NYダウ続伸しNVIDIA株上昇、AI投資拡大が追い風
はじめに
2026年2月18日の米国株式市場で、ダウ工業株30種平均が3日続伸しました。エヌビディア(NVIDIA)やアマゾンなどのテクノロジー株が買われ、ダウ平均は一時300ドルを超える上昇を見せています。終値は前日比129ドル高の4万9662ドルで取引を終えました。
上昇の最大の要因は、MetaがNVIDIAのチップを数百万個規模で採用する大型契約を発表したことです。一方で、AI の進化がソフトウェア業界のビジネスモデルを根底から揺るがす「SaaSの死」への懸念も広がっています。AI時代の株式市場で、明暗を分けるものは何なのかを解説します。
Meta・NVIDIAの大型契約がけん引
数十億ドル規模のチップ供給契約
2月17日、MetaはNVIDIAとの提携を大幅に拡大し、数百万個のGPUとCPUをAIデータセンターに導入する契約を締結したと発表しました。金額は公表されていませんが、数百億ドル規模と推定されています。
この契約の特徴は、NVIDIAの製品ラインナップを網羅的に採用している点です。スタンドアロンのGrace CPU、最新のBlackwell GPU、さらに次世代のVera Rubinシステムまで、NVIDIA製品をデータセンターのAI学習と推論の両方に活用します。Metaが初めてGrace CPUをスタンドアロンで採用するハイパースケーラーとなったことも注目されています。
NVIDIAの株価は上昇
この発表を受けて、NVIDIAの株価は18日に約2.2%上昇し、190ドル台で取引を終えました。2025年10月の過去最高値207ドルからは下落した水準にありますが、AIインフラ需要の堅調さを示す材料として市場に好感されました。
Metaは2026年に1,150億〜1,350億ドルのAI関連投資を計画しており、ビッグテック5社全体では6,600億〜6,900億ドルという空前のAIインフラ投資が見込まれています。こうした巨額投資の最大の受益者がNVIDIAです。
2月25日の決算発表に注目
市場が期待する驚異的な成長
NVIDIAは2月25日に2026会計年度第4四半期の決算発表を控えています。会社側のガイダンスでは売上高約650億ドルを見込んでおり、前年同期比67%増という驚異的な成長率です。
ウォール街のアナリスト予想では、調整後1株当たり利益(EPS)は1.52ドル(前年同期比71%増)、売上高は655.6億ドルが見込まれています。ただし、市場のささやき(ウィスパー・ナンバー)では670億ドル以上が求められるとの見方もあり、高い期待値がハードルを上げています。
売上より注目される「ガイダンス」
一部のアナリストは、好決算はすでに株価に織り込み済みと指摘しています。投資家の焦点は過去の業績よりも、2027会計年度の見通しに移っています。AIチップの需要が今後も持続するのか、競合の追い上げはあるのかなど、ガイダンスの内容次第で株価が大きく動く可能性があります。
「SaaSの死」が示すAIの破壊力
8000億ドルが蒸発したソフトウェア株の暴落
AI関連のハードウェア株が堅調な一方で、ソフトウェア業界では「SaaSpocalypse(SaaSの黙示録)」と呼ばれる大規模な売りが続いています。2月の第2週には、S&P500ソフトウェア指数がわずか5営業日で13%下落し、8,000億ドル以上の時価総額が消失しました。
きっかけとなったのは、2月3日にAnthropic社がリリースした「Claude Cowork」です。企業向けソフトウェアを自律的に操作し、法務契約のレビューや財務のトリアージを人間の監視なしに実行できるAIエージェント機能が衝撃を与えました。発表当日の「ブラック・チューズデー」では、ソフトウェア指数が一日で5.7%急落しています。
「シート課金」モデルの崩壊
この暴落の本質は、SaaS企業のビジネスモデルそのものへの疑問です。20年以上にわたりSaaS業界を支えてきた「1ユーザーあたりの月額課金(シート課金)」モデルが、AIエージェントによって根底から覆される可能性が意識されています。
企業がAIエージェントで人間のワークフローを代替できるようになれば、必要なソフトウェアライセンス数は激減します。SalesforceやAdobeの株価は年初から25%以上下落しており、ソフトウェアセクター全体で1月15日から2月14日までに約2兆ドルの時価総額が失われています。
AIが生む勝ち組と負け組
インフラ層の圧倒的な優位
現在の株式市場では、AI関連銘柄のなかでも明確な勝ち組と負け組が分かれています。NVIDIAのようなAIインフラを提供するハードウェア企業は、巨額の設備投資の恩恵を直接受けています。データセンターの電力需要を支えるエネルギー関連企業にも追い風が吹いています。
一方で、AIに置き換えられるリスクのあるソフトウェア企業は厳しい立場に置かれています。ただし、SaaS株の下落が「論理的でないパニック」なのか「構造的な転換」なのかについては、市場の見方が分かれています。
アマゾンなど「両面」の恩恵
アマゾンは18日に約2%上昇しました。著名投資家ビル・アックマン氏のパーシング・スクエアが第4四半期にアマゾン株の保有比率を65%引き上げたことが材料となっています。アマゾンはAWSを通じてAIインフラを提供しつつ、自社のEC事業にもAIを活用する「両面」の恩恵を受ける銘柄として評価されています。
注意点・展望
過熱感への警戒
ダウ平均は5万ドルの大台に迫る水準で推移しており、一部では過熱感への警戒も出ています。AI関連投資の急拡大が持続可能なのか、投資に見合うリターンが得られるのかという「AI実用化ギャップ」への懸念は根強いです。
2月25日のNVIDIA決算は、AI投資ブームの持続性を測る試金石となります。期待を上回る結果であれば、相場はさらに上昇する可能性がありますが、予想を下回った場合には利益確定売りが加速するリスクもあります。
FRBの金融政策にも注目
テクノロジー株の動向には金利環境も大きく影響します。FRBの議事要旨の公開も控えており、金融政策の方向性によっては株式市場全体の地合いが変わる可能性があります。AI投資の楽観と金利上昇の懸念が交錯するなか、市場は慎重な楽観を保っている状態です。
まとめ
2月18日のNY株式市場は、MetaとNVIDIAの大型チップ契約を追い風にダウ平均が3日続伸しました。AIインフラへの巨額投資が続くなか、NVIDIAをはじめとするハードウェア企業には強い追い風が吹いています。
一方で、AIエージェントの台頭によるSaaS業界の構造転換が「SaaSの死」として市場を揺るがしており、テクノロジーセクター内での明暗が鮮明になっています。2月25日のNVIDIA決算発表が、今後のAI投資ブームの持続性を左右する重要な転換点となりそうです。
参考資料:
- Stock market news for Feb. 18, 2026 - CNBC
- Meta expands Nvidia deal to use millions of AI chips in data center build-out - CNBC
- Meta Deepens Nvidia Ties With Pact to Use ‘Millions’ of Chips - Bloomberg
- Nvidia Earnings: The Ultimate Test for the AI Trade - FinancialContent
- Software-mageddon: The $800 Billion Tech Selloff and the Death of the SaaS Model - FinancialContent
- AI fears pummel software stocks: Is it ‘illogical’ panic or a SaaS apocalypse? - CNBC
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