共通テスト2026終了、AIやガザ紛争が出題され難化傾向
はじめに
2026年1月18日、大学入学共通テストの全日程が終了しました。今回は新学習指導要領に対応した2年目の試験となり、約49万6千人の受験生が挑みました。
注目すべきは、人工知能(AI)やガザ紛争、貿易政策の対立など、現代社会の重要テーマが積極的に出題されたことです。大手予備校の分析では、国語や数学、情報などの科目で難化傾向が見られたとされています。
本記事では、2026年度共通テストの出題傾向や難易度分析、そして今後の大学入試に向けた示唆について詳しく解説します。
2026年度共通テストの概要と実施状況
志願者数と試験日程
大学入試センターによると、2026年度の志願者数は49万6237人で、前回より1066人増加しました。特に注目されるのは、2年前の卒業生(いわゆる浪人2年目)が1万2516人と前回の1.4倍に増えた点です。
試験は1月17日と18日の2日間にわたって実施されました。1日目は地理歴史・公民、国語、外国語、2日目は理科、数学、情報の試験が行われ、共通テストの結果は国公私立大など計813校が入試に利用します。
オンライン出願の初導入
今回から出願手続きが全面的にオンライン化されました。受験生は「共通テスト出願サイト」で自らアカウントを登録し、受験票も各自が印刷して持参する形式に変更されています。
この変更は、手続きの効率化と受験生の利便性向上を目的としていますが、デジタル環境への対応が必要となった点で、受験生にとっては新たな準備項目が加わったことになります。
時事的テーマの積極的な出題
AIとブレーン・マシン・インターフェース
2026年度の共通テストでは、人工知能(AI)に関連する出題が目立ちました。特に「ブレーン・マシン・インターフェース」(BMI)という先端技術が題材として登場したことが話題となっています。
BMIとは、脳と機械を直接接続する技術のことで、人間の思考や意図にもとづいてコンピュータや機器を操作することを可能にする次世代技術です。医療分野での応用が期待される一方、倫理的な課題も議論されており、まさに現代社会を象徴するテーマといえます。
ガザ紛争と国際問題
「公共、政治・経済」の科目では、国際協調に関する問題が出題され、中東のガザ紛争を想起させる内容が含まれていました。また、「トランプ関税」を彷彿とさせる貿易政策の対立についても出題されたとされています。
これらの出題は、受験生に対して単なる知識の暗記だけでなく、現実の国際情勢を理解し、複眼的な視点で考える力を求めていることを示しています。
出題意図の背景
新学習指導要領では「思考力・判断力・表現力等を発揮して解くことが求められる問題を重視する」という方針が示されています。時事的テーマの積極的な出題は、この方針を具体化したものと考えられます。
受験生には、教科書の内容だけでなく、日頃からニュースや社会問題に関心を持ち、自分なりの考えを持つことが求められるようになっています。
科目別の難易度分析
国語:読解量と思考力の両立が求められる
国語は難化したと分析されています。新課程では配点が変更され、現代文が100点から110点に増加、古典(古文・漢文)が100点から90点に減少しました。
現代文の比重が増したことで、文章の読解力と論理的思考力がより重要になっています。限られた時間内で複数の文章を正確に読み取り、設問に的確に答える力が試されました。
数学:データ分析の応用力を重視
数学Ⅰ・Aでは、第4問の「データの分析」において、2つのデータを組み合わせたときの相関係数を考察する問題が出題されました。データが具体的に与えられていないため、抽象的な思考が必要となり、解きづらいと感じた受験生も多かったようです。
東進の分析によると、全体の分量は昨年度より減少したものの、ヒントの考察に時間を要するため、やや難化したとのことです。新課程で追加された「外れ値」「仮説検定の考え方」「期待値」についてはすべて出題されており、今後も重点的な対策が必要とされています。
情報Ⅰ:専門性が本格化
2025年度に新設された「情報Ⅰ」は、2年目となる今回、やや難化しました。「時間が全く足りない」という受験生の声も聞かれ、処理スピードと応用力が問われる内容となりました。
具体的には、ビット演算による画像の透過・重ね合わせ処理をテーマとした出題があり、プログラミングやデータ分析など専門的な内容が本格化しています。初年度の平均69.26点という高得点が続くとは考えにくく、より実践的な対策が求められます。
英語:構成変更への対応
英語リーディングでは、大問数や総語数に変更がありました。2025年度は総語数が約5,700語と前年より減少しましたが、設問の質は維持されており、効率的な読解力が求められています。
予想平均点と今後のスケジュール
予備校各社の予想平均点
データネット(駿台・ベネッセ)の速報では、文系6教科が585点(1000点満点)、理系6教科が600点(1000点満点)と予想されています。河合塾は文系592点、理系608点、東進は文系609点、理系606点と発表しており、若干の差異があります。
全体として、2025年度と比較してやや平均点が下がる見込みで、難化傾向が数値にも表れています。
公式発表のスケジュール
大学入試センターは1月21日に平均点を中間発表し、得点調整の有無を23日に示す予定です。追試験は1月24日・25日に東京農工大や京都市立芸術大などの5会場で実施されます。
受験生は自己採点をもとに出願戦略を立てることになりますが、得点調整の可能性も考慮に入れる必要があります。
新課程2年目の傾向と今後の展望
難化は予想通りの流れ
過去の傾向を振り返ると、大学入試の制度変更があった翌年(2年目)は難化する傾向があります。2025年度は新課程初年度ということもあり、受験生への配慮から比較的易しめの出題でしたが、2026年度は本来の難易度に戻りつつあるといえます。
特に「情報Ⅰ」については、初年度の高い平均点が続くとは考えにくく、今後もさらに専門的な内容が出題される可能性があります。
求められる学力の変化
新課程の共通テストでは、知識を暗記しているだけでは太刀打ちできません。初見の資料から必要な情報を抽出し、それを活用して答えを導き出す総合力が必要とされています。
また、時事問題への関心や、複数の視点から物事を考える力も重要になっています。日頃からニュースに触れ、「なぜそうなるのか」を考える習慣を身につけることが、これからの受験対策には欠かせません。
まとめ
2026年度の大学入学共通テストは、AIやガザ紛争など現代的なテーマが出題され、国語・数学・情報などで難化傾向が見られました。新課程2年目として、思考力・判断力・表現力を重視する出題方針がより明確になっています。
約49万6千人の受験生にとって、この結果が志望校選びの重要な指標となります。今後は1月21日の中間発表、23日の得点調整発表に注目しながら、二次試験に向けた準備を進めていくことになります。
参考資料:
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