Research

Research

by nicoxz

アルファベット30%増益、AI投資を倍増へ

by nicoxz
URLをコピーしました

はじめに

米グーグルの持ち株会社アルファベットが2025年10〜12月期の決算を発表し、売上高は前年同期比18%増の1,138億ドル(約17兆9,000億円)、純利益は30%増の344億ドルに達しました。11四半期連続の増収増益で、年間売上高は初めて4,000億ドルを突破しています。

好調の原動力はAI(人工知能)です。クラウド事業の急成長やAIを活用した広告事業の伸びが全体を牽引しました。一方で、2026年の設備投資を最大1,850億ドル(約29兆円)と前年のほぼ2倍に引き上げる計画を発表し、巨額のAI投資に対する市場の懸念も浮上しています。

クラウドとAIが牽引する好決算

クラウド事業が48%増収の急成長

今回の決算で最も目覚ましい成長を見せたのがGoogle Cloud事業です。10〜12月期の売上高は前年同期比47.8%増の176億6,400万ドルに達し、2021年4〜6月期以来の高い伸び率を記録しました。

さらに注目すべきは収益性の改善です。クラウド事業の営業利益は前年同期の2.5倍となる53億1,300万ドルとなり、初めて50億ドルの大台を突破しました。受注残高も前年同期比で2倍以上に増加し、四半期末時点で2,400億ドルに達しています。

この成長の背景には、企業のAI導入需要の急拡大があります。Google Cloudは独自のAIモデル「Gemini」を組み込んだクラウドサービスを展開しており、生成AIの企業利用が本格化する中で顧客基盤を急速に拡大しています。

広告事業も堅調に推移

アルファベットの収益の柱である広告事業も好調です。10〜12月期の広告収入は前年同期比13.6%増の822億8,400万ドルで、前四半期の12.6%増から成長が加速しました。

Google検索の広告収入は635億ドルと14%増加しました。AIを活用した検索体験「AI Mode」では、従来の検索と比べてクエリの長さが平均3倍となり、追加の質問にもつながりやすいという特徴があります。これにより、ユーザーのエンゲージメントが向上し、広告収入の拡大に寄与しています。

YouTubeの広告収入も堅調で、広告とサブスクリプションを合わせた年間売上は600億ドルを超えました。

Geminiが7億5,000万ユーザーに到達

アルファベットのAI戦略の要であるGeminiアプリは、月間アクティブユーザー数が7億5,000万人を突破しました。前四半期の6億5,000万人から15%増加しており、OpenAIのChatGPTとの競争が激化する中でも着実にユーザーを獲得しています。

サンダー・ピチャイCEOは、2025年を通じてGeminiの提供コスト(サービングユニットコスト)を78%削減できたと明らかにしました。モデルの最適化、効率性の向上、利用率の改善によるもので、AIサービスの収益性改善に大きく貢献しています。

巨額AI投資と市場の反応

2026年設備投資は最大1,850億ドル

決算と同時に発表された2026年の設備投資計画が、市場に大きなインパクトを与えました。アルファベットは2026年の設備投資額を1,750億〜1,850億ドルと見通しており、中間値の1,800億ドルは前年比で約2倍に相当します。

この金額は、ウォール街の事前予想である約1,195億ドルを大幅に上回りました。投資の大部分はAIインフラの構築に充てられ、データセンターの建設やAI専用チップの調達が中心になります。

株価は一時下落

この巨額投資計画を受け、アルファベットの株価は時間外取引で一時3%下落しました。好決算にもかかわらず、予想を大幅に上回る設備投資額が投資家の懸念材料となった形です。

CNBCは「アルファベットの設備投資計画が投資家を動揺させた」と報じ、AIインフラへの過剰投資リスクが意識されました。翌日の通常取引では下落幅を縮小し、ほぼ横ばいで終えましたが、巨額のAI投資に対するリターンの不透明感は残っています。

アナリストは概ね強気を維持

一方で、多くのアナリストは強気の見方を維持しています。バークレイズのアナリストは、クラウド事業の成長やDeepMindのモデル開発の進捗を評価し、「設備投資の倍増を正当化し始めている」と指摘しました。

クラウド事業の受注残高が2,400億ドルまで積み上がっていることは、将来の収益が見通せる材料です。巨額投資が顧客需要に裏付けられたものである限り、長期的な成長につながるとの見方が主流です。

注意点・今後の展望

AI投資競争の行方

アルファベットの設備投資倍増計画は、テック大手間のAI投資競争がさらに激化していることを示しています。マイクロソフト、アマゾン、メタも同様にAIインフラへの投資を加速しており、業界全体の設備投資額は過去に例のない水準に達しています。

問題は、この巨額投資に見合うリターンが得られるかどうかです。AI需要の伸びが鈍化した場合、過剰な設備投資が収益を圧迫するリスクがあります。とはいえ、クラウド事業の受注残高や、Geminiのユーザー拡大を見る限り、現時点では需要が供給を上回っている状況です。

検索事業の変革に注視

長期的に注目すべきは、AIが検索事業そのものを変革しつつある点です。AI Modeの導入により検索体験が大きく変わりつつある中、広告モデルへの影響は今後も注視が必要です。現時点ではAI検索が広告収入の増加に寄与していますが、ユーザー行動の変化が広告単価にどう影響するかは未知数です。

まとめ

アルファベットの2025年10〜12月期決算は、クラウド事業の48%増収やGeminiの7億5,000万ユーザー到達など、AI戦略が着実に成果を上げていることを示しました。年間売上高4,000億ドル超えという節目も達成し、11四半期連続の増収増益を記録しています。

一方で、2026年の設備投資を最大1,850億ドルと前年のほぼ2倍に引き上げる計画は、AI投資競争の激しさと、そのリターンへの不確実性を浮き彫りにしました。クラウド事業の堅調な受注残高がこの投資を支える材料となっていますが、今後の需要動向に引き続き注目が集まります。

参考資料:

関連記事

最新ニュース