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by nicoxz

米イラン核協議が26日ジュネーブで開催、合意なるか

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はじめに

オマーンのバドル外相は2月22日、核問題をめぐる米国とイランの協議が2月26日にスイス・ジュネーブで開催されると発表しました。2月6日のマスカット、2月17日のジュネーブに続く第3ラウンドとなります。

今回の協議が注目される理由は、トランプ大統領が2月19日に「10〜15日以内に合意しなければ非常に悪いことが起きる」と最後通牒を発したことにあります。逆算すれば3月初旬がデッドラインとなり、26日の協議は事実上のタイムリミット直前の重要な局面です。

これまでの交渉経緯

第1ラウンド(2月6日・マスカット)

2025年6月の米・イスラエルによるイラン核施設攻撃以来、初の米イラン間協議が実現しました。オマーンのバドル外相がイラン代表団と米国代表団の間をシャトルする間接協議形式で行われました。

米国側はウィトコフ特使とクシュナー上級顧問が出席し、CENTCOM司令官のクーパー海軍大将も同席しました。議題は核問題に限定することで双方が合意し、イランのアラグチ外相は「良いスタートだった」と評価しています。

第2ラウンド(2月17日・ジュネーブ)

ジュネーブのオマーン大使館で行われた第2ラウンドでは、より具体的な進展がありました。アラグチ外相は「指導原則で大筋合意に達した」と発表し、2週間以内に詳細な合意案を準備すると約束しました。

ただしバンス副大統領は「イランは米国のレッドラインをまだ認めていない」と不満を表明し、軍事オプションが依然テーブルにあることを示唆しています。米政権内にもタカ派とハト派の温度差がみられます。

第3ラウンド(2月26日予定)の焦点

イラン側が作成した合意案草案をもとに、具体的な合意文書の交渉に入る見通しです。アラグチ外相は2月22日のCBSインタビューで「両者の懸念と利益を反映する要素を含む草案を準備中」と述べています。

最大の争点:ウラン濃縮の扱い

米国の要求

米国の公式立場は「ゼロ濃縮」、つまりイラン国内でのウラン濃縮活動の完全停止です。しかしウィトコフ・クシュナー両特使は、極めて限定的で核兵器への道を完全に遮断できる「トークン濃縮」であれば検討する余地があるとイラン側に伝えたとされます。

具体的には、60%濃縮ウランの備蓄放棄と、核兵器製造能力を持たないことの保証を求めています。

イランの立場

イランは濃縮をNPT加盟国としての「主権に基づく権利」と位置づけ、放棄を拒否しています。アラグチ外相は「濃縮は今やイラン国民の誇りと尊厳の問題」と明言しました。

一方で、核兵器を製造しないことを検証する仕組みには応じる用意を示しています。ペゼシュキアン大統領も「核兵器を追求していないことの検証」には前向きですが、見返りとして経済制裁の全面解除を要求しています。

イランの核開発の現状

兵器級に迫る濃縮レベル

イランの核開発は深刻な水準に達しています。現在の濃縮度は60%で、2015年のJCPOA(イラン核合意)で許容された3.67%を大幅に超過しています。兵器級は90%であり、60%からの追加濃縮は技術的に容易です。

60%濃縮ウランの備蓄量は約408.6kg(2025年5月時点のIAEA報告)に達しており、90%まで追加濃縮すれば核兵器9発分の核物質があるとIAEAは評価しています。ウィトコフ特使は「イランは爆弾に十分な濃縮ウランを得るまであと1週間」と警告しました。

2025年6月の軍事攻撃の影響

2025年6月、米国はイランの核施設(フォルドウ、ナタンズ、イスファハン)をB-2爆撃機によるバンカーバスター爆弾で攻撃しました(Operation Midnight Hammer)。施設に大きな損害を与えましたが、DIA(国防情報局)の機密報告では「数か月の遅延」にとどまるとの評価もあり、濃縮ウランの備蓄は破壊されていません。

オマーンが果たす仲介の役割

なぜオマーンなのか

オマーンが米イラン交渉の仲介役を務めるのは歴史的な経緯があります。2013年にマスカットで米イラン秘密協議を開催し、2015年のJCPOA締結への道筋を作った実績があります。2023年には60億ドルの囚人交換も仲介しました。

アラブ君主国でありながら西側との深い関係を維持し、同時にイランからも強い信頼を得ているという稀有な立場にあります。バドル外相はオックスフォード大学PPE修士号を持つ熟練外交官です。

間接協議の仕組み

今回の協議は「間接協議」形式で行われています。米イラン双方は別々の部屋に滞在し、バドル外相が両者の間を行き来するシャトル外交です。協議の場所はオマーン大使館が使用されています。

今後の展望と注意点

迫るデッドライン

トランプ大統領の「10〜15日」という期限を逆算すると、3月初旬が事実上のデッドラインです。IAEA理事会も3月2日から5日間の会合を予定しており、タイミングが重なります。

米軍は空母2隻を中東に接近させており、軍事的圧力を維持しています。トランプ大統領は2月20日に「限定的な攻撃」の可能性にも言及しました。

合意のハードルは高い

米国が求める「ゼロ濃縮」とイランが主張する「濃縮の権利」の間には大きな隔たりがあります。「トークン濃縮」という妥協案が落としどころとなる可能性はありますが、具体的な条件で合意に至るかは不透明です。

イラン国内でも最高指導者ハメネイ師の意向が最終的な決定を左右するため、アラグチ外相の交渉権限には限界があるとみられています。

まとめ

2月26日のジュネーブ協議は、米イラン核問題の将来を左右する重要な局面です。トランプの最後通牒、イランの合意案草案、そしてオマーンの仲介力が試されます。

軍事的エスカレーションを回避しつつ、イランの核開発を実質的に制限する合意に至れるかどうかは、中東全体の安定に直結する問題です。

参考資料:

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