NVIDIA決算がAI相場を左右 今週の注目点
はじめに
2026年2月26日(水)、半導体大手NVIDIAが2026会計年度第4四半期(2025年11月〜2026年1月期)の決算を発表します。AI関連銘柄の「本丸」ともいえる同社の業績は、半導体セクターだけでなく株式市場全体のセンチメントを左右する重要イベントです。
前四半期(第3四半期)には売上高が過去最高の570億ドルを記録し、市場の高い期待に応え続けてきました。今回の決算でも56%増収が見込まれ、ウォール街のアナリストからは強気の見通しが相次いでいます。本記事では、決算の注目ポイントや市場への影響、そして投資家が押さえておくべきリスク要因を整理します。
NVIDIA第4四半期決算の注目ポイント
売上高ガイダンスの達成度と上振れ余地
NVIDIAは第3四半期の決算発表時に、第4四半期の売上高ガイダンスを650億ドル(±2%)と提示しました。これは前年同期比で約56%の増収に相当する水準です。市場では、このガイダンスをどの程度上回るかが最大の焦点となっています。
証券各社の予想を見ると、KeyBancは売上高を690億ドルと予測しており、会社ガイダンスを約6%上回る強気の見通しを示しています。Morgan Stanleyも「Overweight」のレーティングを維持し、目標株価を250ドルに設定しています。アナリスト全体の平均目標株価は253.79ドルで、直近の株価から約38.83%の上昇余地があるとの評価です。
過去数四半期、NVIDIAはガイダンスを上回る実績を出し続けてきました。今回も同様の「ビート&レイズ」(予想超え+次期ガイダンス引き上げ)が実現するかどうかが、株価の方向性を決定づけるでしょう。
Blackwellアーキテクチャの出荷動向
第4四半期のもう一つの注目材料は、最新GPUアーキテクチャ「Blackwell」の出荷状況です。NVIDIAの経営陣はBlackwellの販売が「桁外れの水準」に達していると述べており、クラウド向けGPUは完売状態が続いています。
Blackwellは前世代のHopperと比較して、AIの推論処理性能が大幅に向上しているとされます。大規模言語モデル(LLM)の運用コスト削減や、リアルタイム推論の高速化に貢献するため、クラウドサービスプロバイダーやエンタープライズ企業からの需要が旺盛です。
決算発表では、Blackwellの売上貢献がどの程度の規模に達したのか、供給制約の状況がどうなっているのか、そして次四半期以降の需要見通しについて、具体的な数字が示されることが期待されています。
AI市場全体への波及効果と今週のイベント
データセンター投資と半導体サプライチェーン
NVIDIAの決算は同社だけの問題にとどまりません。Microsoft、Google、Amazon、Metaといった大手クラウド企業のAIインフラ投資の方向性を映す「鏡」として機能しています。NVIDIAが強い数字を出せば、サーバーメーカーやメモリ半導体メーカー、電力関連企業など、AIサプライチェーン全体にポジティブな波及効果が期待されます。
2026年度および2027年度の1株当たり利益(EPS)については、コンセンサス予想を上回る可能性が指摘されています。これが確認されれば、AI関連銘柄全体の業績見通しが上方修正される契機となり、セクター全体の株価を押し上げる要因になり得ます。
一方で、設備投資の減速や需要の一服感が示された場合は、関連銘柄全体に売り圧力がかかるリスクもあります。NVIDIAの決算カンファレンスコールでのジェンスン・ファンCEOの発言内容は、特に注意深く確認する必要があるでしょう。
今週のグローバルイベントとの連動
今週はNVIDIA決算以外にも、市場に影響を与え得るイベントが複数予定されています。ドイツのメルツ首相が2月24日から初の中国訪問を行い、経済関係の強化を模索します。米中対立が深まる中でのドイツの動きは、欧州の対中スタンスを占う重要なシグナルとなります。
また、米国ではトランプ前大統領による関税措置に対する違憲判決が出ており、通商政策の行方にも不透明感が漂っています。こうした地政学的リスクは、NVIDIAの対中輸出規制にも関連する問題であり、決算発表時のガイダンスにどのように織り込まれるかが注目されます。
注意点・展望
対中輸出規制のリスク
NVIDIAにとって中国市場は重要な収益源でしたが、米国政府による先端半導体の対中輸出規制が強化されており、一部のハイエンドGPUの中国向け販売が制限されています。決算カンファレンスコールでは、規制の影響額や代替市場の開拓状況について、経営陣のコメントが注目されます。
バリュエーションの高さに注意
NVIDIAの株価はAIブームを追い風に大きく上昇してきましたが、高いバリュエーションは決算が期待を「少しでも下回った」場合に、大幅な株価調整を招くリスクがあります。過去にもガイダンスの伸び率鈍化が嫌気され、決算後に急落した事例がありました。好決算が「織り込み済み」かどうかを冷静に判断することが重要です。
中長期的にはAI需要の構造的成長に期待
短期的なボラティリティはあるものの、AI関連の設備投資は構造的な成長トレンドにあります。各社のAIインフラ投資計画は拡大基調を維持しており、NVIDIAのGPUに対する需要が中長期的に衰える兆候は見られません。決算結果に一喜一憂するだけでなく、中長期の成長ストーリーを見据えた視点も持ち合わせることが大切です。
まとめ
2月26日に発表されるNVIDIAの2026会計年度第4四半期決算は、今週の金融市場における最大のイベントです。売上高ガイダンス650億ドルの達成度、Blackwellの出荷状況、対中輸出規制の影響、そして次期ガイダンスの水準が主要な注目ポイントとなります。
投資家の皆様は、決算数字だけでなくカンファレンスコールでの経営陣の発言にも注目し、AI市場全体のトレンドを読み解く材料にされることをおすすめします。今週はドイツ首相の訪中や米関税政策の動向など、地政学的イベントも重なるため、ポートフォリオのリスク管理には一層の注意が求められます。
参考資料:
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