「ディズニー1日5万円」時代、α世代のレジャー格差と仮想空間への移行

by nicoxz

はじめに

家族4人でディズニーランドに行けば、入場料だけでなく、優先パス、食事、お土産……気づけば1日5万〜6万円。「夢の国」への訪問が、もはや「気軽なレジャー」とは言えなくなっています。

日本経済新聞の調査によると、α世代(4〜11歳)のディズニー来場者は10年で3割減少しました。1983年の開業当時3,900円だったチケット価格は、40年で最大約3倍の10,900円に。さらに待ち時間を短縮する優先パスや食事代を加えれば、1人あたりの出費は大幅に膨らみます。

本記事では、テーマパークの高額化が進む背景、α世代のレジャー格差、そして仮想空間への移行について解説します。

テーマパークの高額化

現在のチケット価格

東京ディズニーリゾートは現在、6段階の変動価格制を導入しています。1デーパスポート(大人)の料金は、7,900円・8,400円・8,900円・9,400円・9,900円・10,900円の6段階です。

混雑する土日祝日や長期休暇期間は最高価格の10,900円が適用され、平日の閑散期でも7,900円という水準です。2023年には初めて1万円の大台を突破しました。

1日5万円の内訳

家族4人でディズニーに行った場合の出費を試算すると:

  • チケット代(大人2名・子供2名):約35,000円
  • 優先パス(プレミアアクセス):約10,000円
  • 食事(昼食・軽食):約10,000円
  • お土産:約5,000円〜

合計すると、軽く5万円を超えることになります。さらに遠方からの場合は交通費や宿泊費も加わり、1回の訪問で10万円以上の出費になることも珍しくありません。

「量より質」への転換

帝国データバンクの分析によると、大規模レジャー施設では「客数=量」から「客単価=質」を求める傾向が強まっており、2026年以降も値上げの動きが続く見通しです。

オリエンタルランドは「パーク体験の質の向上」を掲げ、混雑緩和と顧客満足度向上のために価格を引き上げる戦略を取っています。

α世代のレジャー格差

来場者10年で3割減

日本経済新聞の報道によると、α世代(4〜11歳)のディズニー来場者は10年前と比べて約3割減少しています。少子化の影響もありますが、価格高騰によって「行きたくても行けない」家庭が増えていることも要因です。

「ディズニーに行くのは年に1回の特別なイベント」から「数年に1回のぜいたく」へと変化しています。

「遊び格差」の拡大

テーマパークの高額化は、子どもの「遊び格差」を拡大させています。経済的に余裕のある家庭の子どもは頻繁に訪れることができますが、そうでない家庭の子どもには縁遠い存在になりつつあります。

「ディズニーに行ったことがある」ことが、子どもたちの間でステータスになる—そんな状況も生まれています。

「パーク離れ」への警戒

オリエンタルランドの高橋渉社長は、「レジャー環境を取り巻く状況は非常に厳しい」と認識を示しています。「高額な価格設定に対する来園意欲の減退」や「若者のテーマパーク離れ」「コアなファンのリピート率低下」への警戒感があります。

「国民生活への影響を見極めながら、単なる値上げは考えていない」と述べ、チケットの種類を増やすなど価格戦略の見直しを示唆しています。

仮想空間への移行

Robloxで遊ぶα世代

日本経済新聞は「遊び格差、ロブロックスで超えろ」というタイトルの記事で、α世代の新しい遊び方を紹介しています。

Roblox(ロブロックス)は、ユーザーが自作のゲームを公開・共有できるオンラインプラットフォームです。基本無料で遊べるため、経済的な制約なく世界中の子どもたちが参加しています。

メタバースと「コト消費」

α世代は「モノ消費」よりも「コト消費」(体験)を重視する傾向がありますが、その体験が必ずしもリアル空間である必要はないと考えています。

オンラインゲームやメタバース空間での友達との交流、バーチャルイベントへの参加など、仮想空間での「コト消費」が当たり前になっています。

リアルと仮想の二極化

高額化するリアルのテーマパークと、無料や低価格で楽しめる仮想空間。α世代の遊びは、この二極化が進んでいます。

「ディズニーには年に1回」「普段はRobloxで友達と遊ぶ」—こうしたライフスタイルが一般化しつつあります。

オリエンタルランドの対応

価格見直しの検討

オリエンタルランドは、変動価格制のチケット価格について「見直すことも考えている」と表明しています。物価高による影響を考慮し、変動幅の上限や下限の変更も検討しています。

新しい体験の提供

単純な値下げではなく、新しいアトラクションやショー、デジタル技術を活用した体験など、「価格に見合う価値」の提供に注力する方針です。

2024年には新エリア「ファンタジースプリングス」がオープンし、新しい体験を求める来場者を呼び込んでいます。

多様なチケット体系

時間帯限定チケットや、平日限定の割引など、多様なチケット体系の導入も検討されています。「フルで楽しむ」だけでなく、「短時間でお手軽に楽しむ」選択肢を増やすことで、幅広い層の来場を促す狙いです。

まとめ

「ディズニー1日5万円」—テーマパークの高額化により、α世代の来場者は10年で3割減少しました。「量より質」を追求する価格戦略は、一方で「遊び格差」を拡大させています。

α世代はRobloxなどの仮想空間で、経済的な制約なく友達と遊ぶ新しいスタイルを確立しています。リアルのテーマパークと仮想空間の「遊びの二極化」が進む中、オリエンタルランドも価格戦略の見直しを検討しています。

「夢の国」が本当に夢のような存在になりつつある今、テーマパークはどのような価値を提供していくのか。α世代の遊び方の変化とともに、注目されています。

参考資料:

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