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by nicoxz

「次のドンキ」探しが加速 攻めの消費株に資金が集中

by nicoxz
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はじめに

中東情勢の緊迫を受けて日経平均株価が大きく揺れるなか、株式市場では「次のドン・キホーテ」を探す動きが活発になっています。ドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は、M&Aと業態変革によって36期連続増収増益を達成した「攻めの消費株」の代表格です。

こうしたモデルに続く成長銘柄を見つけようと、投資家の資金が消費関連株に流入しています。電子雑誌やタレントプロモーション事業を手がけるブランジスタは2月末比で約2割高、中古品の買い取り販売を展開するBuySell Technologiesは約1割高と、相場全体の下落に逆行する値動きを見せています。

本記事では、なぜ今「攻めの消費株」が注目されるのか、その背景と注目銘柄の特徴を解説します。

ドンキの成功モデルが投資家を引きつける理由

PPIHが示した成長の方程式

ドン・キホーテを傘下に持つPPIHは、日本の小売業界において際立った成長を続けています。2026年6月期の中間決算では、売上高1兆2,101億円(前年同期比7.2%増)、営業利益939億円(同4.7%増)と増収増益を達成しました。親会社株主に帰属する中間純利益は637億円と、前年同期比18.1%の大幅増です。

この成長の原動力は、M&Aによる事業拡大と独自の業態転換にあります。PPIHは2030年に売上高3兆円、営業利益2,000億円という長期目標を掲げており、食品強化型の新業態を2035年6月期までに200〜300店舗体制へ拡大する計画です。ピアゴの業態転換から始まったこのM&A主導の成長戦略が、投資家にとって「成功の方程式」として認識されています。

中東ショックで浮かび上がる消費株の底力

2026年3月、イラン情勢の急激な悪化により日経平均株価は大きく下落しました。3月9日には前週末比2,892円安の5万2,728円を記録し、下落幅は歴代3位となりました。半導体関連株や主力大型株に売りが殺到するなか、内需型の消費関連株の一部は逆行高を演じています。

原油高の長期化はインフレ加速を通じて消費株にとっても逆風ですが、事業の多角化やM&Aによって独自の成長エンジンを持つ企業は、マクロ環境の変動に左右されにくいと評価されています。地政学リスクが高まるほど、こうした「攻め」の姿勢を持つ銘柄への選好が強まる傾向があります。

逆行高を見せる注目銘柄の分析

ブランジスタ:タレントプロモーション事業で急成長

ブランジスタ(6176)は、電子雑誌の制作・発行を祖業としつつ、子会社ブランジスタエールが展開する「ACCEL JAPAN(アクセルジャパン)」が業績の牽引役となっています。ACCEL JAPANは、初期費用不要かつ月額定額制で著名タレントの写真・動画をプロモーションに利用できるサービスで、中小企業のマーケティングを支援するユニークなビジネスモデルです。

同社は3期連続の増収増益を達成し、2026年9月期は15円への増配を予定しています。SBIグループとの資本業務提携によりさらなる事業拡大を目指す姿勢が、成長期待を高めています。通期業績予想では営業利益の50%上方修正と4期ぶり最高益更新の見通しが示されており、投資家の注目を集めています。

BuySell Technologies:リユース市場のM&A巧者

BuySell Technologies(7685)は、出張買取を中心にリユース事業を展開する成長企業です。シニア層を主要顧客とし、着物や貴金属などの高額品の買い取りに強みを持っています。

同社の最大の特徴は、積極的なM&A戦略です。2024年10月にレクストホールディングスを完全子会社化し、グループ会社は合計13社に拡大しました。中期経営計画(2025〜2027年)では、2027年12月期に売上高1,400億円(2024年12月期実績599.7億円)、営業利益110億円を目標に掲げています。約2.3倍の売上成長を3年間で実現するという野心的な計画の裏には、出張訪問買取での一強ポジション確立とグループ店舗数650店舗以上への拡張があります。

リユース市場全体が2030年に4兆円規模へ到達するとの予測もあり、同社は市場拡大の追い風を受けつつ、M&Aによる非連続的な成長を狙っています。

「攻めの消費株」を選ぶ視点

成長を支える3つの条件

投資家が「次のドンキ」を探す際に重視しているのは、以下の3つの条件です。

第一に、M&Aの実行力です。PPIHのようにM&Aを成長ドライバーとして活用できる経営力があるかどうかが問われます。BuySell Technologiesはこの点で高い評価を受けており、リユース領域に特化した明確なM&A戦略を持っています。

第二に、事業の多角化です。単一事業に依存するのではなく、複数の収益源を持つことで景気変動への耐性が高まります。ブランジスタがACCEL JAPANという新事業で業績を急拡大させたように、既存事業の枠を超えた展開力が重要です。

第三に、内需主導の成長です。中東情勢の緊迫や円安の進行など、外部環境の不確実性が高まるなかで、国内消費を基盤とした成長ストーリーを持つ企業は相対的に安定しています。

日本のM&A市場が後押しする消費セクターの再編

2026年のM&A市場は引き続き活況が予想されています。特に小売業界では、規模拡大によるコスト削減と競争力強化を狙ったM&Aが加速しています。経済環境としては、大企業と中小企業の「K字型」二極化が進むなか、M&Aを通じて規模を拡大できる企業とそうでない企業の格差がさらに広がる構図です。

こうした環境は、「攻めの消費株」にとって追い風となります。買収対象となる中小企業が増加する一方で、買い手側は比較的有利な条件でM&Aを進められる可能性があるためです。

注意点・展望

原油高の長期化リスク

中東情勢が長期化・深刻化して原油価格が高止まりした場合、スタグフレーション的な経済環境に陥るリスクがあります。消費全体が冷え込めば、攻めの消費株であっても業績への悪影響は避けられません。原油価格の動向と消費者マインドの変化には継続的な注意が必要です。

バリュエーションの過熱に注意

逆行高を演じている銘柄の一部は、短期的な資金流入で株価が割高水準に達している可能性があります。成長期待が高い銘柄ほど、業績が市場の期待を下回った場合の下落リスクも大きくなります。中期経営計画の進捗や四半期決算の内容を丁寧に確認することが重要です。

M&Aリスクへの目配り

M&Aは成長の手段である一方、統合が計画通りに進まない「PMI(買収後統合)リスク」も存在します。買収先ののれんが減損されるケースも少なくなく、M&A主導の成長戦略には固有のリスクが伴うことを理解しておく必要があります。

まとめ

中東情勢の緊迫で相場全体が不安定ななか、M&Aや事業多角化で独自の成長エンジンを持つ「攻めの消費株」に資金が集中しています。PPIHが示した成功モデルを追うように、ブランジスタやBuySell Technologiesといった企業が逆行高を演じ、投資家の「次のドンキ」探しが加速しています。

ただし、原油高の長期化やバリュエーションの過熱といったリスクには十分な注意が必要です。M&Aの実行力、事業の多角化、内需主導の成長という3つの視点を軸に、中長期的な成長ポテンシャルを見極めることが求められます。

参考資料:

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