レアアース関連株が急騰、中国の対日輸出規制で物色加速
はじめに
2026年1月に入り、レアアース(希土類)関連株が株式市場で注目を集めています。中国政府が軍民両用(デュアルユース)品目の対日輸出規制を強化したことを受け、国内での採掘や代替技術開発への期待が高まり、関連銘柄への買いが加速しています。
本記事では、レアアース関連株上昇の背景と、注目される企業について解説します。
中国の輸出規制強化
軍民両用品目の対日規制
2026年1月6日、中国商務部は軍民両用品目の対日輸出禁止措置を公表しました。レアアース関連製品も対象に含まれる可能性があり、自動車、電子部品、工作機械など幅広い産業に影響が及ぶ懸念が広がっています。
中国は世界のレアアース供給の約7割を占めており、日本はレアアースの多くを中国からの輸入に依存しています。輸出規制が本格化すれば、日本の製造業にとって深刻な影響が生じる可能性があります。
経済への影響試算
野村総合研究所の試算によると、レアアース輸出規制が3か月続いた場合、生産減少額・損失額は約6600億円、年間GDPを0.11%押し下げると見込まれています。規制が1年間続けば、損失額は約2.6兆円、GDPの押し下げ効果は0.43%に達する計算です。
関連株が軒並み上昇
1月7日の動き
1月7日の東京株式市場では、中国の輸出規制報道を受けて、レアアース関連株が軒並み上昇しました。
- 東洋エンジニアリング: 一時前日比20%高の4285円(2006年2月以来の高値)
- 古河機械金属: 7.9%高の4395円
- 三井海洋開発: 一時7.4%上昇
- 大平洋金属: 4.2%上昇
- 東亜建設工業: 4.8%上昇
中国依存の緩和に向け、国内での採掘が加速するとの思惑が株価を押し上げました。
1月13日もストップ高銘柄
1月13日も東洋エンジニアリングがストップ高水準まで買われるなど、レアアース関連銘柄への物色は続いています。日経平均株価が史上最高値を更新する中、テーマ株としての注目度が高まっています。
国内採掘への期待
南鳥島沖の試験掘削
2026年1月、海洋研究開発機構(JAMSTEC)は日本最東端の南鳥島沖で、水深6000メートルの海底に眠るレアアースの試験掘削を開始しました。成功すれば世界初の快挙となり、日本が「資源大国」へ転換する可能性を秘めています。
南鳥島周辺の海底には、世界需要の数百年分に相当するレアアースが存在するとされています。商業化にはまだ課題がありますが、国産レアアースへの期待が関連銘柄の株価を支えています。
政府の支援
高市早苗政権は総合経済対策の重点施策として「マテリアル(重要鉱物・部素材)」を17の戦略分野に含めており、レアアースの確保・開発を国策として推進する方針です。政府支援への期待も、関連株の買い材料となっています。
注目のレアアース関連銘柄
リサイクル技術を持つ企業
DOWAホールディングス(5714) 非鉄精錬大手で、使用済み家電や電子部品からのレアアースリサイクル技術を持っています。1970年代から資源リサイクルに取り組んでおり、都市鉱山からの資源回収で強みを持ちます。
アサカ理研 独自のエッチング技術を用いて電子スクラップからレアメタルを回収する技術を持ちます。光学レンズ廃材からのレアアース回収にも成功しています。
代替技術・脱レアアース技術
大同特殊鋼 SmFeN(サマリウム・鉄・窒素)磁石を開発。従来のネオジム磁石より優れた耐熱性と耐酸化性を持ち、高効率モーターへの応用が期待されています。
ニデック EV駆動モーター「E-Axle」で、重希土類(ジスプロシウム、テルビウム)を一切使わないモーターを開発・量産しています。独自の冷却技術で同等性能を実現しました。
ミツバ レアアース磁石を使わない「SRモーター(スイッチドリラクタンスモーター)」の研究で世界をリードしています。磁石不要の構造で地政学リスクを回避できます。
第一稀元素化学工業 レアアースの一種「イットリウム」を使わない「カルシア安定化ジルコニア材料」を開発。安定供給が可能なカルシウムを用いており、代替需要として期待されています。
資源開発・商社
双日(2768) JOGMECと共同で豪ライナス社に出資し、レアアースの権益を確保しています。ジスプロシウム、テルビウムは国内需要の3割程度に相当する生産が見込まれます。
住友商事(8053) 米MPマテリアルズと日本における独占販売代理店契約を締結。中国以外からのレアアース調達ルートを確保しています。
豊田通商 廃触媒や使用済み自動車からのレアアースリサイクル事業を展開しています。
2010年の教訓
レアアース・ショック
2010年、尖閣諸島問題をきっかけに中国がレアアースの対日輸出を事実上停止し、「レアアース・ショック」と呼ばれる混乱が発生しました。この経験から、日本企業はサプライチェーンの見直しや代替材料での製品開発を進めてきました。
備えの成果
当時の教訓を踏まえ、日本のレアアース使用量削減技術は世界をリードしています。リサイクル技術、代替材料、レアアースフリー製品の開発が進んでおり、2026年の規制強化でもある程度の耐性があると見られています。
投資上の注意点
短期的な値動きに注意
レアアース関連銘柄は、地政学リスクや資源価格の変動により株価が大きく動く傾向があります。規制の緩和や撤回があれば、急落するリスクも念頭に置く必要があります。
長期的な視点
一方、「脱中国依存」は国際的な潮流であり、レアアースの安定供給確保は長期的なテーマです。代替技術やリサイクル技術を持つ企業は、短期の株価変動に関わらず競争力を維持できる可能性があります。
まとめ
中国の対日レアアース輸出規制強化を受け、関連株が軒並み上昇しています。国内採掘への期待、代替技術開発の進展、政府の支援策など、複数の買い材料が重なっています。
2010年のレアアース・ショック以降、日本企業は備えを進めてきました。リサイクル技術や脱レアアース技術を持つ企業への注目が高まる中、「安定供給 × 技術革新 × 脱中国依存」をテーマとした物色が続いています。
参考資料:
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