日高屋が示す消費動向、低価格外食の底力

by nicoxz

はじめに

物価高が続く中、消費者の財布の紐は固くなっています。しかし、そんな環境でも好調を維持している外食チェーンがあります。中華料理チェーン「日高屋」を展開するハイデイ日高です。

同社の2026年2月期第2四半期(3〜8月)の経常利益は前年同期比30.3%増と大幅に拡大。売上高は30カ月連続で同月対比最高を記録するなど、勢いが止まりません。

この記事では、日高屋の好調の背景、そこから見える消費者の行動変化、そして外食産業全体への示唆について詳しく解説します。

日高屋の好調ぶり

売上高30カ月連続で最高更新

ハイデイ日高の業績は絶好調です。2025年度中間期の売上高は307億54百万円と過去最高を記録し、前年同期比14.4%増となりました。

さらに注目すべきは、各月の売上高が30カ月連続、来店客数が23カ月連続で同月対比最高を更新し続けていることです。2025年7月には、単月ベースでも過去最高の売上高を達成しました。

経常利益30%増

2026年2月期第2四半期累計(3〜8月)の経常利益は36.8億円と、前年同期比30.3%増に拡大しました。通期計画60億円に対する進捗率は61.3%に達し、5年平均の56.7%を上回っています。

直近3カ月(6〜8月期)の経常利益は18.1億円と前年同期比35.6%増。売上営業利益率も前年同期の9.7%から11.6%に改善しています。

過去最高益を更新

2025年2月期には、純利益40億9207万円と過去最高を達成しました。10年間で売上高は1.6倍、純利益は1.8倍に成長しています。

日高屋の強みとは

低価格戦略

日高屋の最大の強みは、低価格で中華料理を提供していることです。ラーメン1杯が約600円台と、一般的なラーメンチェーンと比較しても手頃な価格設定です。

物価高で外食費を抑えたい消費者にとって、日高屋は「ちょっと贅沢」と「節約」の両立ができる選択肢となっています。

駅前立地のドミナント戦略

日高屋は首都圏のJRや私鉄の駅前繁華街に集中出店する「ドミナント戦略」を採用しています。駅から近い便利な立地で、仕事帰りのビジネスパーソンや学生など幅広い層を取り込んでいます。

標準的な店舗は30坪程度の路面店で、効率的な店舗運営を実現しています。

多様な利用シーン

日高屋は単なるラーメン店ではありません。餃子やタンメン、炒め物など多様なメニューを揃え、昼食からちょい飲みまで幅広いシーンに対応しています。

ディナータイムにはビールと餃子を楽しむ「居酒屋使い」をする客も多く、居酒屋よりもリーズナブルな価格で飲食を楽しめることが支持されています。

女性客の取り込み

以前の大衆中華は男性客中心のイメージがありましたが、日高屋は清潔感のある店舗づくりで女性客や一人客も入りやすい雰囲気を作っています。この戦略により、客層の幅を広げることに成功しています。

消費者の行動変化

「コスパ重視」の浸透

日高屋の好調は、消費者の「コスパ(コストパフォーマンス)重視」の姿勢を反映しています。

物価上昇が続く中、消費者は外食の頻度を減らすのではなく、「より安く、より満足度の高い」選択肢を求めています。日高屋はその需要に応えています。

外食の「二極化」

外食産業では「二極化」が進んでいます。記念日や特別な日には高級レストランで贅沢を楽しみ、普段は低価格チェーンで節約するという消費行動です。

日高屋は「普段使い」の受け皿として、その地位を確立しています。

「値ごろ感」の重要性

単純に「安い」だけでは消費者は満足しません。価格に見合った、あるいはそれ以上の価値を感じられる「値ごろ感」が重要です。

日高屋は低価格でありながら、味や量、サービスで満足感を提供することで、リピーターを増やしています。

コスト上昇への対応

原材料費の上昇

日高屋も原材料費の上昇という課題に直面しています。米、豚肉、卵などの食材価格上昇により、原価率は29.0%から30.3%に上昇しました。

人件費増への対応

正社員のベースアップ、パート・アルバイト(フレンド社員)の時給アップにより、人件費も増加しています。これは人手不足への対応でもあります。

増収でコスト増を吸収

しかし、売上高の増加によりこれらのコスト増を吸収。販売費及び一般管理費の対売上高比は60.6%から57.8%に低下しました。「稼ぐ力」を高めることでコスト上昇を乗り越えています。

外食産業全体への示唆

低価格帯の需要は底堅い

日高屋の好調は、低価格帯外食への需要が底堅いことを示しています。物価高で消費者の節約志向は強まっていますが、外食自体をやめるのではなく、よりコスパの良い選択肢にシフトしている傾向がみられます。

価格転嫁の難しさ

一方で、原材料費や人件費の上昇を価格に転嫁することの難しさも浮き彫りになっています。低価格を売りにするチェーンほど、値上げは客離れにつながるリスクがあります。

効率化と付加価値の両立

コスト上昇を乗り越えるためには、オペレーションの効率化と付加価値の向上を両立させることが求められます。日高屋のように、増収でコスト増を吸収する「攻めの経営」が重要です。

今後の展望

地方への展開

日高屋は首都圏中心の展開でしたが、2026年4月には新潟県への初出店を予定しています。オーシャンシステムとのフランチャイズ契約により、地方展開を加速させる方針です。

首都圏で培ったノウハウを地方で展開できるかが、今後の成長のカギとなります。

さらなる成長の余地

首都圏でもまだ出店余地はあるとみられています。駅前立地へのこだわりを維持しつつ、店舗網を拡大することで、さらなる成長が期待されます。

消費動向の先行指標

日高屋の業績は、消費者の「普段使い外食」への需要を反映する先行指標ともいえます。同社の動向は、外食産業全体の消費動向を占ううえで参考になるでしょう。

まとめ

日高屋を展開するハイデイ日高の好調は、物価高の中でも低価格外食への需要が堅調であることを示しています。売上高30カ月連続最高更新、経常利益30%増という数字は、消費者のコスパ重視の姿勢と、それに応える企業努力の成果です。

外食産業全体が原材料費や人件費の上昇に苦しむ中、「増収でコスト増を吸収する」という日高屋のモデルは、一つの成功例として注目されます。消費者の行動変化を読み取り、的確に対応する企業が生き残る時代といえるでしょう。

参考資料:

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