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by nicoxz

トランプ「ドンロー主義」で世界秩序が激変する理由

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はじめに

2026年1月、世界は衝撃に包まれました。トランプ米大統領率いるアメリカ軍がベネズエラを攻撃し、マドゥロ大統領を拘束。さらにデンマーク領グリーンランドの領有を公言し、軍事力行使も排除しない姿勢を示しています。

戦後80年にわたって築き上げられてきた国際秩序が、いま根底から揺らいでいます。トランプ大統領は自らの外交方針を「ドンロー主義」と呼び、19世紀のモンロー主義を「はるかに超えた」と豪語しています。

この記事では、トランプ政権の帝国主義的外交政策の全貌を解説し、日本を含む世界各国への影響を分析します。

「ドンロー主義」とは何か

モンロー主義からの進化

モンロー主義は1823年、第5代米大統領ジェームズ・モンローが提唱した外交方針です。南北アメリカ大陸へのヨーロッパ諸国の介入を拒否し、「西半球は米国の勢力圏」という考え方を打ち出しました。

トランプ大統領は2026年1月3日の記者会見で「われわれはモンロー主義をはるかに超えた。今はドンロー主義と呼ばれるくらいだ」と発言しました。これは自身の名前「ドナルド」とモンロー主義を掛け合わせた造語です。

21世紀版モンロー主義の内容

2025年12月に公表された「国家安全保障戦略」では、「21世紀版モンロー主義」が明確に打ち出されました。その特徴は以下の4点です。

第1に、中国・ロシア・イランによる西半球での港湾・エネルギー・通信インフラ支配の阻止。第2に、南米での資源確保を通じたエネルギー安全保障の強化。第3に、国境管理を最優先課題とする移民流入阻止。第4に、麻薬組織をテロ組織と見なし軍事行動を正当化する論理の構築です。

従来の「グローバル覇権」から「地域覇権」へと戦略の重点がシフトしています。

ベネズエラ攻撃の衝撃

「絶対的決意」作戦の全貌

2026年1月2日深夜から翌3日未明にかけて、アメリカ軍はベネズエラの首都カラカスを含む複数地点を爆撃しました。作戦名は「絶対的決意(Operation Absolute Resolve)」。F-22、F-35、B-1爆撃機など150機以上の航空機が投入されました。

特殊部隊デルタフォースがマドゥロ大統領と妻のシリア・フローレスを拘束。ニューヨークタイムズによると、民間人を含む少なくとも80人が死亡しました。また、キューバ政府は32人のキューバ人軍事・情報関係者が死亡したと発表しています。

半年に及ぶ準備

この作戦は数カ月前から周到に準備されていました。2025年8月、CIAはベネズエラ国内に小規模チームを密かに配置し、マドゥロ大統領の行動パターン、所在、移動を追跡していました。

米軍はマドゥロ大統領の邸宅の模型を使って訓練を重ね、鋼鉄製のセーフルームに逃げ込まれた場合に備えて爆破装置やバーナーも準備していたとされています。

国際法違反との批判

1月5日、国連安全保障理事会は緊急会合を開催。グテレス国連事務総長は「国際法の規則が尊重されなかった」と懸念を表明しました。

米国は「ベネズエラに対して戦争は行っていない」「麻薬組織とテロ対策の延長」と主張していますが、一方的な軍事介入は国際法違反との批判が国際社会から相次いでいます。

グリーンランド領有問題

なぜグリーンランドなのか

デンマークの自治領グリーンランドは、トランプ大統領にとって戦略的に極めて重要な地域です。

第1に、軍事的価値があります。北西部のピツフィク空軍基地には米軍が常駐し、弾道ミサイルの早期警戒システムも設置されています。第2に、資源面の魅力です。バッテリーやハイテク機器製造に不可欠なレアアースの埋蔵量が世界有数で、石油・天然ガスも豊富です。

軍事力行使も排除せず

トランプ大統領は2026年1月9日、「穏便な方法が望ましいが、無理なら強硬な方法を取らざるを得ない」と発言。ホワイトハウスはグリーンランド獲得のための軍事力行使を排除しないと明言しました。

これはNATO同盟国であるデンマークに対する脅迫に等しく、戦後の国際秩序を根底から揺るがす発言です。

欧州8カ国への関税制裁

1月17日、トランプ大統領はグリーンランド領有に反対して部隊を派遣した欧州8カ国に対し、2月1日から10%、6月から25%の関税を課すとSNSで表明しました。対象はデンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、イギリス、オランダ、フィンランドです。

デンマークのフレデリクセン首相は「米国には、デンマーク王国を構成する3カ国のいずれをも併合する権利はない」と強く反発。グリーンランドのエゲデ首相も「グリーンランドは私たちのもの。売り物ではなく、決して売り物になることはない」と明言しています。

戦後国際秩序の崩壊

ルールに基づく秩序の終焉

戦後80年間、国際社会は「力による一方的な現状変更を許さない」という原則を共有してきました。日本を含む先進諸国は、ロシアや中国に対してこのメッセージを発信し続けてきました。

しかし今、その原則を最も声高に主張してきた米国自身が、軍事力と経済的威圧を通じて領土獲得を目指しています。ドイツのシュタインマイヤー大統領は「私たちの最も重要な同盟国であり、この世界秩序の構築に貢献してきた米国の価値観が崩壊している」と批判しています。

同盟国の信頼低下

ドイツの公共放送ARDの調査によると、米国はドイツにとって「頼れるパートナーではない」との回答が76%に達し、「信頼できる」はわずか15%にとどまりました。これは調査開始以来の最低水準です。

歴史家ハル・ブランズは「最も一貫したトランプの特徴は、米国が世界的にパワーを過小使用してきたという信念だ」と分析しています。

「強盗の巣窟」への懸念

シュタインマイヤー大統領は「最も不道徳な者たちが欲しいものを何でも奪い取り、地域や国家全体が少数の大国の領土のように扱われる世界が、強盗の巣窟と化すのを防ぐことが必要だ」と警鐘を鳴らしています。

トランプ政権の外交は「帝国主義的・拡張主義的」と形容され、19世紀の帝国主義時代への回帰との見方が強まっています。

日本への影響と注意点

防衛費負担増加の要求

トランプ政権の国家安全保障戦略では、西半球に注力する一方で、同盟国には防衛費負担増加を求める方針が明記されています。日本と韓国に対する負担増加要求は、今後さらに強まる可能性があります。

対米不信の深化

国際秩序を支えてきた米国が自らそのルールを破壊する事態は、日本の安全保障戦略にも根本的な見直しを迫ります。「力による現状変更を許さない」というメッセージの説得力が失われる中、日本はいかにして地域の安定を維持するのか、新たな課題が突きつけられています。

経済的影響

関税を梃子にした「ディール外交」は、日本企業にも波及する恐れがあります。米国内投資や米国産品購入の圧力が強まる可能性に備える必要があります。

まとめ

トランプ政権の「ドンロー主義」は、戦後80年の国際秩序を根本から書き換えようとしています。ベネズエラへの軍事介入、グリーンランド領有要求、同盟国への関税制裁など、一連の動きは「力による支配」という古い世界観の復活を示唆しています。

日本を含む国際社会は、この新たな現実にどう向き合うのか、難しい選択を迫られています。米国という「最も重要な同盟国」との関係を維持しながら、いかにして国際秩序の原則を守り抜くか。2026年は、まさに時代の転換点となりそうです。

参考資料:

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