Research

Research

by nicoxz

NYダウ反発で医療株上昇、一方AMDは17%急落の明暗

by nicoxz
URLをコピーしました

はじめに

2026年2月4日の米国株式市場は、投資家心理が揺れ動く複雑な一日となりました。ダウ工業株30種平均は前日比260ドル高の4万9501ドルで取引を終え反発しましたが、ナスダック総合指数は約1.7%下落しました。

この日の相場を特徴づけたのは、セクター間の明暗です。消費関連や医薬品といったディフェンシブ銘柄が買われる一方、半導体やソフトウェア関連には売りが集中しました。特にAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)は17%の急落を記録し、2017年以来最悪の一日となりました。

本記事では、この相場の背景と各セクターの動きを詳しく解説します。

ダウ反発を支えたディフェンシブ銘柄

Amgenが好決算で8%上昇

ダウ平均の上昇をけん引したのは、バイオテクノロジー大手のAmgen(アムジェン)でした。同社株は8%上昇し、ダウ構成銘柄の中でトップパフォーマーとなりました。

Amgenが発表した2025年第4四半期決算は市場予想を上回る内容でした。売上高は99億ドルで、市場予想の94.6億ドルを大きく超過しました。1株当たり利益(EPS)は1.53ドルとなり、予想の1.32ドルを上回りました。

さらに、2026年通期の業績見通しも強気な内容で、投資家の信頼を獲得しました。

Merckも堅調な上昇

Merck(メルク)も3.23%上昇し、ダウ上昇に貢献しました。医薬品セクター全体に対する投資家の選好が強まる中、同社の安定した事業基盤が評価されています。

イーライリリーが10%急騰

ダウ構成銘柄ではありませんが、製薬大手イーライリリーの株価上昇も注目を集めました。同社株は10%上昇し、1,090ドル台まで急伸しました。

イーライリリーの上昇を支えたのは、予想を大幅に上回る2026年業績見通しです。同社は2026年の売上高を800億ドルから830億ドルと予想しており、市場予想の776億ドルを大きく上回りました。調整後EPSも33.50ドルから35ドルと、予想の33.23ドルを超える見通しを示しています。

この好業績見通しの背景には、肥満治療薬「ゼップバウンド」と糖尿病治療薬「マンジャロ」の需要急増があります。体重管理薬市場の拡大が同社の成長を強力に後押ししています。

半導体・ソフトウェアの急落

AMD、17%急落の衝撃

この日の相場で最も大きな下落を見せたのがAMDでした。株価は17%急落し、2017年5月以来最悪の一日となりました。

注目すべきは、この急落が「悪い決算」によるものではなかったことです。2025年第4四半期の実績自体は好調でした。売上高は102.7億ドルとなり、市場予想の96.7億ドルを上回りました。EPSも1.53ドルで、予想の1.32ドルを超過しています。

問題は2026年第1四半期の見通しにありました。AMDは第1四半期の売上高を98億ドル(プラスマイナス3億ドル)と予想しました。これは市場予想の93.8億ドルを上回る水準でしたが、一部のアナリストはAI関連需要の急増を背景に、さらに高い数字を期待していました。

リサ・スーCEOは「AIは私が想像していた以上のペースで加速している」と述べ、需要は引き続き堅調だと強調しました。しかし、投資家の期待値が既に高すぎた状況では、「期待を超える」ことができなかった点が売り材料となりました。

ソフトウェア株への売り圧力継続

ソフトウェアセクターでも売りが続きました。iShares Software ETF(ソフトウェアETF)は5%下落し、ServiceNowとSalesforceはそれぞれ約7%下落しました。

この下落の背景には、Anthropic社のAIツール発表をきっかけとした「SaaSの死」懸念があります。AIがソフトウェアサービスを代替するリスクへの警戒感が、セクター全体の重しとなっています。

Palantirも13%下落

AI関連銘柄として注目されてきたPalantir(パランティア)も13%下落しました。前日の急騰を打ち消す形となり、AI関連株への投資家心理の不安定さを示しています。

ディフェンシブ銘柄が選好される理由

景気敏感株からの資金シフト

今回の相場動向は、投資家のリスク選好度の変化を反映しています。テクノロジー株のバリュエーション(株価評価)が高止まりする中、AIラリーが天井に達したのではないかとの懸念が広がっています。

こうした環境では、業績の安定性が高いディフェンシブ銘柄が相対的に魅力を増します。医薬品、生活必需品、公益事業といったセクターは、景気変動の影響を受けにくく、安定したキャッシュフローが期待できるからです。

高配当利回りの魅力

不透明な市場環境が続く中、高配当資産への需要も高まっています。医薬品大手は一般的に安定した配当を支払っており、インカム(配当収入)を重視する投資家にとって魅力的な選択肢となっています。

今後の注目ポイント

AI関連の期待値調整

AMD株の急落は、AI関連株に対する市場の期待値が非常に高いことを示しています。実績が良くても見通しが期待を下回れば売られるという状況は、今後も続く可能性があります。

投資家は、AI関連企業の決算発表において「過去の実績」だけでなく「将来の見通し」がどれだけ市場予想を上回るかに注目する必要があります。

製薬セクターの動向

イーライリリーの好業績は、肥満治療薬市場の拡大という構造的なトレンドを反映しています。一方で、競合のノボ・ノルディスクは米国での価格下落により業績悪化を警告しており、同セクター内でも勝ち組と負け組の差が広がっています。

セクターローテーションの継続

テクノロジーからディフェンシブへの資金シフトが一時的なものか、より長期的なトレンドの始まりかを見極めることが重要です。金利動向、企業業績、AI技術の実用化進展などが、今後のセクター選好に影響を与えるでしょう。

まとめ

2026年2月4日の米国株式市場は、ダウ反発とナスダック下落という「まだら模様」の一日となりました。医薬品セクターは好決算を背景に上昇し、特にAmgenとイーライリリーが市場をけん引しました。

一方、AMDは好決算にもかかわらず見通しが期待に届かず17%急落し、半導体・ソフトウェアセクターの厳しい投資環境を浮き彫りにしました。AI関連株に対する市場の期待値が極めて高い現状では、「良い」だけでは不十分で、「期待を超える」ことが求められています。

投資家にとっては、セクター間の明暗を見極めながら、ポートフォリオのリバランスを検討する時期といえるでしょう。

参考資料:

関連記事

最新ニュース