終値は前日比2,033円51銭(3.61%)安の5万4,245円54銭で、約1か月ぶりの安値水準に沈みました。3日間の累計下げ幅は約4,600円に達し、衆院選後の上昇分を帳消しにする急落となっています。
背景にあるのは、米国とイスラエルによるイラン攻撃の拡大懸念です。中東情勢の急速な緊迫化がエネルギー価格の高騰を招き、世界的なリスク回避の流れが株式市場を直撃しました。本記事では、今回の急落の要因と今後の見通しについて、市場関係者の見解を交えて解説します。
株価急落の背景
米国・イスラエルのイラン攻撃
2026年2月28日、米国とイスラエルはイランに対する大規模な軍事攻撃「オペレーション・エピック・フューリー」を開始しました。この攻撃でテヘランの指揮統制センターが破壊され、イラン軍の司令官クラス約40人が殺害されたと報じられています。トランプ大統領は目的が達成されるまで攻撃を継続する姿勢を示しており、中東情勢の先行きは極めて不透明な状況です。
この軍事行動は、ホルムズ海峡の事実上の閉鎖やイラン革命防衛隊によるタンカー攻撃への懸念を引き起こし、原油価格の急騰につながりました。エネルギー価格の上昇はインフレ再燃のリスクを高め、金利見通しの不透明感も同時に強まっています。
世界株安の連鎖
イラン攻撃の影響は世界の株式市場に波及しました。アジア市場では日本の日経225が3.89%下落し、TOPIXも4%超の下げを記録しました。ドイツのDAXは3.44%安、インドのSensexやNiftyも大幅に下落しました。
米国市場では攻撃直後に一時的に反発する場面もありましたが、防衛・エネルギー関連銘柄が上昇する一方で、航空・旅行関連銘柄は大きく売られ、セクター間の明暗が分かれています。中東の空域閉鎖や空港閉鎖が旅行関連産業に直接的な打撃を与えています。
日本市場への影響
日本市場では、海外投資家を中心とした株価指数先物への売りが優勢となりました。中東情勢の緊迫化に加えて、原油高による企業収益への悪影響への懸念も売りを加速させました。三菱重工業などの防衛関連銘柄も、利益確定売りに押されて急落する場面がありました。
為替市場では円が対ドルで一時157円台に下落し、輸出企業にとっては為替の変動も新たな不安材料となっています。
3日間で4,600円安の衝撃
下落の経過
日経平均の急落は3月2日から3日間にわたって続きました。3月2日の終値は5万8,057円で前週末比793円安、3月3日は終値5万6,279円で1,778円安、そして3月4日は終値5万4,245円で2,033円安と、日を追うごとに下げ幅が拡大しました。
3日間の累計下げ幅は約4,600円に達し、今年の最大下げ幅を連日更新する異例の展開となりました。2月5日以来約1か月ぶりの安値水準に沈み、年初からの上昇分の多くが吹き飛んだ格好です。
「第三次オイルショック」の懸念
市場では、今回の米イラン衝突がエネルギー供給を直撃する「第三次オイルショック」の様相を呈しているとの見方も出ています。ホルムズ海峡は世界の石油輸送の約2割が通過する要衝であり、ここが閉鎖されれば原油の供給途絶が現実味を帯びます。原油価格の急騰はインフレ圧力を高め、各国の中央銀行による金融引き締めの長期化につながる恐れがあります。
市場関係者の見方
「一段の下げ余地」との見方
東洋証券の大塚竜太ストラテジストは、「トランプ米大統領がイランへの大規模攻撃を示唆したことで中東情勢の不透明感が強まり、投機筋が株価指数先物を売る口実にした可能性が高い」と指摘しています。
中東情勢の先行きが見通せないなか、日経平均にはまだ下落の余地があるとの不安も根強くあります。原油価格が高止まりし、イランとの軍事的な緊張が長期化すれば、企業収益への悪影響が本格化する可能性があります。
「下落は長引かず」との見方
一方で、今回の急落は短期的なショックにとどまり、世界的な株高の流れは不変との楽観的な見方もあります。東洋経済オンラインの分析では、過去の地政学リスクによる株価下落は比較的短期間で回復する傾向があり、今回も「買い直しの好機」になる可能性が指摘されています。
SBI証券のレポートでは、イラン情勢をめぐる複数のシナリオが提示されており、紛争が短期で収束するケースでは日経平均の回復は早い一方、長期化すれば原油高と円安のダブルパンチで日本株は厳しい展開が続くとの見通しが示されています。
注意点と今後の展望
個人投資家が注意すべきポイント
今回のような地政学リスクによる急落局面では、パニック売りを避けることが重要です。過去の事例を振り返ると、有事の初期に売却した投資家は、その後の反発局面で利益を取りそこなうケースが多くみられます。
一方で、原油関連や防衛関連など、有事で恩恵を受けるセクターへの一時的な資金シフトが起きています。ただし、こうした「有事銘柄」への投資は短期的な値動きが激しく、タイミングを誤ると大きな損失を被るリスクもあります。
原油価格と為替の行方が鍵
今後の日本株の方向性を左右するのは、原油価格と為替の動向です。原油価格がさらに上昇すれば、日本企業のコスト増加や消費者の購買力低下を通じて景気に悪影響を及ぼします。為替については、リスク回避の円買いと原油高による経常収支悪化の円売りが綱引きする展開が予想されます。
米国市場の動向にも注目
日経平均の行方は米国市場の動向にも大きく左右されます。米国株式市場で株価下落に歯止めがかからなければ、リスク回避の連鎖が東京市場のムードをさらに悪化させる可能性があります。
まとめ
日経平均株価の一時2,600円超の下落は、米国・イスラエルによるイラン攻撃という地政学リスクが金融市場を直撃した結果です。3日間で4,600円という急落幅は、投資家心理の急速な悪化を如実に示しています。
市場関係者の見方は「一段の下げ余地あり」と「下落は長引かず」に分かれていますが、いずれにしても中東情勢の推移と原油価格の動向が今後の鍵を握ります。投資家にとっては、冷静な判断と適切なリスク管理がこれまで以上に求められる局面です。
参考資料:
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