イラン攻撃で日本企業が緊急対応、ツアー中止や渡航制限が相次ぐ
はじめに
2026年2月28日、米国とイスラエルがイランへの軍事攻撃を開始しました。この攻撃を受け、日本企業は従業員の安全確保やツアー中止など、緊急の対応に追われています。
中東地域に駐在員を置くエネルギー企業や商社、旅行会社、海運会社など、影響は多岐にわたります。日本政府も「イラン情勢を踏まえたエネルギー対策本部」を設置し、国を挙げての対応が進んでいます。
この記事では、イラン攻撃が日本企業にどのような影響を与えているのか、業界別に整理し、今後の見通しについて解説します。
旅行業界への直撃:中東ツアーの全面中止
旅行各社の対応
攻撃発生後、真っ先に影響を受けたのが旅行業界です。KNT-CTホールディングス傘下のクラブツーリズムをはじめ、各旅行会社は中東方面のツアーを相次いで中止しました。
外務省が中東諸国の危険レベルを引き上げたことも、ツアー中止の判断を後押ししています。イラン、イスラエルはもちろん、オマーン、カタール、クウェート、バーレーン、ヨルダン、アラブ首長国連邦、サウジアラビアなど広範な地域が対象です。
旅行者への影響
すでに予約済みのツアー参加者への対応も課題です。中東地域への個人旅行者に対しても、外務省は渡航中止勧告や退避勧告を出しており、航空便の欠航や迂回運航も発生しています。旅行業界全体として、中東関連の売上が当面見込めない状況が続く見通しです。
エネルギー・商社:駐在員の安全確保が最優先
各社の渡航制限
中東各国に赴任者がいるエネルギー企業や商社は、中東への不要不急の渡航を見合わせる措置を取っています。いすゞ自動車はサウジアラビアなどに工場を持ちますが、操業を継続しながらも中東地域への出張を禁止しました。
東洋紡もイランやイスラエルへの出張を見合わせています。千代田化工建設は、カタールなどに赴任している社員に対し、屋外への外出を控えるよう指示を出しました。
日本政府の対応
高市早苗首相は攻撃発生当日の夜、情報収集の徹底と在留邦人の安全確保に向けて万全の措置を講じるよう関係省庁に指示しています。外務省も海外安全ホームページで情報を更新し、中東地域の危険レベルを引き上げました。
海運業界:ホルムズ海峡の航行停止
海運大手3社の決断
日本郵船、商船三井、川崎汽船の海運大手3社は、ホルムズ海峡およびペルシャ湾内での運航を停止または待機に切り替えました。ホルムズ海峡は事実上の封鎖状態となり、通過する船舶は約7割減少しています。
3月2日時点で、ペルシャ湾内に滞留している日本関係の船舶は40隻を超えています。これらの貨物は目的地への到着が不確定な状況に置かれており、サプライチェーンへの影響が懸念されています。
エネルギー供給への影響
日本の原油輸入の9割以上が中東地域に依存しており、その大部分がホルムズ海峡を通過します。海峡の封鎖が長期化すれば、原油だけでなくLNG(液化天然ガス)の輸入にも支障が生じます。
経済産業省は赤澤経済産業大臣を長とする「イラン情勢を踏まえたエネルギー対策本部」を設置し、エネルギー安定供給に向けた対応を進めています。日本は国内に254日分の石油を備蓄しており、短期的には供給が確保される見通しです。
注意点・今後の展望
長期化リスクに備える
イランの最高指導者の死亡が確認されたことで、戦況が長期化しないとの観測もあります。しかし、イランは報復攻撃を実施しており、中東地域全体の安定化にはまだ時間がかかる可能性があります。
企業としては、短期的な安全確保だけでなく、中長期的なサプライチェーンの見直しや、エネルギー調達先の多様化を検討する必要があります。
原油価格上昇の波及効果
ホルムズ海峡の封鎖が続けば、原油価格のさらなる上昇は避けられません。原油価格の高騰はガソリン代、電気代、ガス代などに波及し、企業のコスト増加や消費者の家計圧迫につながります。製造業や物流業への影響も大きく、日本経済全体への悪影響が懸念されます。
まとめ
米国・イスラエルによるイラン攻撃は、旅行、エネルギー、商社、海運など日本の幅広い業界に影響を及ぼしています。各社は従業員の安全確保を最優先としながら、事業継続に向けた対応を急いでいます。
今後の焦点は、ホルムズ海峡の航行再開時期と原油価格の動向です。企業は最新情報を注視しつつ、サプライチェーンの代替ルート確保やエネルギー調達の多様化など、中長期的なリスク対策を進めることが求められます。
参考資料:
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