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by nicoxz

美容医療が急拡大、市場6300億円突破と渡韓美容の最前線

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はじめに

日本の美容医療市場が急速に拡大しています。矢野経済研究所の調査によると、2024年の市場規模は前年比106.2%の6,310億円に達し、過去5年間で実施件数は1.5倍に増加しました。コロナ禍を経てマスク生活から解放され、素肌を整えたいという意識が高まったことが大きな転機となっています。

注目すべきは、美容医療を受けた女性のうち約3割が年間10万円以上を支出していることです。さらに韓国で美容医療を受けた経験者が約2割に上るなど、国境を越えた美容行動も広がっています。「肌管理」という新しい概念が浸透し、美容医療はもはや特別なものではなく、日常のケアとして定着しつつあります。本記事では、最新データをもとに美容医療市場の全体像を解説します。

6,310億円市場の内側──拡大を続ける美容医療

市場規模と成長ドライバー

矢野経済研究所が2025年に発表した調査結果によると、2024年の国内美容医療市場は医療施設収入高ベースで6,310億円となりました。前年比6.2%増という成長率は、参入施設の増加と新規顧客の獲得が両輪で進んでいることを示しています。

市場拡大の背景には複数の要因があります。第一に、女性の美容医療に対する心理的ハードルが大きく低下しました。かつては「整形」と同一視されがちだった美容医療ですが、レーザー治療やボトックス注射など非侵襲的な施術が増えたことで、「ちょっとした肌のメンテナンス」として受け入れられるようになっています。第二に、SNSの普及により施術体験の情報共有が活発化し、未経験者が一歩を踏み出しやすくなりました。第三に、有名大学病院が美容医療外来を開設するなど、医療機関側の体制整備が進んだことも信頼性向上に寄与しています。

ボストン コンサルティング グループ(BCG)の予測では、グローバルの美容医療市場は2028年までに約270億ドル(約4兆円)に達する見通しです。日本市場も年率6%前後の成長を続けるとみられています。

人気施術の変遷と「肌管理」ブーム

美容医療の口コミ・予約サービスを運営するトリビューが発表した2025年の人気施術ランキングでは、「二重埋没」「糸リフト」「エラ・小顔ボトックス」が上位を占めました。共通するのは、日常に取り入れやすく、自然な変化が得られる施術が支持されている点です。

特に注目されているのが「肌管理」というキーワードです。もともと韓国で定着していた概念で、美容医療の力を借りて日常的に自分の肌を管理するという考え方を指します。レーザートーニングやケミカルピーリング、水光注射などを定期的に受けることで、肌のコンディションを維持するスタイルが日本でも急速に広まっています。

2026年のトレンド予測では、「たるみ改善」がキーワードとして浮上しています。新型治療機器「ソフウェーブ」や、マイクロサブシジョンと肌育注射の組み合わせなど、予防美容とナチュラル志向の注入治療がさらに主流になると見込まれています。

渡韓美容の現状と変化──免税終了がもたらす転換点

約2割が韓国で施術を経験

美容医療の利用が広がる中、韓国で施術を受ける「渡韓美容」が一つの行動スタイルとして定着しています。調査では、美容医療経験者の約2割が韓国で施術を受けた経験があると回答しました。

SBCメディカルグループが韓国で美容施術を経験した女性1,002人を対象に行った調査によると、渡韓美容を選ぶ最大の理由は「料金が安い」(56.9%)でした。次いで「施術・技術・効果が優れていると感じた」(46.0%)、「最新の美容トレンドが受けられると感じた」(33.2%)と続いています。

施術の満足度も高く、「オンダリフト」は96.9%、「オリジオ」は91.7%、「ポテンツァ」は91.4%と、いずれも9割以上の満足度を記録しています。滞在期間は「2泊3日」が45.8%と最多で、旅行と美容施術を組み合わせる形が一般的です。

免税制度の終了で変わるコスト構造

渡韓美容に大きな変化をもたらすのが、韓国の美容整形免税制度の終了です。韓国政府は2025年7月31日に、外国人向けの付加価値税(VAT)10%即時還付制度を同年12月31日で終了すると発表しました。

この制度は2016年に韓国政府が医療観光を後押しする目的で導入したもので、約10年にわたって運用されてきました。終了の理由として、外国人誘致という当初の目的が達成されたこと、医療資源が美容分野に偏重して他分野が手薄になる副作用、年間920億ウォン以上の税収減といった問題が挙げられています。

免税制度がなくなることで、韓国での施術コストは国内との価格差が縮小します。例えば二重埋没の場合、韓国で施術と渡航費を含めると18万円前後、国内では13万〜14万円が相場で、免税がなくなると約4万〜5万円の価格逆転が起きるケースもあります。さらに、渡韓美容の課題として「定期的な通院が難しい」(41.4%)、「安全性が心配」(32.3%)という声もあり、免税終了を機にアフターケアの利便性を重視して国内回帰する動きも予想されます。

注意点と今後の展望

安全性への懸念とトラブルの増加

美容医療の拡大に伴い、トラブルも増加しています。全国の消費生活センターに寄せられる美容医療サービスに関する相談件数は、2024年度には10,000件を超えました。契約内容や解約条件に関するトラブルに加え、施術によるやけどや傷などの危害報告も一定数発生しています。

こうした事態を受け、2025年12月には改正医療法が成立しました。美容目的の医療行為を行う施設に対し、医療安全指針の策定、事故防止策の実施、緊急時対応体制の整備などが新たに義務化されています。消費者としても、施術前のカウンセリングで十分な説明を受けること、クーリング・オフ制度の存在を知っておくことが重要です。

男性需要と新たな市場セグメント

今後の成長を牽引する要素として、男性の美容医療需要が見逃せません。リクルートが実施した「美容センサス」調査によると、20代男性の美容医療利用率は22.8%に達し、同年代の女性(21.7%)を初めて上回りました。ほくろ除去やワキガ治療、ケミカルピーリングなど、清潔感を高める施術が男性に支持されています。メイクでカバーする文化がない分、「気になる部分は医療で解決する」という発想が男性に浸透しつつあります。

まとめ

日本の美容医療市場は6,310億円規模に拡大し、今後も成長が見込まれています。「肌管理」ブームや男性需要の拡大、インバウンド需要の取り込みが市場を後押しする一方、韓国の美容免税制度終了は渡韓美容のコスト構造を変える転換点となります。

美容医療を検討する際は、施術内容や費用だけでなく、クリニックの安全管理体制やアフターケアの充実度も確認することが大切です。トラブル相談件数の増加が示すように、情報を十分に集めてから判断する姿勢が求められます。市場の拡大とともに、安全で質の高い美容医療環境の整備が進むことが期待されます。

参考資料:

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