AIデータセンター、50万人分の水がぶ飲み 米国で建設急増が招く枯渇
AIデータセンター、50万人分の水がぶ飲み
米国で建設急増が招く水資源の枯渇リスクと地域社会への影響
米国を中心に人工知能(AI)関連のデータセンター建設が急ピッチで進む中、こうした巨大施設が大量の水を消費し、地域の水資源に深刻な負担をかけているとの懸念が高まっている。特に乾燥地帯や水資源がもともと逼迫している地域では、データセンターの稼働によって年間で数十万〜数百万単位の人々の水消費量と同等の規模が「消費」される可能性が指摘されている。
💧 大量の水が必要な理由
AIデータセンターが大量の水を消費する主な理由は、サーバーや演算ユニットが発する熱を冷却するためだ。高度なAI処理では膨大な計算エネルギーが必要となり、その熱を適切に保つために蒸発冷却や冷却塔での水利用が必須となる。
データセンター1か所で**1日数百万ガロン(約380万リットル)**の水を消費する例もあり、これは10,000〜50,000人規模の町が1日に使用する水と同等だとされる。
🌵 乾燥地域での建設ラッシュと地域の反発
米国南西部(アリゾナ州、テキサス州など)では、乾燥し水資源が限られた地域へのデータセンター誘致が進むが、多くが「水ストレスが高い地域」に位置している。Business Insiderの調査では、全米データセンターの約4割がそうした地域に建設されているという。
農業用水や生活用水との競合が生じ、取水配分を巡る自治体や州レベルの調整が必要になるケースもある。中には水位低下が進む湖沼や地下水の利用を巡って、法廷闘争に発展する事例も出ている。
📊 50万人分どころではない現実
AI関連データセンターの累積的な水需要は年々膨れ上がり、2030年までに数十億立方メートル規模に達する可能性もある。この量は、米国で数百万人分の年間家庭用水使用量に相当するとの試算もある。
水資源の逼迫した地域ほど影響は深刻で、特に気候変動に伴う干ばつの長期化と重なれば、地域社会の持続可能性そのものが脅かされるリスクがある。
🏢 企業の対応と批判
GoogleやMicrosoft、Amazonなどのクラウド大手は、水使用効率の改善や再利用冷却技術の導入を進めている。ただし、こうした努力にも限界があり、根本的な大量消費構造は変わっていない。
さらに水使用量に関する情報公開が不十分で、透明性の欠如が批判されている。いくつかの州では、データセンターの環境影響評価に水使用報告の義務化を盛り込む法案も検討されている。
🌎 環境・社会への波及と政策的な選択肢
AIデータセンターの水消費は、単なるインフラ問題を超え、地域社会と自然資源の共存を問う課題となっている。専門家は、立地選択における水資源評価の義務化、水利用技術の標準化、寒冷地への誘致などの対策を提言している。
一方、自治体レベルでは水の「持続可能性」を基準とした開発許可制度の見直しも始まりつつある。
🔍 まとめ:AIインフラと水の未来
AIデータセンターの建設ラッシュは、米国の技術産業を牽引する一方で、生活用水や農業との競合という社会的コストを増大させている。灌漑・電力・冷却という三重の水消費構造をどう持続可能な形に転換できるかが、次世代インフラ設計の焦点となる。
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