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by nicoxz

消えゆくディーゼル車は本当に過去の存在なのか

by nicoxz
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はじめに

かつて欧州の乗用車市場で過半数を占めたディーゼル車が、急速に姿を消しつつあります。2012年に55%あった欧州でのディーゼル車シェアは、2026年1月時点でわずか8.1%にまで落ち込みました。ピーク時から73%以上の販売台数減少です。

しかし、「ディーゼルは過去の遺物」と断じてしまうのは早計かもしれません。マツダのCX-60に搭載された3.3L直列6気筒ディーゼルターボは、長距離走行で20km/Lを超える驚異的な燃費を記録しています。電動化の大波の中で、ディーゼル車の「いま」はどうなっているのでしょうか。本記事では、ディーゼル車の現状と将来の可能性について解説します。

欧州ディーゼル市場の急速な縮小

数字が示す衰退の加速

欧州におけるディーゼル車の販売減少は、予想を上回るスピードで進行しています。EUの2025年通年データでは、ディーゼル車の販売台数は前年比24.2%減の約96万台にまで縮小しました。市場シェアは8.9%で、10年前の半分以下の水準です。

2025年12月単月でも前年比22.4%減と、減少に歯止めがかかる気配はありません。代わりに台頭しているのがハイブリッド車で、2025年にはEU乗用車市場で初めて最大のカテゴリーとなりました。バッテリーEV(BEV)の販売も持ち直しており、ディーゼルの居場所はますます狭まっています。

衰退の3つの要因

ディーゼル車の急速な衰退には、主に3つの要因があります。

第一に、2015年のフォルクスワーゲンによる排ガス不正問題(ディーゼルゲート事件)です。この事件は「クリーンディーゼル」への信頼を根底から揺るがし、消費者心理に大きな傷を残しました。

第二に、各国・各都市の規制強化です。パリ、ロンドン、ブリュッセルなど欧州の主要都市がディーゼル車の乗り入れ制限を導入または計画しています。EUは2035年からガソリン・ディーゼル車の新車販売を禁止する方針を掲げており、メーカーは電動化への投資を加速せざるを得ない状況です。

第三に、中古車市場での資産価値の低下です。将来的な規制や都市部への乗り入れ制限への懸念から、ディーゼル車のリセールバリューが下がっています。ただし英国のAUTOCARによれば、新車のディーゼル車が減少したことで逆に中古ディーゼル車の需要が増加し、価格が10%上昇するという興味深い現象も起きています。

ディーゼル車の「今の実力」

マツダCX-60が示す燃費性能

ディーゼルエンジンの技術は、衰退のイメージとは裏腹に進化を続けています。マツダのCX-60に搭載されるSKYACTIV-D 3.3は、3.3L直列6気筒ディーゼルターボに48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせたパワートレインです。

最高出力231ps、最大トルク500Nmというスペックは力強い走りを実現しつつ、WLTCモード燃費は21.0km/L、高速道路モードでは22.4km/Lを達成しています。価格.comマガジンの1,300km試乗テストでは、実走行でも高速巡行時に20km/L超を記録しました。Motor-Fanの試乗レポートでは、高速道路6割・一般道3割・ワインディング1割の走行条件で19.1km/Lを達成しています。

車両重量が1,800kgを超える大型SUVでありながらリッター20km/L前後の燃費を出せるのは、ディーゼルエンジンならではの高い熱効率と低回転域での豊かなトルクの賜物です。

ガソリン車・EVとの比較

ディーゼル車の強みは、長距離走行における「航続距離」と「給油の手軽さ」にあります。CX-60のタンク容量は58Lで、燃費20km/Lで計算すると1回の給油で約1,100km以上走行できる計算になります。これはEVでは現状実現が難しい水準です。

燃料コストの面でも、軽油はレギュラーガソリンより1Lあたり10〜20円程度安いことが多く、長距離を走るほど経済的なメリットが大きくなります。高速道路での巡行時にアクセルオフでエンジンを停止するマイルドハイブリッド機構も、燃料節約に貢献しています。

日本におけるディーゼルの現在地

新車で買えるディーゼル車

日本国内では、マツダが最もディーゼルに積極的なメーカーです。CX-5、CX-60、MAZDA3、CX-30など複数の車種にSKYACTIV-Dエンジンを搭載しています。走りと燃費の両立を求めるユーザーからの支持は根強いものがあります。

トヨタもランドクルーザー250やハイラックスにディーゼルエンジンを設定しています。ただし、ランドクルーザー250については法規制対応のためディーゼルの販売を一時休止するとの情報もあり、トヨタの国内戦略においてディーゼルの優先度は低下している様子がうかがえます。

三菱自動車もデリカD:5にディーゼルエンジンを搭載してきましたが、電動化シフトの中で新規のディーゼル開発は縮小傾向です。全体として、日本で新車のディーゼル車を選べる選択肢は年々限られてきています。

エコカー減税と政策の影響

日本政府はエコカー減税からディーゼル車を対象外とする方針を進めており、政策面での後押しが弱まっています。一方で、ディーゼル車自体の販売禁止に関しては、日本政府は欧州ほど明確な期限を設けていません。2035年までに新車販売で電動車100%を目指す方針はあるものの、ここでいう「電動車」にはハイブリッドも含まれるため、ディーゼルハイブリッドの可能性は残されています。

注意点・今後の展望

ディーゼルが輝く用途は残る

ディーゼルエンジンが完全に消滅するかといえば、そうとも言い切れません。長距離輸送のトラックやバス、建設機械、農業機械など、大きなトルクと長い航続距離が求められる分野では、ディーゼルの優位性は依然として高いです。乗用車においても、長距離ドライブが多いユーザーや、寒冷地で暮らすユーザーにとっては合理的な選択肢です。

世界のディーゼルエンジン市場は2033年に3,100億ドル規模に成長するとの予測もあります。EVインフラが整っていない地域や、充電時間が許容できない用途では、ディーゼルが引き続き選ばれる可能性があります。

合成燃料という新たな可能性

マツダは植物由来の燃料を使ったディーゼルエンジンでレースに参戦しており、カーボンニュートラルな合成燃料(e-fuel)が実用化されれば、ディーゼルエンジンは「持続可能なエンジン」として再評価される道が開けるとしています。既存のインフラをそのまま活用できる合成燃料は、EVへの完全移行が難しい分野での現実的な解となり得ます。

ただし、合成燃料の量産化にはまだ時間がかかり、コスト面でも課題が残っています。EVの技術進歩と価格低下が進む中で、合成燃料がどこまで競争力を持てるかは不透明な部分もあります。

まとめ

欧州でシェアが55%から8%へと激減したディーゼル車は、たしかに「消えゆく存在」に見えます。しかし、マツダCX-60が長距離走行で20km/L超の燃費を叩き出すように、技術面ではむしろ円熟期を迎えています。

ディーゼル車が「過去の存在」かどうかは、使い方次第です。長距離走行が多い方、大きなトルクを必要とする方、充電インフラに不安がある地域にお住まいの方にとっては、今なお「魅力的な選択肢」といえるでしょう。新車で選べる車種が減り続けている今だからこそ、ディーゼル車の購入を検討するなら情報収集を急ぐことをおすすめします。

参考資料:

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