インド経済が日本超え、2026年にGDP世界4位へ浮上か
はじめに
インド経済が日本を追い抜く日が近づいています。IMF(国際通貨基金)の2025年10月時点の分析によると、2026年のインドの名目GDPは4兆5,056億ドルと、日本(4兆4,636億ドル)をわずかに上回り、米国、中国、ドイツに次ぐ世界第4位の経済大国になる見通しです。
インドは6%台の高い経済成長率を維持しており、2029年にはドイツを超えて世界第3位になるとも予測されています。若い人口構成と旺盛な内需を背景に、「世界経済の成長エンジン」としての期待が高まっています。
本記事では、インド経済の成長見通し、世界GDPランキングでの位置づけ、成長を支える要因とリスクについて解説します。
2025-2026年の成長率予測
6%台の高成長が継続
インドの実質GDPは2026年にかけて6%台の成長が続くと見込まれています。これは米国の2%前後、中国の4%台と比較しても突出して高い水準です。
先進国が成熟経済として低成長に甘んじる中、インドは新興国としての成長ポテンシャルを発揮しています。
国際機関の予測
主要な国際機関による2025年度(2025年4月〜2026年3月)のインド経済成長率予測は以下の通りです。
IMF(国際通貨基金)は6.2%、世界銀行は6.3%と予測しています。いずれも前回予測からIMFは0.3ポイント、世界銀行は0.4ポイント下方修正されましたが、依然として高い成長率です。
アジア開発銀行(ADB)は2025年7月に、2025年度の経済成長率を6.5%と予測しました。2026年度については6.7%を見込んでいます。
世界GDPランキングの変動
2026年に日本を抜き4位へ
2024年時点でインドの名目GDPは日本に次ぐ世界第5位ですが、2026年には日本を抜いて第4位になる見通しです。
IMFの分析では、2026年のインドの名目GDPは4兆5,056億ドル、日本は4兆4,636億ドルと予測されており、その差は約420億ドル(約6兆円)となります。
2029年にはドイツを超え3位も視野
インドの成長が続けば、2029年にはドイツを超えて世界第3位の経済大国になるとも予測されています。米国、中国に次ぐ経済規模を持つ国となります。
早ければ2028年にドイツを抜くとの予測もあり、インドの台頭は世界経済の地図を塗り替えつつあります。
日本の相対的地位低下
日本にとって、インドに抜かれて5位に転落することは象徴的な意味を持ちます。1968年に西ドイツを抜いて世界第2位になって以来、長年にわたり上位を維持してきた日本経済の相対的地位低下を示すものです。
人口減少と高齢化が進む日本と、若い人口を持つインドの対比が鮮明になっています。
インド経済を支える要因
人口ボーナス
インド経済の高成長を支えているのは、構造的に有利な人口動態です。2021年に中国を抜き世界一の人口大国となったインドでは、年齢中央値が約28歳と若く、人口ボーナス期が2050年頃まで続くと見込まれています。
労働力人口の増加は、生産活動の拡大と消費市場の成長の両面で経済を押し上げます。
旺盛な内需
インド国内の経済活動は引き続き堅調で、特にサービス業が経済成長のドライバーとなっています。IT・ソフトウェアサービス、金融、通信などの分野が急成長しています。
また、農村部を中心とした民間消費も経済を下支えしています。
デジタル化の進展
インドでは急速なデジタル化が進んでおり、決済システムのUPI(統一決済インターフェース)は世界最大規模のデジタル決済基盤となっています。
デジタルインフラの整備が、金融包摂と経済効率化を促進しています。
リスク要因
米国の関税政策
IMFと世界銀行は、インド経済の下振れ要因として、米国の関税政策に伴う世界貿易の縮小を指摘しています。トランプ政権による関税引き上げが世界貿易を収縮させれば、インド経済にも影響が及ぶ可能性があります。
インフラ不足
急速な経済成長に対し、道路、電力、水道などのインフラ整備が追いついていない面があります。インフラのボトルネックが成長の制約要因となる可能性があります。
社会的課題
経済成長の恩恵が均等に行き渡っていないとの指摘もあります。都市と農村、富裕層と貧困層の格差拡大は社会的安定を脅かす可能性があります。
日本企業への影響
ビジネス機会の拡大
インド経済の成長は、日本企業にとって大きなビジネス機会です。自動車、電機、インフラ、消費財など、様々な分野で市場が拡大しています。
「チャイナプラスワン」の観点からも、中国に代わる生産拠点・市場としてインドへの注目が高まっています。
競争相手としての側面
一方で、IT・ソフトウェアサービスなどの分野では、インド企業が日本企業の競争相手となっています。人材獲得競争も激化しています。
まとめ
IMFの予測によると、インドの名目GDPは2026年に日本を上回り、世界第4位の経済大国になる見通しです。6%台の高成長が続くインドは、2029年にはドイツを超えて世界第3位になるとも予測されています。
若い人口構成(年齢中央値28歳)と2050年頃まで続く人口ボーナス期が成長を支えています。一方、米国の関税政策やインフラ不足などのリスク要因も存在します。
世界経済の成長エンジンとして期待されるインド。日本企業にとってはビジネス機会の拡大と競争激化の両面があり、戦略的な対応が求められます。
参考資料:
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